はじめに
先日、JSTQB Advanced Level テストマネジメント(ALTM)に合格しました。
正直に言うと、この試験の勉強を始めたとき、一番困ったのは「教材がない」ことでした。
Foundation Level(FL)には参考書や問題集はあります。
でもALTMは違う。
書店に行っても、Amazonを探しても、日本語の対策本は見つかりません。
あるのは、JSTQBが公開しているシラバスと、数万円する有料のウェブ教材くらい。
「これ、どうやって勉強するんだ?」
そこから始まった話を書きます。
同じようにALTMを目指している人の役に立てば嬉しいです。
自己紹介:未経験からQAエンジニアになった
簡単に経歴を書いておきます。
私はエンジニアとはかけ離れた業界を経験し、30代半ばに未経験でQAエンジニアになりました。
現在は開発会社のQAリーダーを担当し、ソフトウェアの品質保証を担当しています。
QAの世界に入ってから8年。※2026年7月時点
テスト実行から始めて、設計、そしてマネジメントへと役割が変わっていく中で、体系的な知識が必要だと感じるようになり、ALTMに挑戦すると決心しました。
教材がない、という現実
まず、ALTMの学習環境について、正直な現状を書きます。
- 公式シラバス:JSTQBのサイトで無料公開。これが唯一にして最大の一次情報。2026年時点の最新はV3.0
- 日本語の参考書:「見つけられませんでした」
- 問題集:「見つけられませんでした」
- 有料ウェブ教材:存在するが数万円と個人で買うにはハードル高め。。
つまり、ほぼシラバス一本で戦うことになります。
しかもALTMのシラバスは、テスト活動のマネジメント・プロダクトのマネジメント・チームのマネジメントという3つの大きな章で構成され、抽象度が高い。
読むだけでも骨が折れますし、読んだだけでは、まず頭に入りません。
だから、自分で学習アプリを作った
私はQAエンジニアですが、個人でアプリ開発もしています。
そこで、こう考えました。
「参考書がないなら、自分の勉強用に作ってしまえばいい」
そうしてできたのが、JSTQB ALTM テストマネジメント問題集・対策ノートというアプリです。
もともとは完全に自分用でした。
通勤中に復習したい、章ごとに理解度を確認したい、苦手なところを可視化したい、などなど。
そういう「自分が欲しかった機能」を並べていったら、形になっていました。
開発にはGoogleのGeminiを活用し、Flutterで実装しました。
問題文や解説の生成、コードの補助までAIに手伝ってもらい、2〜4週間で最初のリリースまで漕ぎ着けています。開発の記事はリンク先で。
現在はApp Storeで公開しています(無料、一部プレミアム機能あり)。
👉 JSTQB ALTM テストマネジメント問題集・対策ノート
具体的には、こんな機能を入れています。
- テキスト学習:シラバス全3章の要点を、学習しやすい単位に整理
- 単語帳:重要用語をカードで暗記。重要度(必須/重要/参考)の3段階表示付き
- シラバスを聴く:音声読み上げによる耳からの学習
- 練習問題:章別演習と総合演習の2モード。現在122問を収録
- 弱点克服:間違えた問題を重点的に復習
- 学習データ分析:章ごとの正答率・暗記率をグラフで可視化
実際の勉強法
ここからが本題です。私が実際にやったことを、順番に書きます。
1. シラバスを通読する(ただし、理解しようとしない)
最初にやったのは、シラバスを頭から通読することでした。
ここで大事なのは、一回目は理解しようとしないことです。
ALTMのシラバスは抽象度が高く(個人的な見解です。)、初回で理解するのは無理があります。
まずは「全体像を把握する」「どんな章があるか知る」ことだけを目的に、最後まで読み切りました。
所要時間は5時間くらいでした。
2. 章ごとに、演習で確認する
通読したあと、章ごとに戻って、実際に問題を解きながら理解を深めていきました。
自作アプリの章別演習を使って、「読む → 解く → 間違えたところを読み直す」を繰り返しました。
読むだけだと分かった気になるのですが、問題にすると、自分がまったく理解していないことに気づきます。
特にリスクベースドテスト、品質コスト(CoQ)の4分類、ハーズバーグの二要因理論あたりは、用語の定義が細かく問われるので、演習と読み直しの往復が効きました。
3. 苦手な章を、数字で把握する
アプリに成績グラフと弱点分析を入れていたので、どの章の正答率が低いかが一目で分かりました。
私の場合、特に苦手だったのは2章でした。
4. スキマ時間は、音声学習で
通勤中や移動中は、机に向かえません。
そこで、音声で用語や定義を流し聞きする時間を作りました。
これは特に、用語の定着に効きました。
ALTMは用語の正確な理解が問われるので、繰り返し耳に入れておくのは有効だったと思います。
5. 直前期にやったこと
試験が近づいてからは、サブスク利用をしていたAIで問題を作ってもらい演習。
そして、アプリの問題演習。
これらを2週間ほどひたすら繰り返しをやりました。
勉強時間と、時間の作り方
正直に書きます。
私の場合、勉強期間は6ヶ月ほど、1日あたり1時間程度でした。
ただ、これはまとまった時間が取れたわけではありません。
仕事はいくつもプロジェクトに携わり、同時期にリリース日を迎えるなんてことが何回もありましたw
そんな状況だから、平日がっつり机に向かうのは難しかった。
なので、できるだけ朝早く起きて、「30分でもやる!」という形で、細切れの時間をつなぎ合わせました。
もちろん、毎日継続してやった方がいいですが、やれないこともあるので、
その時は「また再開しよう」と気楽にやれば良いマインドで続けました。
試験本番
試験の形式
JSTQB ALTM(新シラバスV3.0対応)の試験は、CBT方式・選択式で、試験時間120分・全50問でした。合格ラインは65%(おおむね34〜35問正解)です。
実際に受けてみて
数年前に受けたFLの時は、「決まった日に指定の会場に行き、マークシート方式でテストをする」スタイルでした。
今では、テスト会場の空きがあれば、最寄りの試験会場に行き、そこでPCに回答を入力(4択から選択する問題様式)をするスタイルに変わっています。
受けてみて印象的だったのは、出題の傾向です。私が受けたときは、以下のような特徴がありました。
- シラバスに書かれた用語の意味を直接問う問題が多い
- 品質コストが「金額」で計算させられる問題が出た
- 見積もりの計算問題はほとんど出なかった
- アジャイル/ハイブリッド開発での進め方を問う問題があった
- 医療・金融・社会インフラ(交通系システムなど)を題材にしたシナリオが多かった
- プロダクトオーナーが「品質を落とさず開発を早くしたい」といった、現実にありそうな無理な要求を出すシナリオが使われていた
この傾向は、試験後にアプリの問題を見直す際にも反映しました。実際に受けた人間の感触をコンテンツに還元できるのは、自作アプリならではだと思います。
時間配分について
これから受ける人へのアドバイスとしては、「シナリオ仕立てのマネジメントに関する」テストです。
ALTMでは「どうマネジメントしていくか」を問われると情報を持っていました。
ただ、予想以上に作り込まれたシナリオチックの問題文になっていました。
例えばこんな感じです。
【例題】
あなたは海外のメンバーと日本のメンバーが混在するマネージャーです。最近、Aさんが参画したことで、既存メンバーとの確執が生まれてきました。プロジェクトを円滑に進めるために行うべきアクションはどれか。
日々の業務で起こりそうなことを出題されるので、慌てずシラバスに書かれた考えをベースに「自分ならどうするか」で問題を解いていけばOKな問題です。
これから受ける人へ
最後に、これからALTMを受ける人に伝えたいことを、いくつか書きます。
シラバスがすべての一次情報です。
参考書がない以上、シラバスを何度も読み込むしかありません。
ただ、読むだけでは定着しないので、必ず演習とセットにしてください。
用語の正確な理解を軽視しないこと。
私が受けた限り、用語の意味をそのまま問う問題がかなりありました。
「なんとなく分かる」ではなく、定義を自分の言葉で言えるレベルまで持っていくと強いです。
計算は、見積もりより「コスト(金額)」を押さえること。
見積もり計算はあまり出ず、むしろ品質コストを金額で問う問題が出ました。
CoQの4分類と、その金額計算には慣れておくと安心です。
完璧に理解してから受けよう、と思わないこと。
ALTMは範囲が広く、「全部分かった」という状態には、いつまでも到達しません。
ある程度理解が進んだら、受けてみる。
落ちても、どこが弱いかが分かるだけで前進です。
おわりに
ALTMは、教材が少なく、情報も限られている資格です。
だからこそ、合格した人が、その過程を書き残す意味があると思っています。
もし、この記事が少しでも役に立ったら嬉しいです。
作ったアプリも、よかったら使ってみてください。もともとは自分の合格のために作ったものですが、同じように教材がなくて困っている人の助けになれば、それが一番嬉しいです。
👉 JSTQB ALTM テストマネジメント問題集・対策ノート
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