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Oracle Cloud Infrastructure Databaseにおける LVM 構成の概要

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1.はじめに

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の VM Database System では、仮想マシンベースのデータベースを 単一ノード構成 もしくは マルチノード構成(RAC) として作成できます。
単一ノード構成では、インストール時に 「高速プロビジョニング(Fast Provisioning)」 を選択すると、ストレージのバックエンドに LVM(Logical Volume Manager) が採用されます。LVM を利用することで、スナップショット取得や柔軟な容量拡張といった機能を活用でき、単一ノード環境でも効率的なストレージ運用が可能になります。
本記事では、この LVM ベース構成の特徴、制約、そして設計時に押さえておくべきポイント を整理して解説します。

参考:Oracle Cloud Infrastructure『DBシステムについて

2.LVM構成の概要

Oracle公式ドキュメントによると、LVM構成は次の条件を満たす場合に利用できます。

  • 単一ノードのVM Database Systemであること
  • 「高速プロビジョニング」オプションを選択すること
  • カスタム・データベース・ソフトウェア・イメージを使用しないこと

注意:RAC構成ではOracle Automatic Storage Management(ASM)の利用が推奨されます。

3.LVM構成の技術的特徴(systemdによる自動起動)

LVM 構成では、Grid Infrastructure(ASM や Clusterware)を使用しないため、データベースの起動・停止は OS の systemd によって管理 されます。
具体的なユニットファイルの内容については Oracle の公式ドキュメントに記載されていますが、OS 起動時の自動起動設定は /etc/systemd/system/dbora.service に登録され、一般的には次のような設定が含まれます。

  • ExecStart:dbstart(OS 起動時にデータベースを起動)
  • ExecStop:dbshut(OS シャットダウン時にデータベースを停止)

このように、Grid Infrastructure を使用しない環境でも、正しく構成された systemd ユニットファイルにより、データベースの 自動起動 および 自動停止 が問題なく実現されます。

4.デフォルトのデータファイル配置(LVM構成)

LVM構成ではASMを使用しないため、データベースの各種ファイルは通常のファイルシステム上に配置されます。標準的なディレクトリ構成は以下のとおりです。

種別 デフォルトパス
データファイル(Tablespace) /u01/app/oracle/oradata//
制御ファイル /u01/app/oracle/oradata//control01.ctl
REDOログファイル /u01/app/oracle/oradata//redo01.log
リカバリ領域(FRA) /u02/app/oracle/fast_recovery_area//
SPFILE $ORACLE_HOME/dbs/spfile.ora
PFILE $ORACLE_HOME/dbs/init.ora
パスワードファイル $ORACLE_HOME/dbs/orapw
アーカイブログ $ORACLE_BASE/fast_recovery_area

Fast Recovery Area(FRA)には、アーカイブログに加えて RMAN バックアップフラッシュバックログ も保存されます。
また、Oracle 12c 以降では、アラートログやトレースファイルなどの診断情報は Automatic Diagnostic Repository(ADR) に格納されるのが標準的な動作です。
さらに、Oracle Net 関連の設定ファイル(tnsnames.ora、listener.ora など)は、$ORACLE_HOME/network/admin/ に配置されます。これは ASM 構成・LVM 構成のどちらでも共通の標準パス です。

5.高速プロビジョニングの特徴

LVM 構成は、ASM + Grid Infrastructure を利用する標準構成と比べて、構築時間が大幅に短い という特徴があります。

  • Grid Infrastructure のインストールおよび構成が不要
  • ASM ディスクグループの作成が不要
  • OS レベルの LVM 設定のみでセットアップが完了

そのため、短時間で環境を立ち上げたいケースや、検証用途のデータベース構築に適しています。

5.1 ストレージ設計とスケーリング

LVM 構成では、利用可能な最大容量は 割り当てるブロック・ボリュームのサイズと数によって決まります。
代表的な構成例は次のとおりです(環境によって異なる場合があります)。

初期ストレージ (GB) 最大ストレージ (GB)
256 2,560
512 2,560
1,024 5,120
4,096 20,480

データ領域とリカバリ領域(FRA)は 個別に拡張(スケーリング)可能 です。
また、運用上の推奨として FRA は総ストレージ容量の 20%以上 を確保することが望まれます。
特に RMAN バックアップやアーカイブログ運用を行う場合、FRA の逼迫がデータベース停止やアーカイブ停止につながる可能性があるため、事前のストレージ設計が非常に重要 となります。

6.LVM構成の制約

LVM 構成には、以下のようないくつかの制約があります。

  • Grid Infrastructure の機能が利用できない
    ASM や Clusterware による高度なストレージ管理機能やクラスタ機能は使用できません。
  • RAC 構成には非対応(ASM 構成が推奨)
    RAC では複数ノードから同一ストレージへアクセスする必要があるため、Oracle ASM を前提とした構成が推奨されます。
  • 高速プロビジョニング利用時の制限
    一部機能に制限があるため、標準イメージを使用することが推奨されます(カスタム・データベース・ソフトウェア・イメージは非対応)。
  • ストレージスケーラビリティに上限がある
    利用できる最大容量は、割り当てるブロック・ボリュームのサイズと数により決まり、ASM 構成ほど柔軟ではありません。

これらの特性を踏まえると、LVM 構成は 迅速なデプロイ や 限られたリソースでのシンプルな運用 に適した選択肢と言えます。

7.まとめ

LVM 構成は、単一ノード構成・高速プロビジョニング・標準イメージ利用を条件に利用できる、軽量かつ迅速なデータベース構築手法です。
Grid Infrastructure や ASM を使用せず、systemd による自動起動・停止で運用できるため、短時間で環境を立ち上げたい検証用途や限定的リソース下での運用に適しています。

一方で、Grid Infrastructure の高度な機能や ASM による柔軟なストレージ管理は利用できず、RAC 構成にも対応していません。また、ストレージ容量や利用可能な機能に制限があるため、用途や運用方針に応じた設計が不可欠です。

LVM 構成を適切に理解し、データファイル配置や FRA 容量、バックアップ運用を踏まえた設計を行うことで、単一ノード環境でも効率的かつ安定したデータベース運用が実現できます。

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