Claude Cowork を社内AXに使っている私の実践ログです。社内固有名・個人名は伏せています。
「これ、刺さってますよね?」
担当者の方にそう聞かれて、私は「うん、いけてると思います」と答えた。1秒後、自分の声に少し迷いがあったことに気付いた。
3週間後。
広告のCVRは、見事に伸びていなかった……結果は察してください。
正直しんどかった。
で、Claude Codeに自分のコピーを"全否定する役"でレビューさせたら、30分で訴求軸の致命傷が見えた。本記事はその3ステップと、私がやらかした5つの罠の話。
なぜ"自分で見直す"が機能しないのか
コピーを書いた本人が、そのコピーを冷静に評価できるわけがない。当たり前のことを、私は3週間忘れていた。
「採用工数を削減しましょう」——という訴求を、私は信じ込んでいた。
でも、お客様の現場では「採用工数」なんて言葉、誰も使っていなかった。みんなが日々やっているのは「面接」だ。
つまり訴求の起点を、相手の日常言語に置けていなかった。これ、本当によくある。
私はその日から、Claude Codeに「ペインの実在性を機械的に疑わせる」運用に切り替えた。以下、その3ステップ。
Step 1: ペインの"実在性"を聞く
まずやるのはこれ。コピーの中身じゃなく、前提のペインそのものを疑わせる。
# 役割
あなたは厳しめのマーケティングレビュアーです。
# 対象コピー
{コピー本文}
# 想定読者
{ターゲット属性。例: SaaS企業の採用担当}
# 質問
1. このコピーが解こうとしているペインを、想定読者は実際に"自分の言葉で"
口にしますか? 普段の業務会話で出てくる言葉ですか?
2. 出てこないとしたら、想定読者が日々口にしている近い言葉は何ですか?
3. その"日常言語"にコピーを置き換えたら、何文になりますか? 3案ください。
これだけ。
シンプル。でも、ここでだいたい1個は地雷が見つかる。私の場合、「採用工数の削減」が「面接の置き換え」に書き換わった瞬間、世界が変わった感覚があった。
Step 2: "既存行動の置き換え"を必ず引き出す
新しい行動を売るのは難しい。既存行動の置き換えなら、相手は動きやすい。これは私の中での鉄則。
# 追加質問
想定読者が今すでにやっている行動(面接、書類選考など)のうち、
このプロダクトが"代わりに"なれる行動を1つ挙げ、
「Aの代わりにB」の形でコピーを書いてください。
ここで出てきたのが「面接1時間が、レポート1枚に変わります。」だった。
これ、地味に効く。
なぜか? 単純に、読者の頭の中で比較対象がすでに存在しているから。「面接」という既知行動と並べて見せれば、コストの感覚値が一瞬で立ち上がる。
Step 3: 反対意見を"強制的に"出させる
Claudeは放っておくと褒めてくる。これが結構やっかい。私は明示的に反対役を仕込む。
# 役割
あなたはこのコピーに最も否定的な競合分析者です。
忖度なし、お世辞なし、根拠ありで3点だけ。
# 対象
{改稿後コピー}
# 出力
1. このコピーの最大の弱点
2. ターゲットが読み飛ばす理由
3. 別の言い回しがあるなら1案
「忖度なし」「お世辞なし」と書かないと、Claudeは社交的すぎる。これは2026年現在も変わっていない感覚。
私の判断:「書かせる」より「ぶっ壊させる」を先にやれ
賛否あると思いますが、私はこう思っています。
Claudeに最初から良いコピー案を出させるのは、効率が悪い。
理由は単純。
自分が書いたコピーを否定させる方が、Claudeの強みが活きるから。
Claudeは「批判的に読む」が得意。逆に、ゼロからキャッチコピーを"創造"させると、無難な平均値が返ってくる。これは何度やっても同じだった。私はもう、初稿は自分で書く。Claudeには、批判だけさせる。役割分担。
ハマったところ5つ
私が実際に詰まった/間違えた話を残しておく。誰かの遠回りを減らせたら本望です。
1. 「いい感じにレビューして」と書いてしまった
これだと褒めにくる。本当に褒めてくる。
解決: 「忖度なし」「最も否定的な立場で」「根拠を3点だけ」と明示。これだけで全然違う。
2. ターゲット属性を抽象的に書いた
「SaaSのマーケ担当」程度だと、Claudeも抽象的に返してくる。
解決: 「年商10億、社員50名、採用は中途中心、Slackは使っているがNotionは使っていない」くらいまで具体化。Claudeはコンテキストの粒度で出力の粒度が決まる。これ、覚えておいて損ない。
3. ペインの実在性を聞き忘れた
これが本記事の起点。私は3週間、聞き忘れた。
解決: Step 1のプロンプトをコピペで使う。私はこれを定型として保存している。
4. 改稿後を再レビューさせなかった
1回回して終わりにしがち。
解決: Step 3で改稿後コピーをまた批判させる。最低2周。3周目から新規発見が減るので、そこで止める。
5. 数字の単位を抜いた
「採用工数削減」じゃなく「面接1時間→レポート1枚」のように、単位と量を入れる。これだけでクリック率が変わった。私の感覚値で恐縮ですが、再現性ある気がしている。
真似できるテンプレ(コピペ用まとめ)
そのまま使えるプロンプトを1個だけ置いておく。これ1個でだいたい回る。
# 役割
忖度なし・お世辞なしの、コピーに最も否定的な批評者
# 対象コピー
{ここに貼る}
# 想定読者
{年商/規模/職種まで具体化}
# 質問(順番厳守)
1. このコピーが解こうとしているペインを、想定読者は"自分の言葉で"
口にしますか? 普段の業務会話で出てくる言葉ですか?
2. 出てこないなら、近い"日常言語"は何ですか?
3. 想定読者が今すでにやっている行動のうち、このプロダクトが
代替できる行動を1つ挙げ「Aの代わりにB」の形でコピーを3案ください。
4. その3案の最大の弱点を、それぞれ1行ずつ書いてください。
これを Claude Code にコピペするだけで、私の30分が浮く。やってよかった。
まとめ
- Claudeに「コピーを書かせる」より「コピーをぶっ壊させる」方が早い
- ペインの実在性を疑え。「相手がその言葉を日常で使うか」だけ確認すればいい
- 「既存行動の置き換え」で書き直すと、訴求の解像度が上がる
- 「忖度なし」と明示しないと、Claudeは社交的すぎる
- 改稿後コピーをもう一度批判させる。2周必須
みなさんはコピーレビューを、Claudeにどう任せていますか? 「うちはこう運用している」というのがあれば、コメントでぜひ教えてください。特に、複数案を出させた後の絞り込みプロセスは、まだ私の中で型が定まっていないので——いい運用、ほんと知りたいです。
Claude Cowork を社内AXの相棒として毎日使っているエンジニアの実践ログです。
シリーズ: Claude Cowork で社内AXを回す