初参加の学生がRubyKaigi 2026を全力で楽しんできた話
この記事は「RubyKaigi気になるけど、自分なんかが行って楽しめるの?」と思っている学生・初心者向けです。
セッションの内容が半分以上分からなくても、英語が得意じゃなくても、十二分に楽しめました。その実態をお伝えします。
目次
自己紹介
Reidと申します。名古屋の情報系専攻の学生(M1)で、競技プログラミングが趣味です。
Rubyとの出会いはプログラミングのアルバイトを始めるときに「全然やったことないけど、Ruby on Railsやります」と手を挙げたこと。そこからRubyを書き始め、バイト先の社員さんに誘われてRubyKaigiに初参加することになりました。
準備編:費用・予約・持ち物
参加費・交通費
- 参加費:学生5,000円(これはバイト先から補助が出ました)
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交通費:約38000円
- 名古屋→函館空港のフライトは1時間半程度。時間的には新幹線で東京に行くくらいの感覚
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宿泊費:自分は4泊5日で約35000円
- 観光も兼ねていたので土日も宿泊しました
- 合計80000円
- 貯金があったので何とかなったけど、やっぱり飛行機代は高いですね。予約が直前だったせいもあるかもしれません。
予約は早めに!
開催地と日程は前年のRubyKaigiで発表されます。自分は三か月前に急遽決めたので、飛行機の便の選択肢が少なくて苦労しました。行くと決めたら早めの予約をお勧めします。
初参加で失敗したこと・学んだこと
実際に参加して痛感した教訓をまとめます。来年参加する方の参考になれば。
- 空港→会場の移動時間を甘く見ていた。 空港12:45着、13:30セッション開始で「余裕でしょ」と思ったら、ホテル経由で1時間半かかり午後のセッションに遅刻。初日は荷物をホテルに置かず直接会場に行くか、前泊した方が良いです
- 名札に本名を書いてしまった。 受付で焦ってハンドルネームではなく本名を記入。周りを見るとハンドルネーム+会社名の人が多かったです
- 体力のセーブが大事。 3日間フルで動き回るのは無理です。初日の疲れと緊張で2日目に寝坊しました。全セッション・全イベントに無理に参加する必要はないです
- 夜のイベントの予約を忘れずに。 企業主催のパーティーは大抵参加費無料ですが予約必須。早めにチェックしておくと安心です
会場の雰囲気
会場は函館アリーナ。到着すると建物にRubyKaigi2026の文字が掲げられていて、テンションが上がりました。
入場して最初に思ったのは「外国人めちゃくちゃ多い!」ということ。RubyKaigiは国際カンファレンスなので当然なのですが、実際に体感するとかなり圧倒されます。セッションも英語が多いです。
北海道の4月末なので、会場前にはまだ桜が咲いていました。
企業ブース・グッズ:これだけで元が取れる
メインホールには企業ブースが並び、休憩スペースも広がっています。
無料グッズが凄い
受付を済ませると、グッズ配布コーナーでシャツ、パーカー、ポーチ、手袋などを一個ずつ貰えます。正直、これだけで参加費の元が取れそうです。
ブース巡りが面白い
企業ブースではビジョンや事業内容の説明を聞けるだけでなく、クイズやアンケートに答えるとノベルティがもらえたり、Rubyで作ったゲームを出展していたりします。ゲームやクイズは夢中になってしまうほど面白かったです。
現在(2026/5/3)でもプレイできるものを紹介します:
- STORESさんのRubyワンライナークイズ → https://ruby-quiz-2026.storesinc.tech/
- Lincwellさんのメソッドチェーンクイズ → https://lincwell.github.io/rubykaigi2026-puzzle/
どちらもRubyの構文や仕様の知識が求められ、大変勉強になります。
スタンプラリー
企業ブース26社を巡るとピンバッジがもらえるスタンプラリーもありました。めちゃくちゃ人気で、自分たちが景品を受け取る頃にはバッジは3種類中1種類だけに。早めに集め始めるのが吉です。

景品の「イカ×RubyKaigiピンバッジ」とJetBrainsの「RubyMineピンバッジ」
セッション:分からなくても得るものはある
正直に言うと、英語のセッションは半分以上理解できませんでした。でも「分かった部分」から得られる刺激は大きかったです。以下、印象に残ったものを紹介します。
CRubyのソースコードの歩き方
Guide to getting started walking source codes of CRuby
CRubyの内部実装を読み解くための方法論やコツを紹介する発表でした。Rubyのオブジェクトはどう実装されているのか、シンボルが「軽い」と言われる理由は何か、など普段使っている言語の裏側を覗いてみたくなりました。
DoomをRubyに移植する
Doomの描画エンジン(Chocolate Doomなど)をRubyに移植し、optcarrotとは異なるCPU-boundベンチマークとして提案する発表でした。ゲームのレンダリングアルゴリズムの話も出てきて面白かったです。
Ruby ↔ C++のツールチェイン構築
Building a Modern Ruby <-> C++ Toolchain
PythonにはC++ライブラリを取り込む仕組みが整備されていて、それがPythonにC/C++実装のライブラリが豊富な理由の一つだそうです。皆が手作業で移植しているのかと思っていたので、基盤の存在に驚きました。これをRubyでも実現しようという話で、成功すれば機械学習をRubyで扱える未来も見えてきます。
Bundlerを速くする
Faster Bundler, Happier Developers
bundlerの遅さの原因と改善策についての発表。uv(Rust製の高速Pythonパッケージインストーラ)のように速くしたいという話でした。依存関係の順序制約で並列実行ができないという課題は理解できましたが、解決方法の詳細は聞き取れず...英語力とRuby力の両方を鍛えたいと痛感しました。
SmalRuby:プログラミング教育とRuby
Smalruby: Visualizing Ruby with Bidirectional Transpiration
Scratch ↔ Rubyを相互変換できるSmalRubyというプロダクトの紹介。共通テストの情報科目で使われるDNCL(疑似コード)がPythonライクなため、「高校でDNCL → 大学でPython → Pythonっていいな!」という流れになり、Rubyistが育たないという問題意識がありました。教育にRubyを絡ませて未来のRubyistを育てようという取り組みは応援したいです。
Ruby Committers and the World
3日目朝の目玉セッション。Rubyコミッター同士の議論をライブで聞けるという贅沢な時間です。かろうじて理解できた内容をいくつか:
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String.freezeのデフォルト化:Rubyではfreezeしないと同じ文字列でも別オブジェクトになります。業務でも
# frozen_string_literal: trueはほぼ全ファイルに書かれているので、デフォルトにしても良いのでは、という議論 - deep_freezeの実装:オブジェクトが持つ変数を再帰的にたどって全てfreezeするメソッドの提案
- Stringに対するpopcount:bitsetを使えばいいのでは、と言われていた気がします
Matz Keynote
Rubyの生みの親、まつもとゆきひろさんによるキーノート。今回はSpinelというAOTコンパイラについてのお話でした。
Rubyは動的言語のためAOTコンパイルで型を静的に決定するのが難しく、歴史的にインタプリタ実行に依存してきました。実行速度の改善にはJITコンパイラ(YJIT/ZJIT)が導入されていますが、SpinelのようにネイティブバイナリをAOTで生成できれば、同一プラットフォーム上でRuby環境なしに実行ファイルを配布できるというメリットがありそうです。
夜のイベント:人と繋がる時間
RubyKaigiの3日間、毎晩企業がパーティーを開催してくれます。大抵は参加費無料です。
初日:Hello Drink Up!
昼間に全然人と喋れなかったので、ここで巻き返そうと参加。最初は全然うまく会話できず絶望していましたが、ベテランエンジニアの方が話の輪に入れてくださいました。少しだけ外国人の方ともコミュニケーションが取れたのも嬉しかったです。
2日目:社員さんたちと函館グルメ
2日目は公式イベントに参加せず、社員さんたちと夜ご飯へ。ラッキーピエロ(通称ラッピ)でハンバーガーを食べた後、海鮮の店で上質なウニ、ホッケの刺身、アスパラガスなど北海道の味覚を堪能しました。
3日目:freee Drink Up
個人的に興味のあったfreeeさんのDrink Upに参加しました。freeeの社員さんを質問攻めにしたり、逆に研究のことを聞かれたりと盛り上がり、勇気を出して参加してよかったと感じました。途中でビンゴ大会が始まり、なんと2位に。ノベルティグッズをいただきました。
まとめ:初心者こそ参加すべき
セッションが全部は分からなくても、企業ブースを巡り、人と話し、函館を楽しむだけで十二分に価値がある時間でした。現地で出会った人とTwitterで繋がったり、一緒に行ったメンバーと仲良くなれたりと、参加したからこそ得られた縁がありました。
来年までにやりたいこと:
- 英語のリスニング力を鍛える
- 自力で理解できるセッションを増やす
- CRubyのソースコードを読んでみる
RubyKaigi 2027は宮崎で開催です。 迷っている人は、ぜひ行ってみてください。











