rsp.の仲間と衛星内通信バスのとしてCANはありかという話になった。ちょうど調べていたところだったので、いくつか紹介する。
衛星搭載通信バス
SAVOIR Advisory Groupのリファレンス衛星アーキテクチャの提唱する衛星搭載通信バス(Onboard communication BUS) *1)
- MIL-STD-1553B
- UART
- CAN
- Spacewire
MIL-STD-1553B
*2), *3)
シリアル通信によるデータバスで、差動信号を使用するRS-422/RS-485を元にしている。MIL-STD-1553は、バスコントローラ(BC),リモートターミナル(RT),バスモニタ(BM)からなりそれぞれの間をツイスト線またはシールド線(同軸ケーブブル)でつなぐ。たぶんBCがマスタ、RTがクライアントノード。
OSI参照モデルの物理層とデータリンク層の機能を持ち、MACアドレスに相当するアドレスでエンドtoエンドの通信を制御すると思われる。ネットワーク層以上は規定されていないが、CCSDS(宇宙データシステム諮問委員会)の規定するプロトコルに対応させているようである。
UART
AOCSセンサの制御に使用されると書かれている。AOCSはAttitude and Orbit Control Subsystemの略なので、衛星の姿勢や軌道制御に関わるセンサとの通信にUARTが使用されるということだろう。プロトコルまで規定されているかもしれない。
AOCSセンサとして以下が挙げられる。*4)
- 太陽センサ
- 磁気センサ
- スタートラッカー
- ジャイロ
- GPS受信機
CAN
*5)
CAN (Control Area Network) は、2本のワイヤーで2値信号を送り、2本のワイヤー間の電位差でバスの論理状態が決まるインタフェースである。原型はボッシュ1983年に発表し、1986年SAE(Society of Automotive Engineers)の会議で正式に発表された。そして、1991年 CAN 2.0規格が制定された。国際標準としてデータリンク層がISO11898-1、物理層がISO11898-2が制定されている。
ISOのCAN標準を補完するためECSS(European Cooperation for Space Standardization) によるCAN標準 ECSS-E-ST-50-15-CANbus extension protocol が制定された。*6)
- 宇宙機アプリケーションのためのCAN bus物理層仕様を規定
- 宇宙機アプリケーション内CAN bus上の上位レイヤプロトコル(CANopen)
- CANopenプロトコルに基づいたリアルタイム制御アプリケーションのための同期データ転送手法
- CANopenプロトコルに基づいた宇宙機アプリケーションの時間基準信号分配
- CAN busフレームIDの付与
- CAN bus冗長性管理
Spacewire
*7), *8)
SpecewireはECSSにより2003年に ECSS-E-ST-50-12C *9) として標準化された。Spacewireの処理ノード間を接続するもので、低エラーレート,低面積,低コスト,低遅延,全二重,ポイントtoポイントで結ぶシリアル接続,ワームホール方式経路設定(?)の特長を持つ。
特長
- 高性能の衛星搭載データハンドリングシステムを構築を提供
- システム統合コストの削減
- サブシステム間データハンドリングの互換性を提供
- 異なるミッションを越えてデータハンドリング機器を再利用を促進
※ESAが制定した標準なので自画自賛している面がある
リファレンス
- esa United space in Europe : Architectures of Onboard Data Systems Busses
- esa United space in Europe : Mil-STD-1553
- JAXA 宇宙機設計標準体系 : JERG-2-431 MIL-STD-1553B オンボードサブネットワーク設計標準
- Attitude & Orbit Control System (AOCS) Introduction Page 23
- esa United space in Europe : CAN - Controller Area Network Bus
- ECSS-E-ST-50-15C – CANbus extension protocol
- esa United space in Europe : SpaceWire
- JAXA 宇宙機設計標準体系 : JERG-2-432 Space Wire オンボードサブネットワーク設計標準
- ECSS-E-ST-50-12C Space engineering SpaceWire – Links, nodes, routers and networks