生成AIを使ってみたけれど、思ったような答えが返ってこない。そう感じている初心者向けに、プロンプト(AIへの指示文)の書き方を、コピペできる例文つきでまとめます。
先に言ってしまうと、返ってくる答えの質は、AIの性能より、指示の書き方で大きく変わります。同じ ChatGPT や Claude でも、頼み方ひとつで結果がまるで違う。自分は仕事で毎日 AI にコードや文章を書かせていますが、うまくいくときといかないときの差は、たいてい指示の側にありました。
この記事は、初心者がまず覚える「型」を一つ示して、そのあと、そのまま使える例文をたくさん並べます。難しい用語は使いません。長めなので、目次から必要なところだけ拾って、例文をコピペしてもらえれば十分です。保存しておいて、使うときに開く、という読み方を想定しています。
この記事は ChatGPT・Claude・Gemini など、チャット形式の生成AI全般で使える内容です。特定のサービスに依存しません。例文はコピペして、カッコの中を自分の内容に置き換えれば、すぐ使えます。
なぜ、頼み方で結果が変わるのか
AIは、こちらが言ったことだけを手がかりに答えます。人間の同僚なら「いつもの感じで」で通じますが、AIには、その「いつもの」が分かりません。だから、ざっくり頼むと、ざっくりした答えが返ってきます。
逆に言うと、何を、誰向けに、どんな形で欲しいかを伝えるほど、答えは狙いに近づきます。プロンプトを書くというのは、難しい呪文を覚えることではなく、頼みごとを具体的にすることです。
ここを勘違いして、特殊な言い回しや裏技を探しに行く人が多いです。でも、最初に効くのは、テクニックより具体性でした。誰に何をどう、を言葉にするだけで、返ってくるものは見違えます。この記事の例文も、特別な呪文は使っていません。全部、頼みごとを具体的にしているだけです。
まず覚える型:目的・相手・形式・制約
初心者が最初に覚えるなら、この4つを意識するだけで十分です。
- 目的 … 何をしてほしいか
- 相手 … 誰が読む・使うのか
- 形式 … どんな形で欲しいか(箇条書き、表、文章、コードなど)
- 制約 … 文字数、トーン、条件など
全部を毎回きっちり書く必要はありません。ただ、答えがイマイチなときは、この4つのどれかが抜けていることが多いです。困ったら、この4つを順番に確かめると、原因が見つかります。
たとえば「会議の議事録をまとめて」だけだと弱い。これを4つで補うと、こうなります。
次の会議メモを、議事録にまとめてください。
- 相手:会議に出ていない上司が読む
- 形式:決定事項・宿題・次回予定の3項目に分けて、箇条書き
- 制約:全体で400字以内、です・ます調
会議メモ:
(ここにメモを貼る)
頼みごとが具体的になっただけで、返ってくるものが安定します。やっていることは、特別なことではありません。人にものを頼むとき、自然と添えている情報を、AIにも省かずに言っているだけです。
弱い頼み方と、強い頼み方
同じ用件でも、書き方でこれだけ変わる、という例を並べます。前半が弱い例、後半が、型で補った強い例です。
文章を書くとき。弱いのは「商品の紹介文を書いて」。強いのは「30代向けの腕時計の紹介文を、オンラインストアの商品ページ用に、200字で、落ち着いた大人っぽいトーンで書いて」。
要約するとき。弱いのは「これ要約して」。強いのは「これを、内容を知らない人向けに、箇条書きで5点に、専門用語は避けて要約して」。
調べるとき。弱いのは「Reactについて教えて」。強いのは「プログラミング未経験の人に、Reactが何のための道具かを、たとえ話を交えて、300字くらいで説明して」。
メールのとき。弱いのは「お詫びのメール書いて」。強いのは「納期が3日遅れることのお詫びメールを、取引先の担当者向けに、言い訳がましくならないトーンで、代わりの納期を入れて書いて」。
差は、才能でも呪文でもありません。誰に・何を・どんな形で・どれだけ、を足したかどうか、だけです。この差を、以降の例文で具体的に見ていきます。
そのまま使える例文集:文章まわり
カッコの中を自分の内容に置き換えれば、すぐ使えます。よく出る場面から並べます。
文章を直してもらう
次の文章を、もっと読みやすく直してください。
- 相手:(社外のお客様)
- トーン:(ていねいだが、固すぎない)
- 制約:意味は変えず、長くしない
文章:
(ここに文章を貼る)
「読みやすく」だけだと方向が定まらないので、相手とトーンを足すと、直し方が安定します。
文章をチェックしてもらう
次の文章を、誤字脱字と、分かりにくい箇所だけ指摘してください。
- 形式:指摘の箇所と、直し方を、対で
- 制約:文章全体を書き換えず、直す場所だけ示す
文章:
(ここに貼る)
「全部書き換えて」ではなく「直す場所だけ示して」と頼むと、自分の文章を保ったまま直せます。
長い文章を要約する
次の文章を要約してください。
- 相手:(内容を知らない人)
- 形式:箇条書きで5点まで
- 制約:専門用語は、かんたんな言葉に言い換える
文章:
(ここに貼る)
要約は「何点まで」「誰向け」を指定すると、ちょうどいい粒度になります。
文章のトーンを変える
次の文章を、(カジュアルな)トーンに書き換えてください。
- 相手:(SNSのフォロワー)
- 制約:内容は変えず、固い言い回しだけやわらかくする
文章:
(ここに貼る)
同じ内容でも、相手に合わせてトーンを変えたいときに使えます。
箇条書きを文章にする(その逆も)
次の箇条書きを、つながった文章にしてください。
- 相手:(報告書を読む上司)
- 制約:です・ます調、3段落くらいにまとめる
箇条書き:
(ここに貼る)
メモを清書するときに便利です。逆に「この文章を箇条書きにして」も、同じ要領で頼めます。
そのまま使える例文集:仕事の連絡
メールの下書きを作る
次の用件で、メールの下書きを作ってください。
- 相手:(取引先の担当者)
- 目的:(来週の打ち合わせの日程調整)
- トーン:ていねい、簡潔
- 制約:候補日を3つ入れる
用件:
(ここに要点を書く)
お詫び・お断りの文面を作る
次の状況で、(お断り)の文面を作ってください。
- 相手:(依頼をくれた取引先)
- トーン:申し訳なさは伝えつつ、きっぱり
- 制約:理由は簡潔に、代わりの案を1つ添える
状況:
(ここに事情を書く)
言いにくい連絡ほど、トーンの指定が効きます。
返信の下書きを作る
次のメールへの返信を、下書きしてください。
- 相手:(社外の方)
- 方針:(日程は了承、場所だけこちらから提案)
- トーン:ていねい
受け取ったメール:
(ここに貼る)
受け取った文面を貼って、方針だけ伝えると、返信が速く作れます。
チャットの短い連絡を整える
次の内容を、(社内チャット)用の短い連絡文にしてください。
- 制約:3行以内、結論から、絵文字なし
内容:
(ここに貼る)
そのまま使える例文集:考えをまとめる
アイデアを出してもらう
(新しいブログ記事)のアイデアを10個出してください。
- 相手:(WordPressを使う個人開発者)
- 形式:タイトル案だけ、箇条書き
- 制約:初心者でも読めるテーマにする
アイデア出しは、数を指定すると量が安定し、相手を指定すると的が絞れます。
表で整理してもらう
次の内容を、表にまとめてください。
- 形式:縦に項目、横に(比較する対象)
- 制約:1マスは短く、一目で分かるように
内容:
(ここに貼る)
賛成と反対の両方を出してもらう
(この案)について、賛成の理由と反対の理由を、両方挙げてください。
- 形式:賛成3つ、反対3つ、箇条書き
- 制約:どちらも同じくらいの強さで
案:
(ここに書く)
一方に偏らせず、両論を見たいときに使えます。判断の材料を集めるのに向いています。
段取りを組んでもらう
(やりたいこと)の段取りを、順番に並べてください。
- 形式:ステップを番号つきで
- 制約:初心者がつまずきそうな所に、ひとこと注意を添える
やりたいこと:
(ここに書く)
質問で考えを引き出してもらう
(決めたいこと)について、私が考えを整理できるように、質問を5つ投げてください。
- 制約:一度に全部ではなく、1問ずつ
決めたいこと:
(ここに書く)
AIに答えさせるのではなく、自分に問いを投げてもらう使い方です。考えがまとまらないときに効きます。
そのまま使える例文集:学ぶ・調べる
かんたんに説明してもらう
(知りたいこと)を、初心者向けに説明してください。
- 相手:(その分野をまったく知らない人)
- 形式:たとえ話を1つ入れて、300字くらい
- 制約:専門用語を使うときは、必ず言い換えを添える
知りたいこと:
(ここに書く)
違いを教えてもらう
(AとB)の違いを教えてください。
- 形式:表で、観点ごとに左右に並べる
- 制約:初心者がどちらを選ぶべきかの目安も、最後に一言
比べたいもの:
(ここに書く)
似た2つの違いは、表で頼むと頭に入りやすいです。
翻訳してもらう
次の文章を、(英語)に翻訳してください。
- 相手:(海外のお客様)
- トーン:(ていねいなビジネス文面)
- 制約:直訳ではなく、自然な言い回しにする
文章:
(ここに貼る)
翻訳も、相手とトーンを足すと、固すぎたり砕けすぎたりを防げます。
コードについて聞く(少し慣れてきたら)
次のコードが何をしているか、初心者向けに説明してください。
- 形式:1行ずつではなく、全体の流れを段落で
- 制約:専門用語には、かんたんな補足をつける
コード:
(ここに貼る)
用途別の早見表
どの指定を足すと効くか、場面から逆引きできるようにしておきます。
| やりたいこと | 特に効く指定 |
|---|---|
| 文章を書く・直す | 相手とトーン |
| 文章をチェックする | 直す場所だけ、の制約 |
| 要約する | 何点まで、誰向け |
| トーンを変える | 変える前と後のトーン |
| メールを書く | 相手、目的、条件 |
| お詫び・お断り | トーン、代わりの案 |
| アイデアを出す | 数、相手 |
| 段取りを組む | 番号つき、注意点 |
| 説明してもらう | 相手のレベル、たとえ話 |
| 違いを知る | 表、選ぶ目安 |
| 翻訳する | 相手、トーン、自然さ |
迷ったら、この表の「特に効く指定」を足してから頼むと、外しにくくなります。
もう一歩、質を上げる小さな工夫
型に慣れてきたら、次の工夫を足すと、さらに安定します。
ひとつ。役割を与える。冒頭に「あなたは(編集者)です」と立場を指定すると、答えのトーンが寄ります。校正なら編集者、設計の相談ならエンジニア、というように、立場を一言足すだけで、返ってくる視点が変わります。
ふたつ。例を見せる。「こんな感じで」と完成例を1つ渡すと、AIはそれに合わせてきます。言葉で説明するより、例を見せるほうが速いことが多いです。自分も、欲しい形が言葉にしづらいときは、近い見本を1つ貼ってしまうほうが、結局そのほうが早いと感じます。
みっつ。一度で完璧を狙わない。返ってきた答えに「もっと短く」「3つ目だけ詳しく」と追加で頼む。会話を重ねて寄せていくほうが、最初の一発に全部を詰め込むより、うまくいきます。AIとのやり取りは、一往復で終わらせる必要はありません。
よっつ。出力の形を、先に見本で示す。「次の形式で出して」と、空欄の雛形を渡すと、その通りに埋めてくれます。表や定型の文書を作るときに効きます。
いつつ。だめな例も伝える。「ただし、(こういう言い回し)は避けて」と、避けたいものを名指しすると、外れが減ります。欲しいものだけでなく、欲しくないものを伝えるのも効きます。
トーンの指定、よく使う言葉
トーンは、ふわっとしがちなので、よく使う言い方を並べておきます。そのまま頼みに混ぜて使えます。
- ていねいだが、固すぎない
- 親しみやすく、くだけすぎない
- 簡潔に、結論から
- やわらかく、角が立たないように
- きっぱり、でも失礼にならないように
- 落ち着いた、大人っぽい
- 明るく、前向きに
「ちゃんとした感じで」より、こういう具体的な言葉のほうが、狙ったトーンに寄ります。
長い文章を渡すときの工夫
長い資料や、複数の文章をまとめて渡すときは、貼り方を少し工夫すると、扱いが安定します。
ひとつ。どこからどこまでが資料かを、はっきりさせる。「ここから資料」「ここまで資料」と区切りを書くと、指示と資料が混ざりません。
ふたつ。先に頼みごと、後ろに資料。長い資料を上に貼ると、肝心の頼みごとが埋もれます。指示を先に書いて、資料を最後に貼るほうが、伝わりやすいです。
みっつ。一度に欲張らない。長い資料に対して、要約も翻訳も分類も、と一度に頼むと、どれかが雑になります。まず要約、次にその要約を翻訳、と分けるほうが、結局きれいに進みます。
自分のプロンプトを直してみる
実際に、弱いプロンプトを、型で直す練習をしてみます。
最初のプロンプトが、これだったとします。
このデータをいい感じにまとめて
これだと、AIは「いい感じ」が何か分かりません。誰向けで、どんな形で、何を強調したいのか、手がかりがない。型で補うと、こうなります。
次のアンケート結果を、まとめてください。
- 相手:数字が苦手な上司
- 形式:要点を箇条書きで3点、そのあとに短い表
- 制約:専門用語は使わず、増えた・減ったで表現する
データ:
(ここに貼る)
直したのは、難しいことではありません。「いい感じ」を、相手・形式・制約の言葉に置き換えただけです。プロンプトの上達は、この置き換えに慣れていくこと、とも言えます。
もう一つ、別の例も見てみます。弱い版が、これ。
プログラミングについて教えて
範囲が広すぎて、AIも何から話せばいいか分かりません。絞ると、こうなります。
プログラミングを独学で始めたい人に、最初の一歩を説明してください。
- 相手:何の言語も触ったことがない社会人
- 形式:何を、どの順番でやるか、ステップで
- 制約:おすすめの言語は1つに絞って、理由を一言
「教えて」を、誰に・何を・どの形で、に置き換える。やっていることは、さっきと同じです。
やりがちな失敗
初心者がつまずきやすい点を、先回りで挙げます。
- 指示がざっくりすぎる。「いい感じにして」では、AIは何を「いい」とするか分かりません
- 一度の指示に、要望を詰め込みすぎる。多すぎると、どれかが無視されます。大きい用件は分けて頼む
- 返ってきた答えを、そのまま信じる。とくに事実や数字は、必ず自分で確かめてください
- 個人情報や社外秘を、そのまま貼る。無料サービスでは、入力内容の扱いに注意が必要です
- 一発で諦める。一度の答えがイマイチでも、追加で頼めば寄っていきます。会話の途中で投げ出すのは、もったいないです
- 専門用語で固めようとする。難しい言葉を使うより、ふつうの日本語で具体的に書くほうが、ずっと通じます
よくある質問
初心者からよく出る疑問を、短く答えておきます。
長いプロンプトほど良いのですか。長さは関係ありません。必要な情報が入っているかどうかです。短くても、相手と形式がはっきりしていれば、十分良い答えが返ります。
毎回こんなに書くのは大変では。よく使う頼み方は、メモに保存しておいて、使い回せばいいです。一度作れば、カッコの中を変えるだけで済みます。この記事の例文を、自分用にコピーしておくのもおすすめです。
英語で書いたほうが良いですか。日本語で問題ありません。日本語で具体的に書くほうが、無理な英語で曖昧に書くより、ずっと良い答えになります。
AIによって書き方を変えるべきですか。最初は同じで大丈夫です。この型は、ChatGPT でも Claude でも Gemini でも効きます。慣れてきたら、各AIの個性に合わせて調整すれば十分です。
思った答えと違うときは。AIを責める前に、頼み方を見直してください。たいていは、相手か形式か制約のどれかが抜けています。足りない指定を足して、もう一度頼めば、たいてい寄ります。
無料版でもこの書き方は効きますか。効きます。プロンプトの書き方は、有料・無料に関係なく効きます。むしろ、無料版で性能に限りがあるときほど、頼み方の差が出ます。
次の自分に渡すメモ
うまくいかないときは、AIを変える前に、頼み方を見直す。目的・相手・形式・制約のどれかが抜けていないか確かめる。例を見せると速い。一度で完璧を狙わず、会話で寄せる。トーンは具体的な言葉で指定する。長い資料は、区切りをつけて、指示を先に。そして、返ってきたものは鵜呑みにせず、自分で確かめる。プロンプトは呪文ではなく、具体的な頼みごとです。それだけ覚えておけば、最初は十分です。
参考
- 各サービス(ChatGPT・Claude・Gemini)の公式ヘルプにも、プロンプトの書き方ガイドがあります