導入
最近、「とりあえず動くコードを書くこと」だけに重点を置いたプログラミング言語の入門書(以下、言語入門書)が増えてきたと感じています。
具体的には、基本用語や仕組みの説明がほとんどなく、
「このコードを打てばこう動きます」
という手順に終始してしまう構成です。
私は、こうした入門書にはいくつか問題があると考えています。
この記事では、読者が入門書を選ぶ際の参考になるよう、「理想の入門書とは何か」を改めて整理してみたいと思います。
※本記事には個人的な考察が含まれます。
「問題がある」言語入門書とは?
特徴
- とにかく動かすことだけを目的としている
- 基本概念や用語の説明が極端に少ない
- 例:
- 「これはおまじないです」として理由を説明しない
- 入門段階でPandasなど応用的なライブラリをいきなり扱う
こうした構成は一見わかりやすく見えますが、
後から本格的に学ぼうとした時に必ず壁になる
という問題があります。
「理想の言語入門書」とは?
- 環境構築のガイドが具体的
- 型・文法などの基礎事項を網羅している
- 基礎的でないライブラリ(例:NumPy・Pandas)を扱わない
- 難しい概念は前提知識から順序立てて解説する(例:Rustの所有権)
以下、それぞれ詳しく述べます。
1. 環境構築のガイドが具体的
環境構築は、初学者が最初にぶつかる大きな壁です。
そのため、抽象的な説明ではなく、その通りに入力すれば必ず進めるレベルの具体性が求められます。
例:
- 「WSL をインストールする」
よりも - 「管理者権限の PowerShellで
wsl --installを実行する」
のような明確な手順の方が理解しやすいです。
また、YouTube 等にも環境構築の解説は多くありますが、
「入門書だけで完結したい」読者にとっては、書籍内で丁寧に案内されていることが重要だと考えています。
2. 型・文法などの基礎事項を網羅している
基本概念は言語習得の土台であり、ここが欠けると必ず後で苦労します。
変数や型といった概念は、未経験者には特に理解が難しいことが多いため、丁寧な説明が不可欠です。
3. 基礎的でないライブラリを扱わない
入門書は「実践で便利なツールを作る」ための本ではありません。
応用ライブラリの解説は、入門段階ではむしろ負担になりやすく、理解を妨げること、蛇足になることさえあります。
4. 難しい概念は前提知識から順序立てて解説する
Rustの所有権・メモリ管理・ポインタなどは、前提知識なしで理解するのは困難です。
私が使用している『ゼロから学ぶRust』では、所有権の前にメモリの仕組みが説明されており、理解しやすい構成になっています。
前提知識 → 本題
という順序があるだけで、理解の負荷は大きく減ります。
なぜ「問題のある言語入門書」が増えてしまうのか?
結論
- 読者が気持ちよく学べる構成のほうが人気が出やすい
- レビューが良くなれば売上が上がるため
解説
プログラミング学習は
「動く」→「楽しい」→「もっと学びたい」
という流れでモチベーションが高まります。
手順を真似するだけで動く本は、この楽しさを簡単に体験できるため、読者から高評価を得やすい構造になっています。
一方で、基礎概念を丁寧に説明する入門書は、理解に時間がかかるため、初学者には「難しい」と感じられやすく、評価が下がることもあります。
結果として、
売れるのは“動くことに特化した入門書”になりやすい
という傾向が生まれています。
なぜ「基礎を重視する本」を理想の入門書とするのか?
基礎概念を理解していないと、応用的なプログラムを組む際に必ず壁にぶつかります。
逆に、基礎がしっかりしていれば、
- 新しい技術を学びやすい
- 実践的なコードが書きやすくなる
- トラブル時に原因が追いやすい
といったメリットがあります。
そのため、私は基礎を丁寧に説明した入門書を「理想の入門書」と考えています。
まとめ
- 最近問題のある言語入門書が増えている
- 問題のある言語入門書とは?
- とにかく動かすことを目的とした、基本的な用語の説明をしない入門書
- 良い言語入門書とは?
- 環境構築のガイドが具体的
- 型・文法などの基礎事項を網羅している
- 基礎的でないライブラリを扱わない
- 難しい概念は前提知識から順序立てて解説している
- なぜ問題のある言語入門書が増えているのか?
- 読者を気持ちよくさせるため
- そうして良いレビューを増やして、著者・出版社がより多く得するから
- ではなぜ気持ちよくなるような本を「問題のある入門書」と表現しているのか?
- 基礎的な概念を理解しないでいると、応用的で実践的なプログラムが組めなくなるから
今回の内容は以上です。
今回、記事を執筆するに至って下記の記事を参考にさせていただきました。
そして、この記事を執筆するに至ったきっかけとなる動画がこちらになります。
ここに感謝を申し上げます。