業務自動化といいますが、自動化するためのツールってたくさんあります。「その業務、別にその特別なツール使わなくていいんじゃねー!?」ってことありますよね?ということで、業務の種類、環境、ユーザーの種類、などにより分類してみましたー。
1. コア業務の自動化 (会計、人事、CRM、ERPなど)
RPAお勧め度: ☆☆☆☆☆
人事、給与、管理会計、サプライチェーン、原価計算、CRM、、、など、業界によらない企業としての基本的な業務や、業界特有の業務の自動化については、迷わずにパッケージソフトを導入しましょう。あなたの会社が創業したばかりのスタートアップであれば最初の1年くらいはExcelで諸々の事を管理するのもありかもしれませんが、この部分は自分で作りこむよりも先人達が何十年もかけて作り上げてきたパッケージにはかないません。最近は無料のSaaSサービスなんかも出てきているので、自分の力で自動化したり一から作り上げたりすることは全くお勧めできません。パッケージを使えば、あなたの組織内にはそのソフトウェアを担当する、高度な知識が必要なエンジニアは置かなくてもよい場合が多いです。
ちなみに、これらの業務システムを他のシステムとつないだり、データ入力を行う場合はRPAが活躍する場があります。
2. Officeソフトウェア単体の自動化
RPAお勧め度: ⭐⭐☆☆☆
Excelファイル上でデータをファイルから読み込んで会計の計算をする、データをPowerPointやWordに読み込んでキレイに出力する、など、Officeソフトウェアを使って業務の自動化をする場合、ファイルやデータのやり取りが1つのOfficeファイルに限定されるのであれば、Officeに付属しているVisual Basic for Applications (VBA)でコーディングをしたり、マクロの記録を使うほうが安上がりです。VBAやマクロはOfficeを持っていれば追加ライセンス費用なしで使えます。ただし、VBAを使う場合は、あまり複雑な業務を扱うコーディングの場合、コーディングをした人しか自動化の修正ができなくなってしまう落とし穴にはまるのは避けなければなりません。
Officeファイルを複数扱うような複雑な業務になってくると、RPAを使ったほうが全体として楽だったり、配置するエンジニアの量や質が低くてもよくなり、コストパフォーマンスが上がってきます。その場合でも、ひとつのOfficeファイルに収まる処理はマクロを記載しておき、RPAから呼び出すことで動作の安定性を向上させる方法もあります。
3. Webスクレイピング単体
RPAお勧め度: ⭐☆☆☆☆
Webページの特定のテキストや表を抜き出してくるWebスクレイピングの場合、単純に1ページの1か所だけ抜き出し程度の複雑さであれば、プログラマーやエンジニアがいる場合は、SikuliX、Seliumなどの無料の自動化ツールやPythonなどのプログラミング言語で作ったほうが安価に仕上がります。複数ページにわたる複雑なデータを扱う場合、とってきたデータを他のアプリケーションで活用する操作を続けて行う場合、エンジニアが不在の場合などはRPAで行うのも手かもしれません。ただし、Webスクレイピングの目的だけでRPAを導入するのは高くつくでしょう。
4. Webフォームやアプリケーションフォームへの自動入力作業
RPAお勧め度: ⭐⭐⭐⭐☆
WebやWindowsアプリケーションのフォームへの入力作業を自動化する場合、まずはAPI連携で同等の入力をする方法がないかを模索してみましょう。方法がない場合は、UIの要素を認識しての値入力が必要になってきます。場合によってはSikuliX、Seliumなどの無料の自動化ツールやPythonなどのプログラミング言語で実施できる場合もありますが、処理が難しくなる傾向があります。また、画面が頻繁に変わったりすると頻繁にコードの作り替えが発生してしまい管理コストがあがってしまいます。そのような場合はRPAを使ったほうが簡単に実施できるのでお勧めです。対象のフォームのUI要素がきちんと簡単につかめるRPAソフトウェアを使いましょう。SAPやリモートデスクトップなどアプリケーションの種類によっては、RPAソフトウェアによって入力精度に差が出てくるので注意です。
- ユーザー登録・利用確認
- 会計、人事、CRM、ERPなどの業務システムへの入力 (APIで入力できない場合)
5. 業務同士をつなぐ一連のフローの自動化
RPAお勧め度: ⭐⭐⭐⭐⭐
「画像ファイルをOCRにかけてテキストを抜き出して検証作業をして、その結果をフォームに入力する」など、単体の作業ではなく、一連の業務フローをこなす自動化を行う場合は、RPAソフトウェアで行うのがお勧めです。複数のデータセットやソフトウェアをつなげるところでRPAソフトウェアは真価を発揮しやすく、コスト効率もあがってきます。
- 請求書発行
- 交通費精算チェック機能付き経費精算
- 経費支払先チェック
- 一括メール送信
- システム利用状況の監視と報告
6. 業務フローの途中で人の判断が必要な処理の自動化
RPAお勧め度: ⭐⭐⭐⭐⭐
これも、チャットボットを介したRPAとの作りこみで実施することができます。どうしても人の判断を介するような場合には人に問い合わせをするフローをチャットボットが行いますが、そことのつなぎをRPAにやらせます。
- コールセンターでの難しい問題の判断
- OCRで読み込んだ文字の判定が難しい場合の判断