本記事は airCloset Advent Calendar 2025 の19日目の記事です。
はじめに
こんにちは!airClosetでPMOを担当している、文と申します。
プロジェクト管理の現場で、ある日突然「昨日まで動いていたバッチが止まっている」「データがうまく更新されていない」といった事態に遭遇したことはあるかもしれませんが、私たちのチームでは、まさにそんな状況に直面していました。
今回は、長年頼りにしてきたGoogle Apps Script(GAS)の限界に直面し、それをn8nという新しいプラットフォームで解決したストーリーをお届けします。この取り組みは、単なる技術的な移行にとどまらず、プロジェクト管理の未来を大きく変える可能性を秘めています。
プロジェクト管理基盤
airClosetでは、プロジェクト管理やリソース管理の多くをGASで実現してきました。具体的には:
- Slack ← → Backlog ← → Google Spreadsheet
これらのプラットフォーム間で情報を自動同期し、チームメンバーが常に最新の情報にアクセスできる環境を構築してきました。通知の自動化、データの集計、レポートの生成など、様々な業務がGASによって支えられていたのです。
突如として訪れた危機
しかし、長年の運用を経て、GASで実装した処理や関数は数百種類を超えるまでに成長していました。
そして、ある時期から異変が起き始めました:
- バッチ処理が突然中断する
- データが予定時刻に更新されない
- 一部の連携が不安定になる
調査を進めると、原因は明らかでした。GCPのGASは、1日あたりのAPI呼び出し回数が20,000回までに制限されているのです。しかも、これは既に最高レベルのプランでの上限値。つまり、プランをアップグレードして解決できる問題ではありませんでした。
このシステムは、成長と共に自らの限界に到達してしまったのです。
緊急避難
まずは止血が必要でした。暫定対策として、バッチのトリガー頻度を下げることで、1日あたりのAPI呼び出し回数を削減しました。
しかし、これは本質的な解決ではありません。更新頻度が下がることで、情報の鮮度が落ち、チームの生産性にも影響されますと。「このままでは持続可能ではない」――その危機感が、私たちを次のステップへと駆り立てました。
新たな扉を開く:n8nとの出会い
SREチーム、そしてCTOとの議論を重ね、n8nというツールに出会いました。
なぜn8nがGASの限界を超えられるのか
n8nは、セルフホスト型のワークフロー自動化ツールです。最も重要なポイントは:
n8nは自社サーバー上で動作するため、GCPのAPI制限の影響を受けません。
つまり、1日20,000回という壁は、n8nの世界には存在しないのです。自由にワークフローを設計し、必要なだけAPI呼び出しを行うことができます。
n8nがもたらす可能性
API制限からの解放以外にも、n8nには魅力的な特徴があります:
- ビジュアルワークフローエディタ: ドラッグ&ドロップでワークフローを構築でき、視覚的に処理フローを理解できる
- 豊富な統合機能: 200以上のサービスとの連携が可能で、新しいツールの導入にも柔軟に対応
- カスタムコードの実行: 必要に応じてJavaScriptやPythonを直接記述でき、複雑なロジックも実装可能
- スケーラビリティ: 処理量の増加に応じてリソースを拡張でき、将来の成長にも対応
- エラーハンドリングの充実: 詳細なログとリトライ機能により、安定した運用が可能
- バージョン管理: ワークフローの変更履歴を追跡でき、問題発生時のロールバックも容易
移行プロジェクトの始動
n8nの可能性を確信した僕は、段階的な移行プロジェクトを開始しました。
まずは、既存のGASワークフローの中から、最もAPI呼び出し回数が多く、かつビジネスインパクトの大きいものを選定。それらをn8nに移植していきました。
移行作業は想像以上にスムーズでした。n8nのビジュアルエディタにより、GASでは複雑だったロジックが一目で理解できるようになり、メンテナンス性も大幅に向上しました。
未来への展望:さらなる進化
n8nの導入は、単なる問題解決以上の価値をもたらしています。
JIRAへの移行を見据えて
現在、プロジェクト管理プラットフォームをBacklogからJIRAへ移行することを検討しています。n8nはAIとの相性がすごく良いため、この移行プロセスにおいても大きな役割を果たすでしょう。
例えば:
- AIを活用した自動チケット分類
- 情報のリアルタイム追跡と更新
- 自然言語によるワークフロートリガー
- インテリジェントな優先度判定
- プロジェクトリスクの予測分析
これらの機能により、プロジェクト管理はさらに高度化していきます。
Google Workspace Flowsとの融合
さらに、Google Workspace Flowsとの組み合わせも視野に入れています。n8nとWorkspace Flowsが連携することで:
- Google Workspace内のデータをリアルタイムで活用
- 部門を跨いだシームレスな情報連携
- より洗練されたノーコード/ローコード環境の実現
これらが可能になり、技術者以外のメンバーも自由にワークフローを構築できる未来が見えてきました。
おわりに
GASの限界に直面したとき、大きな壁を前にしているように感じました。しかし、その壁を乗り越えることで、想像以上に広がる新しい世界を発見することができました。
技術的な制約は、時に新しいイノベーションへの入口となります。
n8nという新しいツールとの出会いは、プロジェクト管理に革新をもたらしただけでなく、AI時代における業務自動化の可能性を大きく広げてくれました。
これからも、チームと共に新しい技術に挑戦し、より効率的で創造的な働き方を追求していきたいと思います。
明日のAdvent Calendar の記事もお楽しみに!