はじめに
産業現場では、未だにRS-232インターフェースを使う機器が数多く存在しています。
このような機器をネットワーク対応させるニーズは年々高まっていますが、機器の改修はコストや時間の面で大きな課題になります。
そこで、既存の機器にそのまま追加できる、RS-232⇄Ethernet変換モジュールを自社で開発しました。
製品概要と設計のポイント
- RS-232 ⇄ Ethernet データ変換
- Modbus RTU/TCP両対応
- MQTT/MQTTS、SSL対応
- 動作温度範囲:-40〜85℃
- 電源電圧:5V〜40V
- PoE(IEEE802.3af)オプション対応
- D-Sub9ピン RS-232コネクタ搭載
- コンパクトサイズ:58mm × 52mm
産業環境や制御盤内に組み込みやすいよう、サイズや配線性も重視しました。
🔧 設定方法と活用例
✔ Config Toolを使った基本設定
PP-Ethernet-RS232は、WIZnet社の「Configuration Tool」に対応しており, IPアドレスの設定、通信モード(TCP/UDP)、ポート番号、シリアル通信パラメータなどをGUIで簡単に設定できます。
デバイスはUDPブロードキャストで自動検出され、設定の適用後は即座に通信が開始されます。
✔ ATコマンドを使った制御
RS-232経由でATコマンドによる設定や制御も可能です。
コマンドは2文字の英大文字で構成され、設定の読み取り・書き込みに対応しています。
ファームウェアやホストMCUから直接制御スクリプトに組み込むこともでき、柔軟な運用が可能です。
✔ MQTT連携でクラウド接続も簡単
モジュールはMQTT/MQTTSクライアントモードに対応しており、ブローカー情報(ホスト名、ポート、トピックなど)を設定するだけで、シリアルデータをクラウドへパブリッシュすることができます。
IoT用途や遠隔監視に最適です。
✔ Modbus RTU ⇄ TCP変換の動作確認
産業用プロトコルであるModbusにも対応しています。
既存のModbus RTUデバイスを、Modbus TCP経由で制御するためのブリッジとして使用できます。
試験では、PC上のModbus TCPマスターソフトからRTUスレーブへのアクセスが問題なく行えました。
✔ POE対応可能
POEモジュールを搭載することで、POE対応が可能です。
まとめ
このモジュールは、レガシー機器の延命や、簡易なIoT化を支援するために設計されました。
RS-232ベースの設備に対し、最小限の手間でEthernet対応が可能となります。
技術的なご質問や導入相談は、お気軽にご連絡ください。