この記事の前提
- 何も考えずに生成AIへデータ分析を任せたらどうなるか
- ネタ
- 数時間程度だとこんなものかって思いながら、地道に改善していくしかない
結論
- Google Cloud導入評価のデモで、バズ記事の法則の分析と内容を提案させたらネタで終わった
- ネタと化しただったのは分析。集計・SQL・可視化は圧倒的に速い
- AIは高速化装置としては優秀。何を分析すべきかは人間が考えろ
概要
会社でGoogle Cloudの導入評価をしている。上長向けに「BigQueryでデータ分析がこんなに簡単にできます」というデモを作りたかった。そのままGoogle CloudのGeminiチャットに「バズる記事の法則を分析して内容を提案して」と投げた。
返ってきた「バズる記事タイトル案」:
- Claude 3.5 Sonnet を使って爆速でWebアプリケーションのUIを自動生成する実践ガイド
- 【2024年最新】AIエージェントへのプロンプトインジェクション対策10選
- How do I debounce a function call in JavaScript?
2026年に「Claude 3.5」と「2024年最新」を提案してくる。Stack Overflowの超有名既出質問をもう一回投稿しろと
これをデモで見せられない
Google Cloudの導入評価のはずが、ただのネタに
なぜバズ分析
Google Cloudのイベントに参加。担当の方からフォローアップをいただいた。提案は「BigQuery + Looker Studioでデータ分析」「Vertex AI Searchで社内ナレッジ検索」のスモールスタートPoC。
上長との打ち合わせ前に、まず自分で触る。$300の無料トライアル枠がある。何か面白いデータを入れて「BigQueryだとこういうことが簡単にできます」と見せたい。
手元にあったのが技術記事のデータ。ZennやQiitaを読んでいる。最近はまともに見てないけど。だけど「バズる記事のパターンをデータで分析してみよう」なら、デモとしても面白いし自分の興味とも合いそうだと思った。
想定していた流れは、WebでPublicに公開している技術記事をCSV化し、BigQueryにアップしてSQLで集計。仕上げGeminiに自然言語で分析を投げ、AIが勝手にグラフまで作ってくれる
実際には、データ取得とBigQueryへのアップロードまでは問題なく進む。つまずいたのは最後のそのまま生成AIにデータ分析を任せた結果
データ収集
Zenn・Stack Overflow・Qiitaから合わせて約20,000件。取得項目はタイトル、いいね数、コメント数、ブックマーク数、タグ、記事タイプ、投稿日時、本文。
ここまでは良い
Geminiに投げたプロンプト
CSVをBigQueryにアップロード。BigQueryの対話型分析ツールに投げた:
- プラットフォーム別に、いいね数が上位10%の「バズった記事」を特定して、共通パターンを分析して
- バズった記事のタイトルに頻出するキーワードを抽出して
- プラットフォームごとに「どんなテーマが刺さるか」の違いを比較して
- 今から書くならどんな記事がバズりやすいか、プラットフォーム別に5つずつ提案して
- 結果をグラフで可視化して
Geminiが返してきた提案
Zenn向け
- Claude 3.5 Sonnet を使って爆速でWebアプリケーションのUIを自動生成する実践ガイド
- Next.js App Router でパフォーマンスを最大化する10の秘訣
- マイクロサービス時代のデータベース設計パターン10選
- 駆け出しエンジニアがぶつかる壁「設計」を乗り越えるための必読書15選
- モダンなCI/CDパイプラインを構築するために意識すべき7つの原則
Qiita向け
- 【2024年最新】AIエージェントへのプロンプトインジェクション対策10選
- 爆速開発を実現!Claude Codeで「企画→デプロイ」を自動化した話
- 「成長しない」と悩むエンジニアへ、僕が実践したたった1つの習慣
- 【決定版】Claude Code「幻覚」問題への終止符
- 【緊急速報】人気のOSSに仕込まれた新たなサプライチェーン攻撃の全貌と防御策
Stack Overflow向け
- How do I debounce a function call in JavaScript?
- What are decorators in Python and how do they work?
- How to properly handle Optional in Java?
- Understanding the event loop in JavaScript
- How to efficiently filter a Pandas DataFrame?
1. 2年前のモデルを堂々と推薦
Zenn向け1位に「Claude 3.5 Sonnet」。2026年4月現在、最新はClaude 4.7。3.5は2024年のモデル。
約20,000件の published_at にちゃんと日付が入っているのに、データの時間軸を見ていない。
「今は2026年」と指摘したら、今度はこう
- Claude 4.7を前提としたAI-Nativeなクリーンアーキテクチャの再定義
2. Stack Overflowに「記事を書け」と言う
「How do I debounce a function call in JavaScript?」は既にSO上に存在する超有名質問。数千のupvoteがついている。「バズる質問を投稿しろ」ではなく「既にバズった質問をもう一回投稿しろ」
3. 「バズった記事のタイトルっぽくしろ」
Geminiの分析要約:
- Zennでは「実践的」「網羅的」な技術記事が強い
- Qiitaでは最新のAIツールやセキュリティへの反応が速い
- Stack Overflowでは具体的な問題解決が中心
間違ってはいない。だがこの「分析」から出てきた提案が「爆速」「完全版」「〜選」「【緊急】」の連呼。
Geminiがやったことは、バズった記事のタイトルを見て、よく出てくる単語を抽出し、その単語を組み合わせてタイトルを生成する、というそれだけ
4. 循環論法
Qiitaのバズ記事(上位10%)のタグ分布:
| タグ | バズ記事 (101件) | 通常記事 (899件) |
|---|---|---|
| ClaudeCode | 38件 (37.6%) | 193件 (21.5%) |
| AI | 38件 (37.6%) | 235件 (26.1%) |
| Security | 12件 (11.9%) | 62件 (6.9%) |
| ポエム | 9件 (8.9%) | - |
| 初心者 | 17件 (16.8%) | 83件 (9.2%) |
AIタグの記事はバズりやすい。で、Geminiの提案5本中4本がAI関連。データを見なくても今AIの記事がウケやすいと肌感でわかる。。。。なので最近はあんまりZennやQiita見てない。。。
5. 修正を伝えても...
「2026年だ」と伝えた結果:
- Claude 4.7を前提としたAI-Nativeなクリーンアーキテクチャの再定義
- 寝ている間に機能実装が完了していた件
- Claude 4.7 がリリースされた朝に僕が考えた「生き残り戦略」
- AIに仕事が奪われる?
- Why does Claude 4.7 hallucinate specific memory addresses in C++26 legacy code?
自分でデータを見てみた
Geminiの分析がちょっとアレだったので、手元でちょっと見てみた
Zennバズ記事のタイトルパターン
| パターン | 該当率 |
|---|---|
| 数字入り(N選、N個) | 21.3% |
| AI/LLM/Claude関連 | 12.8% |
| 入門/初心者向け | 4.5% |
| まとめ/一覧/チートシート | 3.9% |
| 〜した話/〜してみた | 3.2% |
数字入りタイトルが2割。裏を返せば8割は数字なしでバズ。Geminiの「〜選」全推しはデータの多数派を無視しているとのこと
実際のトップ記事
Zenn 1位は「Webサービス公開前のチェックリスト」(2,877いいね)。煽りゼロ、数字なし、実用特化。
Qiita 1位は「Claude Codeですべての日常業務を爆速化しよう!」(1,834いいね)でAI系だが、2位は「エンジニア歴20年の私が、素人バイブコーディング勢に物申す」(1,165いいね)。ポエム×逆張りがしっかり刺さっていると言っている
SO 1位は「Why is conditional processing of a sorted array faster than unsorted?」(27,525 votes)。2012年の質問で、CPUのブランチ予測を扱った深い技術的知見が今でも票を集めているとのこと
バズの本質はタイトル芸ではなく、読んだ人が得をすること。それは当たり前。AIはタイトルの表面パターンしか見てないような気がする
Geminiがダメではない。多分。問題は丸投げ。それはそう。
集計、SQL生成、可視化は良い。プラットフォーム別のいいね分布やタグ分布、上位10%の閾値計算やクロス集計、棒グラフや円グラフの描画までワンプロンプトで通る。SQLを手書きしていたら1時間かかる集計が自然言語で数十秒
苦手だったのは分析。相関(AIタグ×高いいね)を因果(AIだからバズる)と混同
Geminiにデータ分析を丸投げすると、「パターンの要約」は返ってくるが「洞察」はめちゃくちゃ(多分Geminiのハルシネーションの多さだと思うあとはテキトーなプロンプトの結果と丸投げのせい)
使ったもの
BigQueryにデータを置いてSQLで叩き、Geminiで対話型分析と可視化を試した。記事執筆の補助はClaude Code。GCP側は$300の無料トライアル枠で全部まかなえたので、この規模なら実質無料。インフラとしてのコスパは問題ない。ダメだったのは本当に「分析を丸投げした」部分。数時間程度だとこんなものかって思いながら、地道に改善していくしかないね。。。