1.1有限要素法における線状要素とは
1.1.1 有限要素法とは
有限要素法とは構造物を小さな要素に分割し、それぞれの要素の挙動を計算することで、構造物全体の変形や応力を求める解析手法です。
要素には様々な種類があり、その形状には、線状要素、面要素(または面状要素)、立体要素(ソリッド要素)があります。
今回はこのうちの線状要素について学習します。
線状要素は、有限要素法の中でも最も基本的な要素であり、構造解析を学び始める際の第一歩となる要素です。
1.1.2 線状要素とは
線状要素とは、骨組構造を表現するための有限要素であり、棒要素(トラス要素)と梁要素に大別されます。
線状要素は、2つの節点を1本の要素で結んで構成される有限要素です。
一般には直線ですが、曲線もありその両端を節点と呼びます。
有限要素法では、節点で変位を計算し、その結果から要素内の応力やひずみを求めます。
図1.1.1 線状要素
図1.1.2に棒要素(トラス要素)と梁要素の概念図を示します。
図1.1.2 棒要素(トラス要素)と梁要素の概念図
骨組構造は棒要素(トラス要素)で構成されるトラス構造と梁要素で構成されるラーメン構造があります。
棒要素(トラス要素)は、各部材がピン結合され、部材には主に引張力と圧縮力が作用する構造です。
ラーメン構造は、部材同士が剛接合され、軸力だけでなく曲げモーメントやせん断力も伝達する構造です。
私自身も有限要素法を学び始めた頃は、棒要素と梁要素の違いがよく分かりませんでした。
棒要素(トラス要素)と梁要素の違いを表1.1.1に示します。
表1.1.1 棒要素(トラス要素)と梁要素の違い
| 項目 | 棒要素(トラス要素) | 梁要素 |
|---|---|---|
| 主な荷重 | 引張・圧縮 | 曲げ・せん断・軸力 |
| 主な変形 | 軸方向変形 | 曲げ変形 |
| 有限要素 | トラス要素 | 梁要素 |
| 節点の主な自由度 | 並進 | 並進+ 回転 |
| Abaqusでの要素名 | T2D2など | B21など |
自由度とは、節点が取り得る変位や回転の方向を表すものです。棒要素では主に並進変位、梁要素では並進変位に加えて回転が考慮されます。
1.1.3 対象となる構造物
棒要素(トラス要素)と梁要素が用いられる代表的な構造物を表1.1.2に示します。
棒要素(トラス要素)は主に引張・圧縮を受け持ち、梁要素は主に曲げを受け持ちます。
表1.1.2 棒要素(トラス要素)と梁要素が用いられる代表的な構造物
| 棒要素(トラス要素) | 梁要素 |
|---|---|
| ワイヤー | 建物の梁 |
| ロッド | 橋桁 |
| トラス部材 | クレーンの梁 |
| ブレース | 機械フレームの部材 |
梁要素は、建物の梁や橋桁などのほか、身近な例では、定規を机から突き出した片持ち梁のような構造にも適用できます。

