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Inkscapeで作成したSVGから個人情報流出の可能性

Last updated at Posted at 2020-05-12

この記事と同じ内容を私のブログにも投稿してあります。

今日の別の記事にも書きましたが、自分のブログのAMP化の作業をしました。そのとき、SVGファイルをテキストエディターで開いたら個人情報が含まれていたので記事にしました。

最初に断っておきますが、SVGに含まれる個人情報というのはPCのユーザー名です。PCのユーザー名はパスワードや住所ではないので個人情報だと考えるかは人それぞれだですが、場合によっては本名がバレるということでここでは個人情報として扱います。

ちなみに、こんな記事を書いておきながら、私はPCのユーザー名くらい別に良いかなと思います...。

この問題が発生するのはオープンソースのベクターグラフィックエディターのInkscapeとWindows 10を使用した場合です。他の環境ではどうなるか分かりませんが、おそらくInkscapeを使用していればOSに関係なくこの問題が発生します。

詳細

この問題はInkscapeを使用してSVG画像を作成し、そのデータをインターネットでの公開を含め誰かに渡したり見せたりする場合に発生します。

まず、以下がInkscapeで作成した空のSVGファイルです。ファイルの保存形式はデフォルトのInkscape SVGを選択しました。この時点ではまだ個人情報は含まれていません。

コードを見る
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="no"?>
<svg
   xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
   xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#"
   xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
   xmlns:svg="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns:sodipodi="http://sodipodi.sourceforge.net/DTD/sodipodi-0.dtd"
   xmlns:inkscape="http://www.inkscape.org/namespaces/inkscape"
   sodipodi:docname="ファイル名.svg"
   inkscape:version="1.0 (4035a4fb49, 2020-05-01)"
   id="svg8"
   version="1.1"
   viewBox="0 0 210 297"
   height="297mm"
   width="210mm">
  <defs
     id="defs2" />
  <sodipodi:namedview
     inkscape:window-maximized="1"
     inkscape:window-y="-6"
     inkscape:window-x="-6"
     inkscape:window-height="850"
     inkscape:window-width="1368"
     showgrid="false"
     inkscape:document-rotation="0"
     inkscape:current-layer="layer1"
     inkscape:document-units="mm"
     inkscape:cy="560"
     inkscape:cx="400"
     inkscape:zoom="0.35"
     inkscape:pageshadow="2"
     inkscape:pageopacity="0.0"
     borderopacity="1.0"
     bordercolor="#666666"
     pagecolor="#ffffff"
     id="base" />
  <metadata
     id="metadata5">
    <rdf:RDF>
      <cc:Work
         rdf:about="">
        <dc:format>image/svg+xml</dc:format>
        <dc:type
           rdf:resource="http://purl.org/dc/dcmitype/StillImage" />
        <dc:title></dc:title>
      </cc:Work>
    </rdf:RDF>
  </metadata>
  <g
     id="layer1"
     inkscape:groupmode="layer"
     inkscape:label="レイヤー 1" />
</svg>
そして、以下は同じ内容をプレーンSVGを選択して保存したものです。同じく、これもまだ個人情報は含まれていません。
コードを見る
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="no"?>
<svg
   xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
   xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#"
   xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
   xmlns:svg="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns="http://www.w3.org/2000/svg"
   id="svg836"
   version="1.1"
   viewBox="0 0 210 297"
   height="297mm"
   width="210mm">
  <defs
     id="defs830" />
  <metadata
     id="metadata833">
    <rdf:RDF>
      <cc:Work
         rdf:about="">
        <dc:format>image/svg+xml</dc:format>
        <dc:type
           rdf:resource="http://purl.org/dc/dcmitype/StillImage" />
        <dc:title></dc:title>
      </cc:Work>
    </rdf:RDF>
  </metadata>
  <g
     id="layer1" />
</svg>
ところが、Inkscapeの「PNG画像にエクスポート」機能を使ったあとのSVGファイルには個人情報が含まれるようになります。以下は、Inkscape SVGで保存した場合です。
コードを見る
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="no"?>
<svg
   xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
   xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#"
   xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
   xmlns:svg="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns:sodipodi="http://sodipodi.sourceforge.net/DTD/sodipodi-0.dtd"
   xmlns:inkscape="http://www.inkscape.org/namespaces/inkscape"
   inkscape:export-ydpi="96"
   inkscape:export-xdpi="96"
   inkscape:export-filename="C:\Users\ユーザー名\エクスポート先のファイル名.png"
   width="210mm"
   height="297mm"
   viewBox="0 0 210 297"
   version="1.1"
   id="svg8"
   inkscape:version="1.0 (4035a4fb49, 2020-05-01)"
   sodipodi:docname="ファイル名.svg">
  <defs
     id="defs2" />
  <sodipodi:namedview
     id="base"
     pagecolor="#ffffff"
     bordercolor="#666666"
     borderopacity="1.0"
     inkscape:pageopacity="0.0"
     inkscape:pageshadow="2"
     inkscape:zoom="0.35"
     inkscape:cx="400"
     inkscape:cy="560"
     inkscape:document-units="mm"
     inkscape:current-layer="layer1"
     inkscape:document-rotation="0"
     showgrid="false"
     inkscape:window-width="1368"
     inkscape:window-height="850"
     inkscape:window-x="-6"
     inkscape:window-y="-6"
     inkscape:window-maximized="1" />
  <metadata
     id="metadata5">
    <rdf:RDF>
      <cc:Work
         rdf:about="">
        <dc:format>image/svg+xml</dc:format>
        <dc:type
           rdf:resource="http://purl.org/dc/dcmitype/StillImage" />
        <dc:title></dc:title>
      </cc:Work>
    </rdf:RDF>
  </metadata>
  <g
     inkscape:label="レイヤー 1"
     inkscape:groupmode="layer"
     id="layer1" />
</svg>
以下は、プレーンSVGの場合です。
コードを見る
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="no"?>
<svg
   xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
   xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#"
   xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
   xmlns:svg="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns="http://www.w3.org/2000/svg"
   xmlns:sodipodi="http://sodipodi.sourceforge.net/DTD/sodipodi-0.dtd"
   xmlns:inkscape="http://www.inkscape.org/namespaces/inkscape"
   inkscape:export-ydpi="96"
   inkscape:export-xdpi="96"
   inkscape:export-filename="C:\Users\ユーザー名\エクスポート先のファイル名.png"
   sodipodi:docname="ファイル名.svg"
   inkscape:version="1.0 (4035a4fb49, 2020-05-01)"
   id="svg836"
   version="1.1"
   viewBox="0 0 210 297"
   height="297mm"
   width="210mm">
  <defs
     id="defs830" />
  <sodipodi:namedview
     inkscape:window-maximized="0"
     inkscape:window-y="0"
     inkscape:window-x="0"
     inkscape:window-height="872"
     inkscape:window-width="1368"
     showgrid="false"
     inkscape:document-rotation="0"
     inkscape:current-layer="layer1"
     inkscape:document-units="mm"
     inkscape:cy="560"
     inkscape:cx="400"
     inkscape:zoom="0.35"
     inkscape:pageshadow="2"
     inkscape:pageopacity="0.0"
     borderopacity="1.0"
     bordercolor="#666666"
     pagecolor="#ffffff"
     id="base" />
  <metadata
     id="metadata833">
    <rdf:RDF>
      <cc:Work
         rdf:about="">
        <dc:format>image/svg+xml</dc:format>
        <dc:type
           rdf:resource="http://purl.org/dc/dcmitype/StillImage" />
        <dc:title></dc:title>
      </cc:Work>
    </rdf:RDF>
  </metadata>
  <g
     id="layer1"
     inkscape:groupmode="layer"
     inkscape:label="レイヤー 1" />
</svg>
さて、どこが問題か分かりましたか?問題があるのは、以下の部分です。これは、Inkscape SVGとプレーンSVGで共通です。
inkscape:export-filename="C:\Users\ユーザー名\エクスポート先のファイル名.png"

注)「ユーザー名」と「エクスポート先のファイル名」にはそれぞれ実際の値が入りますが、ここでは例としてこのように書いています。

これらは、エクスポートしたPNG画像の絶対パスです。設定として保存されているのでしょう。「ユーザー名」にはそのPCにログインしているユーザー名が入ります。おそらく、Windows 10以外のOSでもパスのどこかしらにユーザー名が入ると思います。

これをローカルで使用するだけなら問題ないですが、ファイルを配布したりインターネットで公開したりすると、ユーザー名が流出することになります。

対策方法

対策方法としては、公開したいSVGファイルをテキストエディターで開いて

inkscape:export-filename="C:\Users\ユーザー名\エクスポート先のファイル名.png"

の1行をまるごと削除します。

おまけ

そんな人がいるか分かりませんが、ファイル名に嫌いな人の悪口やfWordを付けて保存している場合は、もう1つ気をつける点があります。

配布や公開する前にファイル名だけ変えても、前のファイル名がバレてしまいます。これは、「PNG画像にエクスポート」を使用しなくても発生します。問題があるのは、Inkscape SVGとプレーンSVGに共通で以下の部分です。

sodipodi:docname="ファイル名.svg"

注)「ファイル名」には実際のSVGのファイル名が入ります。

ファイル名の変更後、Inkscapeでファイルを開いて編集して保存すれば、上の「ファイル名」の部分は更新されます。Inkscapeで開いて保存しても、ファイルを編集しないと更新されません。

さいごに

こんな記事を書きましたが、別にInkscapeが嫌いで批判したいわけではありません。あのソフトが無料で使えるのは本当に素晴らしいと思いますし、この記事で指摘した問題のある部分は設定を保存することでInkscapeをより使いやすくするためのものです。また、個人情報といってもPCのユーザー名です。

一方で、気にする人もいると思うので、この記事がSVG画像を公開する人の役に少しでも立てば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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