この記事の対象
- ラジアンを避けたい人
- ラジアンに馴染めない人
- ラジアンのことを忘れてしまった人
- でもラジアンを使わざるを得ない人
今回は少しずつラジアンに親しんでいき、5分後にこの記事を読み終わるころにはラジアンが体感的に身についている!という状態を目指します。
そもそもラジアンとは何か
角度を示す時、日常生活的には一周360度の度数法(degree)が使われています。
一方、計算やコーディングの世界では弧度法という方式がよく使われます。これがラジアンです。
360度と言えば十分伝わるのに、360度をわざわざ2πラジアンと言ったりします。
計算するのに合理的で便利な方法かもしれないけれど、普段使わない人にとってはしっくりこない場合があるでしょう。高校で習ったとしても全く覚えていないという人もいるかもしれません。自分もその一人でした。
語源は車輪のスポーク
ラジアンの語源はradius(レディウス、ラジウス。発音はゥエディエスと聞こえる)です。
radiusはラテン語で車輪のスポークを意味するそうです。
この語源から派生する単語に、放射線のradiationとか、光り輝くradiantなどがあります。レイディアントシルバーガン、プールオブレイディアンス。そんなゲームタイトルが思い出されます。
radioもここから来てます。
そうかラジアンは半径に関係あるのか
車輪のスポークということでradiusが「半径」を意味するのは腑に落ちますよね。
ここまではきっと大丈夫でしょう。
ラジアンの定義
ラジアンは弧度法というだけあって、度数を弧で表していきます。
半径1の円(単位円)で考えた時、円弧の両端と円の中心点がなす角度を、その弧の長さが半径何個分かで表すのがラジアンです。
1ラジアン(半径1個分の弧の長さ)は約57.29578°になります。
たとえば3ラジアンだと171.88734度となり、180度に少し足りないぐらいです。
円周1周分の長さは、直径 x π で、つまり 半径 x 2 x π です。
半径と同じ長さがラジアンでしたから、円周の長さは 1ラジアン x 2 x π と言い換えられますよね。
なので 360度 は 2πラジアン になります。
そして、その半分の180度 は 1πラジアン になります。
wikipediaより
より詳しくはwikipediaなどをご参照ください。
これまでの文章を読んでピンとこなかった方は動画を検索することをお勧めします。
YouTubeではラジアンや弧度法についてのわかりやすい解説動画がたくさんあります。
ラジアンの理屈や定義が頭ではわかっていたとしても、不意に出現するとびっくりすると思います。
CG制作やゲームのコーディングなどで、ラジアンが自分の人生とは無縁と思って油断していた場合とか、高校生など、人生で初めてラジアンに出くわしたという方も面食らっていることでしょう。
私もラジアンは赤点ギリギリでなんとか振り切ったふぅと思っていたクチです。社会人になって数年経ってから突然目の前に現れた時には、ホラー映画でも見ているのかと思いました。
ということで、1πラジアンを視覚的、体感的に実感できるようにして、ラジアンの概念を身近なものとして会得していきたいと思います。
パイラジアンを作成する
『パイラジアン』というお菓子を作ってみましょう。
- まず、りんごのコンポートを作ります。鍋にりんご、砂糖、無塩バターを入れて中火で混ぜながら煮て、冷まします。
- パイシートを伸ばしてから円形に切り取り、半円を4つつくります。
- コンポートをパイシートで包んで、形を整えてたらオーブンで焼きます。
(パイの詳しい作り方はレシピサイトでアップルパイなどを検索してください。)
焼き上がったら 『パイラジアン』 のできあがりです。
この半円形が重要です。1πラジアンそのものを示していますね。
これを手に取って食べることでラジアンの単位を吸収することができるわけです。
1πラジアンは180度。 1 π rad = 180 deg です。
2πラジアンは360度でした。
このことを証明してみましょう。
形を崩さないようにパイラジアンを回転させます。よいしょ。
はい、証明(?)ができました! 2πラジアンは360度。 2 π rad = 360 deg ですね。 同様に、1/2 πラジアン は90度になります。 こちらも食べながら確認することができます。 パイ生地が硬い場合は卓上ナイフではなく包丁を使うとよいでしょう。 1/4 πラジアン は45度になります。 ごちそうさまでした。これでたぶん大丈夫
1πラジアンの形が体感できることで、1/6πラジアンは30度だなーとか、7/4πラジアンは第4象限にあるなーとか、そういうことがパッとわかるようになると思います。
コーディングの際に苦手なラジアンが出てきた時、ぜひこのパイラジアンを思い出してみてください。
理解の一助になれば幸いであります。