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ロジカルシンキングの次は何か──思考法の系譜の次に置く「未来思考」という軸

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Last updated at Posted at 2026-07-15

※本記事は、末尾にRiriEnu Labの新刊の紹介を含みます。


エンジニアは、思考法が好きな人が多い。

ロジカルシンキングで論理の筋道を通し、クリティカルシンキングで前提を疑い、システム思考で相互作用を見て、構造化で全体を捉え、メタ思考で自分の考え方そのものを見直す。仕事の道具として、どれか一度は学んだことがあるのではないでしょうか。

この系譜を並べてみると、あることに気づきます。

  • ロジカルシンキング → 論理を見る目
  • クリティカルシンキング → 前提を見る目
  • システム思考 → 関係性を見る目
  • 構造化思考 → 全体を見る目
  • メタ思考 → 思考そのものを見る目

それぞれ見るものは違いますが、共通点が一つある。

どれも「今あるもの」を理解することに強い、ということです。

論理も、前提も、システムも、分析の対象は原則として「すでに存在しているもの」。いわば既存の思考法は、「現在」という一枚の写真を、より鮮明に読み解くためのレンズでした。

では、時間を見る目は?

技術選定では、みんな未来を見ている

実は、エンジニアは日常的に「時間の目」を使っています。

ReactかVueか、Next.jsかNuxtか、AWSかGCPか、自前実装かSaaSか。
技術を選ぶとき、「今どれが人気か」だけでは決めませんよね。3年後もメンテされているか。コミュニティは伸びているか衰えているか。この設計は将来の変更に耐えるか。──技術選定は、ほとんど未来との対話です。

エンジニアはいつも「今動くか」だけでなく、「数年後に保守できるか」を見ている。
ところが、同じ人が自分のキャリアや学習や人間関係を決めるときには、「今の年収」「今の評価」「今の居心地」で判断してしまう。

技術には未来思考を使うのに、人生にはロジカルシンキングしか使っていない。

このねじれが、多くの後悔の正体ではないか、というのが本記事の仮説です。人生の大きな後悔は、その場の判断を間違えたことからではなく、時間の中で変化していく構造を見落としたことから生まれる。

未来思考(Future Thinking)──系譜の次に置くもの

そこで、系譜の次にこういうレンズを置いてみます。

未来思考: 未来を現在の意思決定に組み込む思考法

大事なのは、これは未来を「当てる」技術ではないことです。予測の精度を競った瞬間、それは当たった・外れたのゲームに堕ちます。そうではなく、「この選択はこの先どう育つか」「どんな分岐があり得るか」という時間方向の情報を、判断材料に含めて考える。

シナリオプランニングやバックキャスティングを思い浮かべた人もいるかもしれません。あれらは近い親戚ですが、基本的には組織が計画を立てるためのプロセスです。未来思考はもっと手前──転職サイトを眺めている夜や、学ぶ技術を迷っている朝に動く、個人の思考のOSを指しています。

もう一つ、時間軸だけでは足りません。同じ「未来」でも、個人は数年で変わり、組織は十年単位で、文化や文明はもっと遅く動く。このレイヤーの違いを混ぜると判断が狂うので、時間×レイヤーの二軸で見る。AIの進化(技術レイヤー)が速いのに働き方(文化レイヤー)が変わらない、というあのもどかしさも、この二軸で分解すると構造が見えてきます。

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図:本書『未来思考』の内容をもとにNotebookLMで生成

正直に書くと、副作用もある

ただし、このレンズには副作用があります。

未来が見えるほど、現在が古く見えるのです。

AIで数分で終わる作業の承認に、紙の書類が回っていく。未来の解像度が上がるほど、そういう光景が「旧いOSの上の営み」に見えてしまう。未来から今を振り返ったら、(単体テストのマトリクス表を管理しているエンジニアのように 注:前回の記事)少しかわいそうに見えるだろうな──と思う瞬間さえある。

だから未来思考には、最後に戻る基準点が要ります。未来のために今を犠牲にし始めたら、それは思考法ではなく、未来という名前を使った現在の消耗だからです。どれだけ遠くが見えても、「今を楽しく生きているか」という一点に戻ってくる。

未来を見る目と、今を生きる足。系譜の次のレンズは、この二つセットで初めて道具になります。

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この「未来思考」を一冊にまとめました。

『未来思考: 時間とレイヤーを意思決定に組み込む思考法』(RiriEnu Lab)

Kindle版 : https://amzn.to/4ypOAtE

ペーパーバック版: https://amzn.to/4hg3gpa

本記事はLayer 1(思考法の系譜)とLayer 6(副作用と基準点)の要約です。本編では、世界線の増やし方、未来の地形の読み方、AIを思考の鏡として使う方法までを10のLayerで扱っています。各章末には記入例つきのワークがあります。

制作は、複数のAIとの対話を通じて行いました。
アイデア整理はCopilot、本文の展開は主にChatGPTとClaude、レビューはGemini。
それぞれのAIを、思考の鏡、構成の整理役、視点を広げる相手として使いながら、最終的な概念設計と判断はRiriEnuが行っています。

本書は、「AIの出力に自分の違和感と判断を通す」という主張を、制作工程そのもので実践した一冊でもあります。

思考法の系譜に、時間の軸を一本足す。

それだけで、同じ現在が違って見えることを、確かめてもらえたら嬉しいです。

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