はじめに
最近、Slackというコミュニケーションツールを使ってプロジェクトを推進しているのですが、Slackを使い始めると関わるワークスペースやチャンネルが次々と増えていき、その中で色々見えてきたこともあり、プロジェクトマネジメントにおけるコミュニケーションの領域でSlackを如何に活用すれば、よりよいマネジメントが出来るかという点について、知見が溜まりつつあるので、ここで整理してみようと思います。
対象は、Slack初心者から中級者ぐらいまででお願いします(中級者ってどの程度というツッコミは無し)。
Slackとは
言わずもがなと思いつつ、自分の言葉で説明をします。
詳しくは・・・ググった方が(今やChatGPTか・・・)良いかと。
ざっくり言うとグループチャットツールです。メールより少し即時性(双方が話題にアクティブであれば、ほぼリアルタイムと言えます)のあるやりとりができます。
主にテキストベースでのコミュニケーションをフォローしてくれるチャットツールとなります。
業務上の使い勝手が良く調整されており、組織(ワークスペース)・グループでの会話をチャンネルという概念でグルーピングして、チャットが管理されています。
チャンネル自体には Private / Public の設定が可能で、ワークスペースのオーナーや管理者さんがそのあたりを調整して、情報統制できるようになっています。
チャット自体は簡単です。テキストを入力してメッセージを作り、送信するだけ。
基本的な文字や数字以外に、絵文字(Unicodeや、Slack独自の絵文字)なんかで装飾できるので、テキストOnlyなチャットでやりがちなサバサバしたものに、少し彩りを加えることもできます。
また送信されたメッセージに対して、そのチャンネルに参加しているメンバーは、同じくメッセージで返信したり、リアクション(Slack絵文字)マークを付けて、互いにリスペクトすることができます。
mrkdwnと呼ばれる怪しげなネーミングの独自マークダウン形式での記述もできます。
コロナ過でリモートワークが盛んになって、ハドルミーティングというオンライン会議機能が付いたのも最近の話。
※Slackという名称はアクロニムらしい。。。(へぇ)
ワークスペース
Slackユーザーは必ず1つのワークスペース(ほぼ組織に同義)に所属することになります。
#generalチャンネルを使えば、ワークスペースに参加したメンバー全員とコミュニケーションをとることが可能となります。
参加したユーザーにはオーナー/管理者や通常メンバー、ゲストといった権限が与えられ、後述のチャンネルを作成したり、チャンネルにユーザーを追加といった管理操作や、メッセージの送信など基本操作ができます。
チャンネル
グループチャットの基本的な括りの単位となります。
あるお題目(トピック、テーマ、共通目的など)、ここではとあるプロジェクトとしましょうか、そのお題目に関わるユーザーがチャンネルに集まり、そのお題目に沿ったチャットを行う場所のようなものです。
public なチャンネルの場合、チャンネル一覧で現有チャンネルが確認できるので、そこから参加することができます。気になるチャンネルにはとりあえず参加してみるのもありかと思います。
private なチャンネルの場合、参加メンバーで無い限り存在そのものがわからない場所なので、招待してもらう必要があります。
他のワークスペースに所属するユーザーとチャンネルを共有するSlackコネクトという機能もあります
スレッド
チャンネル内での会話はメッセージを次々と参加メンバーで送信しあうことで、基本的には縦方向につらつらと会話が続いていきます。
ただそうすると、そのチャンネルに集まったメンバー間の会話が複数のトピックで入り混じることがあり、あとから辿ったりするときに苦労します。
そういう場合にあるメッセージを起点にスレッドを開始すると、そのメッセージを軸として(イメージ的に)横方向にチャットを続けていくことができます。
またスレッドでのチャットを意識すると会話のトピックごとにまとまりができ、追跡しやすくなりますので、なるべくスレッドを立てて、その中でチャットを行うようにしましょう。
コミュニケーションにおけるSlack利用について
ここまではSlackというグループチャットツールについての基本的な説明でしたが、ここからは少しプロジェクトをマネジメントする場合に、Slackをどのように活用したらより良い結果を生み出せるかという視点で、私なりに考えをまとめてみます。
パフォーマンスの高いプロジェクトチームを作り出すためのコミュニケーション(Slack活用)ポイント
あるポイントを意識してコミュニケーションを行うことで、一定ラインのチーミングが可能だと思っています。
強いプロジェクトチームを作る上で重要なポイントがあるので、それに沿った行動を行うためのグループチャットツールの利用ポイントをまとめてみます。
※Slack用語はBoldにしています
オープンなコミュニケーション
- コミュニケーションのキモだと思うべきなので、最初にもってきました
- オープンなコミュニケーションを推進することで、生産性の高い会議(会話)や、問題の早期解決、ブレストで多様なアイデアを引き出すといったことが可能になります
- 逆にクローズドなコミュニケーションばかりだと、真逆の結果になる確率が高まります。
- SlackにおいてはDM(ダイレクトメッセージ)がクローズドなコミュニケーション方法として用意されていますが基本的には使わない方が生産性が高くなります
- 但しセキュリティ上の理由で伏せておきたいようなものはDMが望ましいです(初期パスワードの連携など)
- オープンとは言いましたが、煩雑にチャットが飛び交うと後日無駄なお宝さがしが始まるので、スレッドを用いたり、適切なチャンネルを準備することで情報が自然と整理され、混乱を避けることができます
- 「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」です
理解の共有
- 時として口頭でパパっと伝えたいこともあるとは思いますが、ハドルミーティング(口頭伝達、オンラインミーティング)だけで済ませずに、要点についてはメッセージを残すのが望ましいです
- スレッド内で会話したこと(決定項)をまとめたメッセージを作成し、以下にも投稿するにチェックを付けて送付すると、チャンネルのトップレベルの会話にも表示されるので、スレッド内の会話に参加していないメンバーにも結果を共有しやすくなります
- また重要な情報にはピン留めをしておくと、後日でも素早くアクセスできます
- コミュニケーションを通して目的を共有しておくと、それを達成することで生み出される利益(成果)に対する理解が深まります(その効果は次の「オーナーシップの共有」に繋がり、よいサイクルの原動力となっていきます)
オーナーシップの共有
- スレッド内の会話にどんどん参加して、爪痕wを残してください
- スレッド内のトピックの関係者じゃないからといって控えめになる必要はありませんので、思うところがあればメッセージを書きましょう。
- またアドバイスを受け取った側は取捨選択の末にそれを不採用とした場合でも、必ず感謝の気持ちを伝えてあげましょう
- ちょっとした行動がきっかけとなり、よい気付き(築き)に繋がる可能性があります
- 利益(成果)に対して当事者意識を持って向き合った結果であると感じられると、より主体的に行動を起こしやすくなります
協働
- リマインダーを使ってイベントのタイミングなどをお知らせして、歩調をそろえる工夫をしましょう
- 孤立したり、競合したりするのではなく、相互作用により成果を生み出す体制が整います
- 自由意見やフィードバックを気軽に行いましょう
- 不意にアドバイスのメッセージをもらえたり、伝えてみたり、全然OKです
- 最近流行りのプロジェクトチームは各自が持つスキルや役割を互いに活かしあい、対等の立場で協力体制を作って臨むような形です
認知
- メッセージにはカスタム絵文字を使ったリアクションマークを付けることができます
- もらったメッセージに何か感じるものがあれば、ぜひリアクションで感謝の気持ちを伝えましょう
- 作業の成果が見えると評価につながりやすく、感謝を示すことができます
- それらの行動は、今後の前向きな振る舞いが強化されることに繋がります
コンフリクトへの対処
- 良質なメッセージのやりとり(チャット)は第三者の理解が得られやすく、アドバイスを得る機会が増えます
- ある一定ラインのチャットの後には、まとめのテキストがあると、あとから見返したり第三者の参加を誘発することができます
- コミュニケーションが活発だと、どちらかを選択しないといけない場合、より良い意思決定ができることにつながります
口頭と書面、正式と略式
- コミュニケーションの手段は、口頭と書面、正式と略式で区切られた4つの領域で分類することができます
- チャットツールの領域は、書面✖略式の領域に位置するツールです
- フットワークは軽く、ポイントは書面(メモレベル)に残しながら作業を押し進めることが可能です
- また口頭(対面で会話をする)の場合は情報の幅が広く(気持ちなども伝わりやすい)、よりスピーディーな連携が可能です
- ただ気を付けたいのは、常にその領域のツールだけを利用するのではなく、場面に応じて効果的なツールに切り替えられるようになる必要があります
- 詳細化や記録目的の情報伝達には書面✖正式(たとえば詳細設計書)で行う方が良い結果を生むことがあります
- 口頭ベースだともっとスピーディに議論し結論に結び付けることができる場合があります
- Slackの紹介なのにちょっと脱線ですが、電子媒体を記録しておくリポジトリは別で用意することも検討してください
- 例えばGoogle workspaceやMicrosoft 365といったグループウェアです
- チャンネル用に準備したよく使うURLは、関連ページ(ブックマーク)を追加するを使って、アイコン付きのボタンにしておくとアクセシビリティが高まって良いです
情報のやりとり
- コミュニケーションにおいて、情報をやりとりする際に意識してほしいことがあります。これを無視すると論点があいまいで噛み合わない空中戦状態となり、何も生み出さない時間を過ごすことになります
- チーム内外
- 必要な情報を、誰が持っているか
- その情報は、誰が必要としている(しうる)か
- ステークホルダー
- 各ステークホルダーに情報を共有(提供)する目的は何か
- 各ステークホルダーは、どのような情報を必要としているか
- 情報を共有(提供)する頻度は適切か
- ついつい会話チックにチャット(テキスト)をしてしまい、主語や目的語が抜け落ちることがあります
- 質問は至ってシンプルなはずなのに(Yes/No形式で応えられる)、回りくどく文章を書いてしまい、相手が知りたい情報がなぜか欠落した物語をアウトプットしてしまうようなことがあります
他、Slackを使うときのちょっとしたテク
アクセシビリティを高める
- 後日、検索するときに備え、検索キーワードをちりばめたメッセージをスレッド内に残しておくとアクセスしやすくなります
- 会話したいトピックの属性を考えて、チャンネルを分けてみる
- 情報が一定の関連性あるものの集まりとなり、どこに書いてあったか思い出しやすい
可読性を高める
- スレッドを立てるときは、先に手短な要件を書いて、メンションは後に回す
- スレッド内の会話を以下にも投稿するにチェックを付けてチャンネルの会話として表示した際、メッセージ冒頭にスレッドメッセージの先頭から何文字かが表示されます。そこにスレッドのトピックが表示されていると可読性があがります
- 思い切って「お疲れ様です」「よろしくお願いします」と言った文言を削ってみる
- 目上の人や、お客様相手だとちょっと勇気がいります。参加組織やメンバーをみつつやるのがいいかも
- カスタム絵文字で省略するのもいいかもしれませんが、カラフルになることで可読性にどのような影響がでるかは気になります
- スレッドのお題目以外のところで気になった場合に、ついついそのスレッド(今会話に集まってくれている人がきっと起点)で別の話題に触れる
- これをするとスレッド内の情報の集積度みたいなものが低下してしまうので避けたいところ
- 連想してしまった点は書いていいのですが、そこから話を拡げるのは別スレを立ててそちらに誘導するようにすると綺麗にまとまります
注意点
- リンクテキスト(URL付きのテキスト)のURLは、マウスオーバーさせるとフローティングウィンドウにtipsとして表示されるが、そこに表示されるURLは全て小文字で表示されます。リンクURLのコピーをした時には正しいURLがコピーできるので、誤解しないよう注意が必要です
カスタムセクションを利用する
- Slackを利用していると必ずといってぶち当たるのが、チャンネル多すぎ問題
- チャンネルが多くなるとどこに何があったか、あの会話はどこで為されたものかという情報の断線のような事象がおこります
- そこで登場するのが・・・(セリフがなんだかなぁ)、カスタムセクションです
- サイドバーにセクションというブロックをいくつか用意して、それぞれ関連するチャンネルをぶら下げることができるので、チャンネルをグルーピングすることができます
- 個人的には部署+カテゴリ的な命名ルールでセクションを切って、チャンネルをぶら下げてます
- あとセクション名はのっぺりテキストとせず、UTF-8の絵文字なんかを入れて棲み分けしておくと視認性がさらに高まります
- おススメはLarge [Color] Square、シンプルに色目で視認できるので
Slackアナリティクスを眺める
- デフォルト過去30日間のSlack利用についてのデータを見ることができます
- オープンなコミュニケーションがとれているか確認してみましょう
まとめ
なんとなく使い始めたSlack(グループチャットツール)ですが、記事に落とすことでコミュニケーション(プロジェクトマネジメント)の領域において意外と意識的に用法・効果を見極めながら使っていたんだなと改めて認識することができました。
プロジェクトチームのパフォーマンスを高めるという点にこだわりを持ちコミュニケーションを行うために、要所要所でツールの使い方を変えていくことが重要だなと感じています。
またSlackに限らず、チームパフォーマンスが高まるようなちょっとしたノウハウが溜まってきたら、記事にしようかなとも思います。何か思いついたら、オープンに発信してみようと思いますw
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