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RPA開発者の現状(UiPath コミュニティ掲示板調べ) レポート2022を個人分析、考察してキャリアを考える

Last updated at Posted at 2022-12-25

この投稿はUiPath Advent Calendar (produced with UiPath Friends) Advent Calendar 2022の25日目の投稿です。この前の記事は下記2つです。

2022年のRPAに纏わることの振り返りPart1

UiPathFriendsの企画リーダーをした話②週次定例で学んだこと

はじめに

本記事はRPA(Robotic Process Automation)で世界的に有名である「UiPath」というRPA製品のUiPath フォーラム(コミュニティ掲示板)で実際にUiPathに関わっている人を中心にアンケート調査を実施して、纏められて公開されたレポートである「State of the RPA Developer Report 2022」を個人的に分析して考察した内容を記載している記事です。「世界中のRPA開発者の働き方、満足度、考えを知りたい」又は「今後の自身のキャリアについての参考情報がほしい」という方に読んで頂ければと思います。

2021年7月に今回書いている内容の2021年版があります。今回書いている内容と得られる情報に違いがありますので、見ていない方は是非こちらの記事も見て頂ければと思います。RPAを展開していくにあたっての注意点のナレッジが2021年版には記載しています。

「良いな!参考になった!」と思いましたら「いいね」を押して頂けると嬉しいです。

RPA開発者の現状(UiPath コミュニティ掲示板調べ) レポート2021を個人分析、考察してキャリアを考える

「State of the RPA Developer Report 2022」の概要

UiPath フォーラム(コミュニティ掲示板)でアンケート調査が行われ、纏められて公開されたレポートの2022年版になります。初回は2020年であり、今回で三度目の取り組みになります。2021年までは日本からの回答がかなり少なかったようなのですが、2022年はUiPath Japan社員のコミュニティマネージャーの方が翻訳しながら行う回答方法を発信した事によって、日本からの回答もこれまでよりは増えていると思います。2022年のレポート上は、回答者の地域情報はアジア太平洋日本地域(APJ)という項目でしか公表されていないため日本からの回答数がいくつだったかは不明です。

[UiPath Japan コミュニティマネージャーの方の発信]

公式の内容だけを知りたいという方は下記のUiPath公式ホームページに纏まっていますので、そちらをご参照下さい。私の記事では全てのアンケート項目の内容に触れているものではないため、全アンケート結果が気になる方も公式のレポートを見て下さい。アンケート調査期間は「2022年4月20日~5月30日」です。

UiPath公式ブログ 2022年版RPA開発者レポートからCoEリーダーが 5 つ挙げるポイント

どんな人が回答してくれているか

回答者数については、2020年が1,510人、2021年は1,011人であったのに対して、今回の2022年は1500人となりました。アンケートにご協力頂いた方はありがとうございました!500人程2021年から増加している結果となっています。回答数が増えているからUiPathに関わる人が増えたのかについて、このアンケート結果のみからはRPAの開発者が多くなったというのは判断できませんが、UiPathのコミュニティフォーラムの登録者数について、2021年6月頃は10万人でしたが2022年11月時点では15万人を超えて伸びているのと、コミュニティ参加者は150万から180万人(UiPath 2021 Impact Reportの記載情報)に成長しており、UiPathの総顧客数も増えていますので、UiPathへの新規参画者数自体は伸び続けていると思います。

UiPath公式 投資家向け情報、UiPath 2021 Impact Report Highlights

回答者達の国に関しては、2022年のレポートでは地域の分類を「アジア太平洋」「ヨーロッパ、中東、アフリカ」「アメリカ大陸」の3分類で表記されるようになりました。昨年まではインドが2020年(35%)、2021年(44%)と一番回答数が多い国でした。過去の傾向から今回も「アジア太平洋」地域内でのインドからの回答は多いものと推測します。今回の回答者の1500人の内訳は「アジア太平洋(58%):870人」「ヨーロッパ、中東、アフリカ(26%):390人」「アメリカ大陸(16%):240人」です。

年齢に関して、2022年のレポートから回答者の年齢に「Generation Z」、いわゆるZ世代と呼ばれる1990年代後半から2000年代頃の10代前半から25歳くらいの若者の項目が追加され、若い世代からのアンケートも今回増えている事が分かります。学生もアンケートに回答しており、全体の24%がこの世代からの回答になっています。学生と社会人では答えるアンケート内容が別々のものになっており、社会人側のアンケート結果に学生の意見は反映されないようになっているそうです。(社会人向けのアンケートは実務経験が無いと答えられないような項目が多いため、別々の内容にする必要があるためです)

学生からの回答が増えている要因の一つに「UiPath Academic Alliance」という学校等の教育機関とUiPath社が提携して学生に対して、RPAのスキル習得支援や繋がりの場の提供をサポートしている取り組みがあり、この影響で学生からの回答が増えている可能性があると考えます。学生チャンピオンを認定する取り組みも開始しており、この認定者数から判断するとやはりインドの方の人数が多く、学生への取り組みも活発な印象を受けます(人口が多いという点も有)。

[UiPath公式 Academic Alliance]

[UiPath Forum 学生開発者チャンピオン]

日本でもAcademic Allianceの取り組み事例はあるかもしれませんが、私はUiPathの日本国内でのAcademic Alliance事例をまだ見たことがありません。UiPathでの日本の教育機関関連でのニュースは2021年9月に公開された「慶應義塾大学AI・高度プログラミングコンソーシアム(以下「AIC」)との共催イベント」があります。2022年冬も開催されるそうです。今後日本でもAcademic Allianceのような取り組み事例が増えていく可能性はあると考えます。

UiPath社、慶應義塾大学にて社会実装に向けた自動化技術習得を支援 2021年9月

2022冬 UiPath x AIC コラボプログラムのお知らせ

もしかしたら、下記2件がAcademic Allianceに近いものか、Academic Allianceである可能性はあります。

業界と会社やチーム規模

2021年の集計結果と大きく変わっている点はなく、大企業含め中小企業所属の様々な企業規模の人からの回答が集まっています。業界については2021年と同様「金融・銀行」からの回答者が多く、約半数を占めています。

チーム規模(RPA関連の業務に携わっている方)について、2021年の時より50人以上の割合が前回23%から32%に増えていました。一年経過してRPAの規模が拡大している組織の影響はありそうです。2021年のレポートの中で拡大していくにあっての注意点を纏めていますので、拡大時の注意点を知りたい方は、2021年の記事をご参照下さい。

知っている言語

全体的に知っている言語の比率が2021年より下がっているのが特徴的でした。これは元々業務部門だった人の回答が増えた事によって、全体の割合が減っているのかと思います。「SQL」「.NET」「VB/VBA」が前回も今回も多いプログラミング言語となっています。

RPAの開発経験

今回の結果から6年以上の項目が追加され、6年以上は8%でした。大ベテラン勢ですね。一番回答数が多かったの2~5年であり、44%でした。私も3年半くらいなのでこの中に入ります。日本では2018年頃に急速にRPAが普及したブームがありました。この時に多くの企業が独自のRPA製品をリリースしたり、とりあえず導入したりする企業も多かった時代だと思います。そのため日本でRPAでの実務経験が多いのは4~5年になると思います。

企業(組織)のRPAの導入年数

企業(組織)のRPAの導入年数に関しては2021年が「5年以上が10%、3~4年が34%、1~2年が30%」であったのに対して、2022年では「7年以上が11%、5~6年が19%、3~4年が42%、1~2年が20%、1年以下が8%」でした。7年以上前は2015年より前になるため、かなりの先駆者組織であると思います。

下記UiPathの公式サイトでUiPath社の沿革を見る事ができます。UiPath社が「UiPathエンタープライズオートメーションプラットフォーム」を発表したのが2015年の事なので、リリース初期からずっと使用している企業の方も回答者の中にいる事が分かります。

UiPath公式サイト 会社情報

日本国内の現在のRPAの導入状況について、ITRという市場調査を行っている企業のレポートを見て、考えてみます。2020年から2021年に掛けて「導入済で拡大予定」と「導入済で現状維持」の回答は微増している状態となっています。2019年に一気に導入が進み、現在は少し落ち着いてきているような状況だと感じます。

国内市場規模(ライセンス売上げのみ)は上昇見込みであり、これから盛り上がってくる業界で導入に成功する事や既に導入している企業がRPAをより高度な使い方をしていく事や規模の拡大が上手くいく事で、市場規模は拡大していけると考えられます。様々な内容がレポートで纏まっていますので、視野を広げたい方は下記ホワイトペーパーをダウンロードして是非読んで頂ければと思います。

ITR:RPAの国内利用動向と業務自動化の方向性 ~調査結果が示す大企業の現状と課題~

世界の市場規模について、最近ガートナーという有名な調査企業からレポートが公開されており、こちらの予測でもRPAの市場規模は2024年まで上昇見込みとなっています。

その他に使用している技術について (2022年 New)

2022年からアンケート項目に追加されて集計されました。UiPath以外で使用している技術(製品)について他にどんなものがあるかというものですが、7割近くが「Microsoft」で一位でした。MicrosoftはパソコンのOSやOffice、Power Platform等で関わる事が世界的にも多く、割合も高いのだと思います。SQL Serverが2位だったのですが、おそらくオンプレのOrchestratorを扱っているとSQL Serverに関わる可能性が高いので、その関係で利用している技術となっているのかもしれません。RPAに関わる前からソフトウェアエンジニアとして、利用している人が多いから割合が高い事も考えれます。「Google」「Jira」「SAP」も30%以上の回答となっており、関わっている人が多い事が分かりました。

RPA開発者としてのキャリアにどの程度満足しているか

アンケートの結果は、やや満足している(31%)、大変満足している(65%)で回答者の96%が概ね満足しているという結果になっています。2021年は97%でしたので、アンケート回答者の人達はRPA開発者のキャリアに対して満足されている人が多い事が分かります。私も満足してます。

組織は、RPA開発者としての私の仕事を評価しているか

組織から評価されているかというアンケートになりますが、80%以上が評価されているという回答をする中、評価されていないと回答割合が前回よりも数パーセント増えています。組織からの評価はトップダウンからの動きがあり、会社の施策としてRPA導入している企業は、成果を出せれば評価されやすいと思います。

ボトムアップからの動きのみで会社の施策としてRPA導入している状態にまだ至っていない場合は、成果を出しても評価されにくい状況だと思われます。こうした特定の部門内だけでの利用の場合でもRPAが運用まで上手く乗って、効果を実感する人が徐々に増えてくると部門内での評価が上がったりはします。

「評価されるにはどうすれば良いか」ですが、「RPAを使って自動化しました、削減時間XXです」のみの報告だけではなく、会社の戦略や自部門の戦略や現状の問題や課題に対して、RPAはどんな良い結果を出していて、今後それは更にどうなるのか等経営側が評価し易いような情報を揃えて、報告をする事で必要な予算を増やして貰えたり、評価されたり、トップダウンからの動きが出てきたりする事があります。評価をされないと感じる方は自分の報告の仕方に問題がないか、まずは確認してみる事をお勧めします。(リスクはありますが情熱を持って自社を変えたいという想いがなければ評価されやすい環境(他チームや他社等)への転職も選択肢の一つです。転職する場合は大きく環境が変わるとかなりのストレスが掛かるため時期は考えた方が良いです)

RPA業界は、今後5年間で高い成長性が見込まれると思いますか

成長性に関しては、強くそう思うという回答が少し減っているのとどちらでもないという回答が少し増えているのが気になりました。RPA活用において、先進的な国や企業では、RPA導入での拡大はかなり進んでいて、更に拡大していく見込みが少なくなっていたり、業務プロセス変革やシステム刷新やデータ連携基盤の導入が進んでRPAに適した改善効果の大きい業務が減っていたり、UiPathの技術進歩のスピードがやや遅く感じる(新しい仕組みや機能の展開)といった点で成長性が高いという回答が少なくなってきているのではないかと感じました。開発のし易さはバージョンアップで更に上がっていますが、ハイパーオートメーションやインテリジェントオートメーション、セマンティックオートメーションの分野で、まだ未成熟な部分があると感じます。

ハイパーオートメーション、インテリジェントオートメーション、セマンティックオートメーションが何か分からない方は下記の記事をご参照下さい。

このような状況に対し、UiPath社は2022年の8月にコミュニケーションマイニングを強化するために「Re:infer」という会社を買収しています。コミュニケーションマイニングは「コミュニケーションに関連するデータを分析するプロセスマイニング」であり、コミュニケーション上の問題の特定やナレッジの収集をしてそれを活用させる事ができます。詳細は下記のリンクをご参照下さい。

三菱総合研究所 働き方改革 第3回:コミュニケーションマイニングで変わるポストコロナの働き方

また、Web版の開発ツール「Studio Web」や「Integration Service+Connect Builder」「Process Mining」「Task Mining」の強化とともにセマンティックオートメーションの進化を取り組んでいくとUiPath FORWORD 5というイベントで発表がありました。この半年から一年に掛けてどこまで進化するのか、また今後の成長見込みを世の中にしっかりと広められるかで来年の成長性へのアンケート結果は変わってくると思います。 

2022年10月での製品展開に関しての情報は、下記リンク先の資料「オートメションの未来を切り拓く!UiPathの新たなプラットフォームと世界のユーザーたち」のスライドにUiPath Japan公式からの発表スライドがあるので、こちらを見て頂くと良いと思います。

UiPath Friends Festival 2022 オートメーションの未来へ繋がれ!みんなで創ろう文化展 イベント資料

RPA開発者としての仕事は、次のキャリアアップや次のキャリアに良い影響を与えると思うか

こちらのアンケートは2021年同様に80%以上が良い影響を与えると回答しています。UiPathでのRPAの開発は開発を行う事で「プログラミング的思考の向上」がされ、そもそもの業務も見直す作業を担当する場合、「業務改善の能力向上」「業務知識の向上」「データを整理、扱う力の向上」もされていきます。また、RPA開発をやりながら「セキュリティ基礎」「プログラミング基礎」等を研修や自己学習で知識やスキルを習得する事もできます。これらの知識やスキルはこれからのデジタル社会で仕事だけではなく、生活をより豊かに過ごすために持っておくと良いもので、様々な事に応用する事ができると考えます。私もRPAに関わりつつ「コンサルスキル」「BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)」「様々な製品や技術の理解」の習得を行う事ができて、とても良い影響を与えてくれたと感じています。自分が将来どのような役割や仕事に就きたいのか考えて、必要なものを気にして学んでいく事で様々なキャリアを描いていく事ができると思います。

今後12ヶ月間に新しい仕事を探す予定がありますか

積極的に探しているが30%、積極的ではないがチャンスをうかがっている48%で2021年と同様、新しい仕事を探している方が多い結果となっています。「なぜ転職に興味があるか」というアンケート結果では「給与・報酬の増額」「キャリアアップの機会」「新しいスキルを身につける機会」が前回も3つ、ほとんど同じ割合で選択されており、今回も各75%の割合で3つが選択されています。自身のキャリアップを行って、給与を増額させたい成長志向の方が転職を考えている人には多いようです。このアンケート結果となった転職に興味のある項目に対して、現在の会社で満足されるように対応されると、今の会社に留まる人も多いのではないかと思います。

RPA/Automationに今後少なくとも5年間は 携わることになると思いますか

76%の人が「はい」と答えており、多くの人がRPAやAutomation関連で直近のキャリアを描いている人が多い事がわかります。いいえは5%でしたので、低い割合だと感じます。私もAutomation関連で直近のキャリアを考えているので「はい」でした。

あなたの組織では、今後12ヶ月間にRPA開発者をより多く採用することになると思いますか

間違いなく採用するが56%、可能性が高いが35%で90%以上が増加見込みの回答となっています。増加しないと回答している中には、RPA導入に見切りをつけて縮小を考えている所とかなりRPA導入が成熟しており、既存の体制で進めていくので問題ないと判断している回答が混ざっていると思います。

あなたは、現在の職務において、それぞれの分野をどの程度重視し、満足していますか。現在の職務においてこれらの領域はどの程度重要ですか。

リーダーシップは私を信頼していると回答している人の割合が前回56%から68%に増えており、活動が評価されていると感じる人が増えています。学べる環境である事や昇進の機会等の満足度も全体的に上昇傾向にありました。RPAはRPAの立ち位置がしっかりとしてきたうえで運用を続けている会社は効果を組織として感じており、RPAの活動が会社としてしっかり評価をされてきている所が増えているのではないかと思います。全体の満足度が向上している事はとても良い事だなと感じました。

RPA開発への習熟度(2022年 New)

2022年から後続のアンケート結果を4つの習熟度別に分析するために、回答者の習熟度が集計されるようになりました。習熟度の集計結果は「Beginner(初級レベル):14%」「Intermediate(中級レベル):20%」「Advanced(上級レベル):36%」「Expert(専門家レベル):30%」でした。習熟度の区分けが少し曖昧ですが、アカデミーの受講や資格の内容を知っている方はそこの初級、中級、上級レベル、専門家レベルに当てはめている思います。私の感覚的には初級は初心者レベル、中級はStudioで開発を独力で行えるレベル。上級はReFrameworkやコードチェックを正しく行う事ができ、後進育成もできるレベル、専門家レベルは開発ルールを整備したり、技術的な難しい問題を解決できたり、UiPathの開発に深い理解があるようなイメージです。回答者によって自分のレベル判断のものさしが変わっていると思います。

1週間にどのような活動に取り組んでいますか

一番多かった回答は「RPAソリューションの構築」で70%の方が取り組んでいます。ソリューション構築は実際の開発作業の事だと他の回答と比べて思います。「RPAソリューションの本番運用」は初級でも携わっている人がいますが、中級以上から関わってくる方が50%を超えていきます。RPAは初心者でも簡単に初めの開発自体は進める事はできますが、保守運用にはある程度の開発力がないと安定して運用させていく事が難しいため、中級者以上の方の関りが多いのだと思います。

全体の傾向的には習熟度のレベルが上がるにつれて、幅広い分野の活動をやる比率が上がっている事がこの結果からわかります。専門家レベルの人は半数以上が開発に関わるものは、何でもやれるような開発に関わるなんでも屋さんになっています。私の周りでも専門家レベルは要件定義もやるし、他者成果物のレビュー等品質管理もするし、RPAのソリューションアーキテクト(RPAに適しているかや他製品や技術との比較)の作業をしている人は多いです。見積もりや品質管理については、レベルの高い人がレベルの低い人でも同様な事ができるようにドキュメントを揃えたり教育を行ったりする事で、全体のレベルを引き上げる事ができますので、レベルの高い人達には是非周りのレベルを引き上げる活動にも取り組んで頂ければと思います。

良い仕事/自動化を実現する上で、最も不満に思うことは何ですか

2021年のレポートでは「自動化に最適化されていない、または適していないものを自動化する」が一番不満の高い項目でしたが、2022年は「ドキュメンテーションが不完全または不正確なもの」が僅差で一位の項目となりました。「十分なトレーニングを受けていない」「やることが多すぎる」「ビジネス・ワークフローが複雑 」以外の項目は習熟度が高くなるに連れて不満に感じる人の割合が増えています。「十分なトレーニングを受けていない」の項目は初心者の方が不満に感じている人が4割近くいます。

「自動化に最適化されていない、または適していないものを自動化する」が昨年より、10%近く下がっている要因として、「要件定義担当者のレベルが上がった」「業務部門側もRPAに対して何が適しているのか分かるようになってきた」「業務部門-要件定義担当-開発担当のコミュニケーションレベルが向上した」「プロセスマイニングやタスクマイニングの導入によって適している業務にアプローチし易くなった」等が考えられます。次回のアンケートでは「自動化に最適化されていない、または適していないものを自動化する」を不満に上げていない方を対象に、プロセス・タスクマイニングを利用しているかどうかを確認する事で、何故この不満が下がったのか、深堀をする事できると感じました。

2022年に重点的に学習するRPA(UiPath)のトピックは(2022年 New)

下記の結果となっています。一位の「DocumentUnderstanding」は海外の情報を見ていると結構活用されている印象です。日本は日本語対応が22.10でようやくプレビュー版になっていますので、日本も今後注目される機能になる可能性があります。AIを活用していくために必要なものとプロセスマイニングへの関心の高さから学習したいトピックにこれらの項目が上がってきていると感じます。

一位:Dcument undersdanding
二位:AI
三位:Machine learning
四位:Process mining
五位:OCR

なぜ、RPA技術を選んだのか。またUiPathを選んだ理由は(2022年 New)

「ユーザーフレンドリーである」「習得のしやすさ」「コミュニティ」「柔軟性と統合性」の項目が7割近くでRPA技術を選んだ選択としてあがってきています。UiPathを選んだ理由はこれらの項目が他のRPA製品と比べて優れていると判断されている事が分かりました。「企業文化」は大差ありませんでした。

2020年に私がUiPathの優れている点を纏めた情報がこちらですが、私個人的にUiPathが特に優れている点としては戦略的RPA展開及びレベルを上げていくために必要な情報(ドキュメントやe-learnning)が揃っている事だと思います。RPAに関わるドキュメントを一から考えて作ったりする事はとても時間が掛かる事で、それを作成するにあたって、ITIL(※1)やプロジェクトマネジメントの知識や経験のあるレベルの高い人が必要になってくる部分をより多くの人が導入や保守運用し易いように情報を展開出来ている事が効率的なRPA導入を強くサポートしていると思います。まだ優れている情報の扱い方や存在自体を知らなかったりする方が、多くいたりしますので、この既存ある情報を上手く扱っていけるようにする活動は引き続き私もサポートしていきたいと考えています。

※1 ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティスをまとめた一連のガイドブック

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どの製品に最も関心がありますか?専門知識を身につけたいですか?(2022年 New)

専門家の半数の方がAI Centerに関心を持っているようです。RPAのレベルを上げていくにあたって、AIとの協業はインテリジェントオートメーションの実現に向けて、必要不可欠となるため高度なRPA活用を検討する立場の方は必然的に関心が高くなるのだと思います。

学生へのスポットライト

生徒の回答はほとんどがアジア(96%)で、おそらく前述で説明しているAcademic Alianceの影響でインドからの回答が多いと思われます。「コンピュータサイエンスの学位取得を目指しています」の回答が86%となっており、「C/C++」が分かるの回答も88%と高く、ITについて本格的に学んでいる学生からの回答が多い事がわかります。RPAの存在を知ったのは「大学の授業でのコース」の回答が約8割となっており、多くの方が授業やコースからRPAの存在を知っている結果となっています。日本でもいま学生にRPAを知っているか確認してもほとんどの人が知らないという回答になるかと思います。(ITパスポートの勉強でRPAの問題に触れるとそこで初めて知るケースがあります。ITパスポート令和元年秋期 問33でRPAについて出題されていたり、参考書で登場していたりします)

「RPA開発への就職を考えている」と回答した人が72%おり、学生からの人気もそれなりにあるものだと感じます。学生時代にUiPathのアソシエイトや上級の資格を取得する生徒もおり、入社してすぐにスタートダッシュして活躍できそうです。インドやアメリカの学生で学んでいる事の詳細は別途詳しい人の話も聞きつつ、現状の日本との差異や課題を今後調べたいなと思います。

学生の部分について日本でのIT教育に関して、少し触れてみましょう。日本では2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、2021年度に中学校が必修化され、中学校で「技術・家庭」の技術分野の授業でプログラミングに関する内容を増加し、2022年度から高校で共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」が必須科目になり2024年度からは大学入学共通テストに「情報」が追加される予定です。

何故情報の科目が日本の教育で全員が学ぶべきものになったかの背景ですが、現在皆様の身近なものに、私生活ではスマートフォンがあったり、オフィスワークではパソコンを扱う事が多かったり、駅で乗車券を買う時やお店で注文をする時等、人の生活と情報技術というのは密接に関わっている世界になっています。この流れは将来的には更に情報との関りが増えてくると思われるため、情報を上手く活用する資質・能力を身に付けるために学校で教育が開始されています。

小学校ではプログラミング的思考(※2)を中心に育成し、中学校では小学校よりも複雑なプログラミングを学び、生活や社会を支える情報技術の役割や仕組みの理解について学び、高校では「情報I」という科目の中で「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」について学びます。高校の情報Iはイメージ的にはITに関する基礎知識を問う国家試験である、ITパスポート(iパス)のストラテジ系、マネジメント系がないテクノロジ系のみに近いものと思います。何故違いがあるかについては、ITパスポートでは「仕事で求めれる知識の習得」、情報Iでは「情報社会に主体的に参画できるような資質・能力の知識やスキルを習得」するのを主目的にしているために違いがあると考えます。

※2 文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」から引用

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といった事を論理的に考えていく力。

このプログラミング的思考について、私はRPAの開発をやっていれば鍛える事が可能なものだと思っています。

上記の情報を書くために参考にしたサイトは下記です。学生への情報教育に興味がある方はこちらのリンク先も読んで頂くと良いと思います。

日経BP:小学校から大学までつながる情報教育(1)――2024年度から共通テストで「情報」が必須に

文部科学省:高等学校学習指導要領 情報科関係資料

IPA:ITパスポート 試験内容・出題範囲

【最後に】私の考えるRPAのキャリアについて

最後に私が考えるRPAのキャリアについて記載します。これは「State of the RPA Developer Report 2022」とは関係ないものとなります。一人の人のキャリアの考え方を自分のキャリアの参考情報として読んで頂ければと思います。

2021年の記事でも記載している内容と被る部分が多いですが、IPAの人材白書2020の調査結果によると今後IT業務の増加割合が高いものは部門別に下記の通りとなっています。純粋に市場価値を高めていきたいのであれば、自分が働きたい役割で今後増加する見通しの業務の関連スキルを伸ばすのが良いと思います。

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[引用元 IPA IT人材白書2020)]https://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/hakusho_dl_2020.html

RPAは「社内業務プロセス設計」と「データ分析などの高度化による情報活用」に関係してくる部分はあります。社内業務プロセス設計ではSaaSへの移行やプロセスの見直しをした時にRPAでできる事はあるかの観点が必要になりますし、データ分析は非構造化データを構造化したり、BIツールと連携させてRPAで処理をさせたりという使い方が増えていくと思います。全てをできるようにするのはかなり習得に時間が掛かるので、自分のこれまでのキャリアで培った得意な部分とRPAやローコード、ノーコードスキルを身に付けるのが良いと個人的に考えます。RPAやノーコード、ローコードを扱えるようになることで新システムや業務の適応能力も上がると思います。この適応能力が今後の仕事でより重要になってくると思います。

RPAを既に使いこなしている人は難易度の高い開発(インテリジェントオートメーション)をできるようにしたり、他の技術(AI等)や製品(kintone等)と連携できたり、データ分析(BIツール活用)やセキュリティ、コンサル領域、業務プロフェッショナルやビジネス領域、プロジェクトマネジメント力、テストやインフラ保守運用自動化分野を伸ばしていく事で、様々なキャリアを描けると思います。それにより市場価値を更に向上したり、維持し続けたりする事ができると考えます。RPAやローコード、ノーコードを扱える人は年々増えており、それに伴い需要と供給のバランスで単価も徐々に下がっている傾向があります。労働単価やお給料を上げていくには、ただ開発ができるだけではなく、ビジネスプロセスリエンジニアリングができたり、業務改善ができたり、プロジェクトマネジメントができたり、ソシューションアーキテクトができたり、業務専門知識があったり、大量のロボットの管理ができたり「RPA開発+α」での差別化が必要だと考えます。RPAの仕事は意識的に何かを学ぼうと思う事で、様々な事を学べて、実践できる環境であると思います。これはRPAに限らず他の仕事でも同じ作業をしている人でも、意識的に何かを学ぼうとして、日々知識やスキルを向上しているとそうでない人で徐々に差が開いていると感じます。

自分のこれまでの経歴や得意な事と掛け合わせる事で、他の人との差別化が行えると思います。RPAで気を付けなくてはいけないのは、RPAは関わる技術や製品、業務が多岐に渡るため、色々知識習得や経験をしたい気持ちは出てきますが、全てのプロになる事は難しいため、自分のキャリアの軸を決めて、必要なものを学んでいく事が必要になってきます。

ここからは私自身が考えている個人的なキャリアについて記載します。私はシステム開発や運用、プロジェクト管理の様々な幅広い知識や経験があり、コミュニケーション能力にも自信がある所が強みであるため、RPAに関わらず各専門家達(データ基盤、インフラ、分析/BI、アプリ、業務、経営)と協力して、Automation(インテリジェントオートメーションやハイパーオートメーション)のソリューションを構築及び運用していく事をサポートする、BPRの能力比率が高いITコンサルタントを直近は目指しています。業務よりではなく、BPRのやり方や進め方のプロフェッショナルのイメージです。ずっとこの方向性で進んでいくのかは、また数年経過した後に再度見直そうと思っています。

私の今の弱みは高度な分析知識やスキルが浅い事、英語でコミュニケーションが取れない事、専門的な業務や技術知識がない事で、これまでの幅広い経験が強みでもあり弱みにもなっています。(英語や分析に必要な数学は学生時代に苦手のまま放置していたせいですが、、)

これらの弱みを全て強みを伸ばす活動と並行として克服しようとすると全てが中途半端になってしまうと思い、まずはAutomationとBPRの軸をしっかりと固めてから必要に応じて習得すべきものを習得していこうと考えています。特定の業務や技術、分析の知識やスキルをもっと深められたらいいなという気持ちはありますが、人生で使える時間は限られており、全てを手に入れる事は難しいです。強み部分を更に強化し続けていく事で弱み部分は克服しなくても戦っていける事もあるので、本当に自分に必要なものかは考える必要があります。英語は直近できない事で不利益に感じる事が多いのと学習期間も重要であると考えるため毎日数分でもコツコツ継続してやる方針にしています。

上記のような各プロフェッショナルの人と会話して、このような仕事をしていくためには各プロフェッショナル分野の基礎知識と必要に応じて部分的に深い理解が必要となってきます。繰り返しになりますが、全ての業種、業務領域の分野について幅広くやっていくと専門にしているプロフェッショナル達には敵わないため、自分の得意な業種、業務領域を作り上げていく観点も必要だと感じます。幅広い業務をこなすゼネラリストと呼ばれる人達は、幅広い分、知識やスキルが浅くなってしまいがちになってしまうため、自分の強みや経験から軸を決めて、軸の部分では多くの人よりも優れている何かを維持し続ける事で、今後も活躍し続けられると考えます。技術や業務知識だけではなく、解決すべき真の問題や課題を見つけて解決策を考える力や、計画に落とし込む力や調整する力、コミュニケーション力のような様々な仕事で使える汎用的なスキルを早い段階から学んで伸ばしていく事も大切だと思います。

複数チームや部門間のコミュニケーションを上手く取れるようになりたい方は、IT-業務部門間のコミュニケーション問題を例にコツや必要な知識を纏めていますので、下記情報を参考にして頂ければと思います。

[IT部門、業務部門間のコミュニケーションを円滑に行える人材を目指したい方向けの情報]

自分が何を学べば良いか分からないという方は、自分がやりたい仕事内容の求人情報をみて、求められる知識や経験を抑えたり、ITに関してはIPAのITスキル標準の情報を参照したり、社内、社内外の尊敬する人や転職エージェントに相談する事で、自分に足りている部分、足りていない部分を知る事ができると思います。私が今回書いている内容もそうですが、個人の意見は「人の思考や行動に偏りが生じている」事を前提に考えて、最後は自分の頭でしっかりと考える事が大事です。

自分が進みたいキャリアへの対応が遅れると数年経過後に、一度年収を落として実施者レベルで経験を積まないといけないものがあったりして、その時に年収が落とせない場合はそのキャリアを諦めなくてはいけなくなる事もあります。軸を徐々にずらしていく事で、年収を維持しながら、やりたい仕事に近づいていく事は内容や工夫次第でできる可能性があるため、簡単に諦められない場合は、そのやり方でできないかも考えると良いと思います。

IPA ITスキル標準関連

経済産業省やIPAの下記サイトにIT人材育成や学習に役立つ情報が纏められていますので、何から学べば良いのか全然わからない方は、こちらを見るのがお勧めです。

経済産業省:IT人材の育成

IPA:デジタルスキル標準(DSS)

何故学ぶ必要があるのかについては、下記お勧めの情報があります。

Linkedin:「リスキリング」自分の人生を演出する手段に〜人事院 伊藤かつらさん

デジタル庁:デジタルを活用する未来に向けて

情報処理学会:ぺた語義:情報科教員を目指すにあたって -新学習指導要領実施に向けて準備すべきこと-

ビジネス環境や市場、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難になっている状況ですので、定期的にキャリアについて考えて、学びや行動を変化させていくと良いと思います。

最後の最後に一つ、注意点として将来の事を毎日毎日考え過ぎてしまうと、「今を楽しめない」ようになってしまう事もあります。私も将来のため、将来のためと長い期間日々努力していた時期がありましたが、長期間その状態を維持した結果、楽しい事を純粋に楽しいと思えなくなっていました。

現在は「今」も楽しまないと人生がもったいないと思い、今を大事にする比率を上げて日々行動する事で幸福度が上がった気がします。将来の事をまったく考えなくなったわけではありません。楽しい事をやっている時は将来の事を考えない事で楽しむ事です。嫌な事を忘れられるような趣味等は努力する期間中も定期的に行って、それを楽しむ事が人生を楽しむコツだと今は思います。数年やらないでおくと、数年後に楽しもうとやっても楽しさを感じられなくなってしまう事もあります。

下記書道家の武田双雲さんの「人生を豊かに生きる思考法がユニークすぎた」の動画の中で、「今の選択が未来の道筋を決めている」「将来ばかり気にしていると今に生きていない」とおっしゃっていて、たしかになぁと思いました。興味ある方は下記動画を見ると、自分が抱えている悩みが軽くなったりするかもしれません。

ここまで読んで頂いた方はありがとうございました。より深堀したい部分が下記参考情報内にあれば、そちらの情報も是非見て頂くと良いと思います。

【参考情報】

2022年版 UiPath社によるRPA開発者実態調査結果の日本語速報レポート!

2020年版 State-of-RPA-Developer-Report

2021年版 State-of-RPA-Developer-Report

UiPath:UiPath Student Developer Champions

IPA:DX白書2021

ガートナー社の2023年の戦略的テクノロジートレンドトップ10

Gartner:ガートナーは、世界のローコード開発技術市場が2023年に20%成長すると予測しています

経済産業省:我が国産業における人材力強化に向けた研究会-報告書

経済産業省:人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0~

経済産業省:未来人材ビジョン

デジタル庁:デジタルを活用する未来に向けて

IPA:デジタル時代のスキル変革等に関する調査

IPA:3. デジタルのスキル変革ウェビナー2021~ラーニングカルチャーが組織と個人の価値を決める~(トピックス①調査結果から見えてきたスキル変革に向けた今後の方向性)

IPA:ITパスポート試験、試験内容・出題範囲

デジタルリテラシー協議会

日本経済団体連合会:Society 5.0

情報処理学会:ぺた語義:情報科教員を目指すにあたって -新学習指導要領実施に向けて準備すべきこと-

内閣府:AI戦略

文部科学省:高等学校学習指導要領 情報科関係資料

日経BP:小学校から大学までつながる情報教育(1)――2024年度から共通テストで「情報」が必須に

Insidebigdata:2023年のビッグデータ業界の予測

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