アンケートなんてするな
アンケート(questionnaire)って多数決とるものだと思ってました。(小並感)
アンケート調査して、そこからエビデンスになるものを見つけて、意思決定に使う。というところまでやりたいと考えた時に、「とりあえず多数決とりました」ってだけではあまりにもパンチ(説得力)が弱すぎると思って勉強し始めたのが始まりでした。
勉強してみるとアンケートって
- 質問文の聞き方だけで回答が偏る
- 質問で聞いたことしか収集できない
- 集めたいように設計することもできる
などなど気にするべきところがたくさんありました。
中にはこのような注意点を「知らないor知っていて政治的に利用」する事に対して(正しく使えないなら)アンケートなんてするなと書いてある本もありました。
アンケートはPDCAのどの段階でも使うことができ、(結果に対応する因果に当たる)ユーザーの気持ち部分を定量化できるので、使いこなせるとかなり役立つデータ分析スキルになると感じています。
各本の立ち位置について
- アンケートの作り方にも調査集団の選び方、質問文、種々のバイアス、回収率などを考える「アンケートのノウハウ」についてを横軸に
- アンケート収集後、結果からマイニングする方法、因果関係についての調べ方などの統計解析のレベルを縦軸に とって図にしています。
はじめに & 結論
1,2冊目でアンケートについての注意点、デザイン方法を知り、
3,4冊目で集計・分析方法を知るのが一番早い道かと。
アンケートを使ってビジネス側に結果を反映させる方法としては11冊目がオススメ。
インデックス | タイトル | 説明 | 著者・出版 |
---|---|---|---|
1冊目 | アンケート調査の進め方 | サンプリング・紙面のデザインの注意点 | 酒井 隆:日本経済新聞出版 |
2冊目 | 売上が倍増する! アンケートの作り方・活かし方 | 目的設定・施策を考えたアンケート | 大久保 一彦:PHP研究所 |
3冊目 | 実例でよくわかるアンケート調査と統計解析 | デザインから統計解析の手法を網羅的に | 菅 民郎:ナツメ社 |
4冊目 | 図解 アンケート調査と統計解析がわかる本 | 手法については少し少ないが網羅的 | 酒井 隆:日本能率協会マネジメントセンター |
5冊目 | らくらく図解 アンケート分析教室 | 手法紹介が厚くデザインについての議論は少ない | 菅 民郎:オーム社 |
6冊目 | 経済・経営・商学のための実践データ分析―アンケート・購買履歴データをいかす | 特定の分析方法を細かく紹介 | 奥瀬喜之:講談社 |
7冊目 | 授業評価・市場調査のための 「アンケート」調査・分析ができる本 | デザイン・統計解析ともにボリュームがイマイチ | 岩佐英彦:秀和システム |
8冊目 | アンケート調査入門 | 入門すぎる内容 | 朝野 熙彦:東京図書 |
9冊目 | SPSSによるアンケート調査のための統計処理 | SPSSの操作手順のドキュメントに等しい | 石村 光資郎:東京図書 |
10冊目 | あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル | アンケートを如何に販促・施策につなげるかに本当に注力 | 岡本 達彦:ダイヤモンド社 |
読んでみて重要と思った点
手法を知ってデザインすることも必要
統計解析について知っている事はアンケートデザインに役に立ちます。
データの分析方法を知っていれば、どんなデータを集計すべきか知ることができます。
注意すべきは、この手法を使いたいからこんなデータをとろう、という手法ありきのアプローチです。
目的と手段を混同しないように。
分析結果はわかりやすいほうがいい時もある
複雑な分析によって新しいことを見つけるよりも、単純なクロス集計、ピボットテーブルなどによって行パーセント、列パーセントの結果を観察することでも十分な考察ができることもある。
私自身もこのあたりは実際にアンケート分析している時に思いました。
主成分分析しようが、重回帰しようが、それが理解されることは少なく、クロス集計の結果を見せて説明することで施策に繋げやすくなったりしました。
カイ二乗検定すらも必要なかったです。
(行ったとしても報告には響かないことが多い)
可視化の重要性
アンケートに複雑・複数の質問項目が多いことによって分析が難しくなる。
- 純粋な積み上げグラフで可視化する
- 個人の回答を一連の流れで結び付けておき、サンキーダイアグラムで可視化する
などの可視化によって、難しい解析結果よりも反響を得られることがあります。
以上
色々と書き殴ってみましたが、アンケートとは使い方をよく理解したならば強力な武器になり、
よく理解せずに使うと間違った結果を導き出す事になります。
注意してもすべての注意点をカバーすることは難しいですが、危険性を知った上でよく考えて使っていきたいとおもいます。