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TiKVにおけるRocksDBの最適化 — SSTコンパクションガード(2)

Last updated at Posted at 2025-12-10

このブログは、siddontang"How We Optimize RocksDB in TiKV — SST Compaction Guard"の抄訳です。翻訳はGeminiの翻訳をベースに、@bohnenが担当しました。

TiDB Xがコンパクションを再考する方法

TiKVのSSTコンパクションガードは、RocksDBにおける書き込み増幅を大幅に削減します。

しかし、次世代アーキテクチャである TiDB X では、さらにその先を行きます。なぜなら、ストレージの基盤全体が変わったからです。

TiDB Xはオブジェクトストレージ(Amazon S3など)上に直接構築されており、これによりリージョン、コンパクション、データ移動に対する考え方が根本的に変わります。

リージョンの移動が軽量に

TiKVのシェアードナッシングアーキテクチャでは、ノード間でリージョンを移動するには以下が必要でした。

  • ネットワーク経由でのデータ転送
  • SSTファイルの書き換え
  • コンパクションのトリガー

これはコストがかかります。

しかし、TiDB Xでは:

データはローカルディスクではなく、オブジェクトストレージに存在します。

リージョンの「移動」は、単に新しい計算ノードに同じ基礎データを指し示すことを意味するだけであり、非常に高速で低コストです。

リージョンサイズをはるかに大きくできる

リージョンの移動が安価であるため、リージョンのサイズを劇的に大きくすることができます。

一般的なサイズ:

  • 現在のTiKV: ~96MB(v8.4より256MB)
  • TiDB X: リージョンあたり最大1GB、あるいはそれ以上

より大きなリージョンは以下を削減します。

  • メタデータのオーバーヘッド
  • スケジューリングの頻繁な変更(チャーン)
  • リージョン分割の頻度
  • コンパクションの断片化

この変更だけで、TiKVで観察された多くのテールレイテンシ(長時間の遅延)の問題が解消されます。

各リージョンが独自の専用LSMツリーを持つ

TiKVでは、多くのリージョンが同じRocksDBインスタンスを共有しており、以下の原因となっていました。

  • リージョン間のコンパクション干渉
  • キーの混在による書き込み増幅
  • コストのかかる DeleteFilesInRanges 操作

TiDB Xでは:

各リージョンが専用の、分離されたLSMツリー(またはストレージスペース)を持っています。

これは大きな利点をもたらします。

  • あるリージョンのコンパクションが他のリージョンのデータに触れることは決してありません
  • SSTパーティショナーは不要です
  • リージョン操作はメタデータのみになります
  • ホットスポットリージョンは独立してスケールします
  • 設計上、リージョン境界との不整合の問題がありません

この設計により、RocksDBレベルのコンパクション問題の全クラスが解消されます。

リージョンの分割/マージはメタデータのみ

各リージョンのデータは分離されているため:

  • リージョンの分割 = メタデータの分割
  • リージョンのマージ = メタデータのマージ

SSTファイルの書き換えはありません。重いコンパクションもなく、コンパクションはリモートで行うことができます。

これは、リージョンが同じLSMツリーを共有していたため、RocksDBでは効率的にサポートできなかったことです。

積極的な操作のためのリモートコンパクション

データはS3にあるため、TiDB Xはリモートコンパクションジョブを実行できます。

  • 非同期に
  • コンピュートプレーンの外で
  • フロントエンド(ワークロード)のレイテンシに影響を与えずに

リモートコンパクションにより、アクティブな計算ノードに触れることなく、ストレージを積極的に再編成、マージ、クリーンアップ、最適化する自由が得られます。

これは、ストレージとコンピュートの真のクラウドネイティブな分離に向けた大きな一歩です。

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参考文献

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