第1章: Svelteの紹介と歴史
概要
Svelteは、2016年にRich Harrisによって開発されたオープンソースのJavaScriptフレームワークです。Svelteは、他のフレームワークとは異なり、ビルド時にコードをコンパイルし、ランタイム時のパフォーマンスを向上させます。これにより、より少ないコードで高速なウェブアプリケーションを構築できます。
特徴
- 仮想DOMを使用しない: Svelteは、ReactやVueのように仮想DOMを使用せず、直接コードを操作します。
- 少ないコード量: 同じ機能を持つコンポーネントを作成するのに、他のフレームワークよりも少ないコードで済みます。
- リアクティビティ: データの変更に自動的に反応し、UIを更新します。
第2章: Svelteのインストールとセットアップ
概要
この章では、Svelteをインストールし、プロジェクトをセットアップする方法を紹介します。Svelteを使用するには、Node.jsが必要です。
インストール手順
-
Node.jsのインストール:
- Node.jsの公式サイトから最新バージョンをダウンロードし、インストールします。
-
Svelteのインストール:
- ターミナルを開き、以下のコマンドを実行してSvelteをインストールします。
npm install -g svelte
-
新しいプロジェクトの作成:
- プロジェクトを作成するディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行します。
npx degit sveltejs/template svelte-app cd svelte-app npm install
-
開発サーバーの起動:
- プロジェクトディレクトリで以下のコマンドを実行し、開発サーバーを起動します。
npm run dev
第3章: Svelteの基本構文
概要
Svelteの基本的な構文を学び、変数の宣言やテンプレートの使用方法を理解します。Svelteでは、少ないコード量で同じ結果を得ることができます。
コード例
<script>
let count = 0;
</script>
<button on:click={() => count += 1}>
カウント: {count}
</button>
第4章: リアクティブなステートメント
概要
Svelteでは、リアクティブなステートメントを使用して、変数の変更に応じてUIを自動的に更新します。これは、コードの可読性を高め、バグを減らすのに役立ちます。
コード例
<script>
let a = 1;
let b = 2;
$: sum = a + b;
</script>
<p>合計: {sum}</p>
第5章: コンポーネントの作成
概要
Svelteでコンポーネントを作成し、再利用可能なUIパーツを構築します。コンポーネントは、アプリケーションの構造を整理し、メンテナンスを容易にします。
コード例
// Button.svelte
<script>
export let text;
</script>
<button>{text}</button>
第6章: プロパティとイベント
概要
コンポーネント間でデータを渡すためのプロパティとイベントの使用方法を学びます。これにより、コンポーネント間の通信が可能になります。
コード例
// Parent.svelte
<script>
import Button from './Button.svelte';
</script>
<Button text="クリック me" />
第7章: スロットとコンポジション
概要
スロットを使用して、コンポーネントの柔軟なレイアウトを実現します。スロットは、親コンポーネントが子コンポーネントにコンテンツを渡すための方法です。
コード例
// Layout.svelte
<slot name="header"></slot>
<slot></slot>
<slot name="footer"></slot>
第8章: スタイルとスコープ
概要
Svelteでは、コンポーネントごとにスコープされたスタイルを定義できます。これにより、スタイルの競合を防ぎ、コードの可読性を向上させます。
コード例
<style>
h1 {
color: red;
}
</style>
第9章: ストアの使用
概要
ストアを使用して、アプリケーション全体で共有される状態を管理します。ストアは、グローバルな状態管理を簡素化します。
コード例
// store.js
import { writable } from 'svelte/store';
export const count = writable(0);
第10章: ストアのサブスクリプション
概要
ストアの値をサブスクライブして、UIを自動的に更新します。これにより、状態の変化に応じてUIがリアルタイムで更新されます。
コード例
<script>
import { count } from './store.js';
</script>
<p>{$count}</p>
第11章: フォームと入力管理
概要
フォームの入力とその状態を管理する方法を学びます。Svelteのバインディング機能を使用して、フォームのデータを簡単に管理できます。
コード例
<script>
let name = '';
</script>
<input bind:value={name} placeholder="名前を入力" />
<p>こんにちは、{name}さん!</p>
第12章: フェッチとデータの取得
概要
外部データをフェッチして表示する方法を学びます。Svelteでは、JavaScriptの標準的なフェッチAPIを使用してデータを取得できます。
コード例
<script>
let data;
fetch('https://api.example.com/data')
.then(response => response.json())
.then(json => data = json);
</script>
{#if data}
<p>{data.message}</p>
{/if}
第13章: アニメーションとトランジション
概要
アニメーションとトランジションを使用して、UIに動きを追加します。Svelteでは、組み込みのトランジション機能を使用して、簡単にアニメーションを追加できます。
コード例
<script>
import { fade } from 'svelte/transition';
</script>
<div transition:fade>
フェードインします
</div>
第14章: カスタムディレクティブ
概要
カスタムディレクティブを作成して、特定の動作を追加します。これにより、コンポーネントに独自の機能を簡単に追加できます。
コード例
<script>
import { onMount } from 'svelte';
export let node;
onMount(() => {
node.focus();
});
</script>
<input bind:this={node} />
第15章: CRUDアプリケーションのセットアップ
概要
この章では、Svelteを使って基本的なCRUD(作成、読み取り、更新、削除)アプリケーションを設計し、セットアップします。まず、アプリケーションの構造を決定し、必要なコンポーネントを作成します。
セットアップ
-
プロジェクトの初期化:
npx degit sveltejs/template svelte-crud-app cd svelte-crud-app npm install
-
ディレクトリ構造:
-
src/
フォルダに以下のコンポーネントを作成します。-
App.svelte
: メインアプリケーションファイル -
TaskList.svelte
: タスク一覧表示 -
TaskForm.svelte
: タスク追加・編集フォーム
-
-
基本コンポーネントの作成
- App.svelte: アプリケーションのエントリーポイントとして、タスク一覧とフォームを表示します。
<script>
import TaskList from './TaskList.svelte';
import TaskForm from './TaskForm.svelte';
let tasks = [];
let currentTask = null;
function addTask(task) {
tasks = [...tasks, task];
}
function editTask(task) {
currentTask = task;
}
function updateTask(updatedTask) {
tasks = tasks.map(task => task.id === updatedTask.id ? updatedTask : task);
currentTask = null;
}
function deleteTask(id) {
tasks = tasks.filter(task => task.id !== id);
}
</script>
<main>
<TaskForm {addTask} {currentTask} {updateTask} />
<TaskList {tasks} {editTask} {deleteTask} />
</main>
第16章: 認証機能の追加
概要
この章では、ユーザー認証機能を追加します。認証は、ユーザーの登録、ログイン、ログアウトを管理し、アプリケーションのセキュリティを強化します。
認証の実装
-
ストアの作成:
-
auth.js
ファイルを作成し、認証状態を管理するストアを定義します。
-
// src/auth.js
import { writable } from 'svelte/store';
export const user = writable(null);
export function login(username, password) {
// ダミー認証
if (username === 'user' && password === 'pass') {
user.set({ username });
return true;
}
return false;
}
export function logout() {
user.set(null);
}
-
ログインフォームの作成:
-
LoginForm.svelte
コンポーネントを作成し、ユーザーのログインを処理します。
-
<script>
import { login } from './auth.js';
let username = '';
let password = '';
function handleSubmit() {
if (login(username, password)) {
alert('ログイン成功');
} else {
alert('ログイン失敗');
}
}
</script>
<form on:submit|preventDefault={handleSubmit}>
<input type="text" bind:value={username} placeholder="ユーザー名" />
<input type="password" bind:value={password} placeholder="パスワード" />
<button type="submit">ログイン</button>
</form>
-
ログイン状態の確認:
-
App.svelte
でユーザーがログインしているかどうかを確認し、タスク操作を制限します。
-
<script>
import { user, logout } from './auth.js';
import TaskList from './TaskList.svelte';
import TaskForm from './TaskForm.svelte';
import LoginForm from './LoginForm.svelte';
let tasks = [];
let currentTask = null;
function addTask(task) {
tasks = [...tasks, task];
}
function editTask(task) {
currentTask = task;
}
function updateTask(updatedTask) {
tasks = tasks.map(task => task.id === updatedTask.id ? updatedTask : task);
currentTask = null;
}
function deleteTask(id) {
tasks = tasks.filter(task => task.id !== id);
}
</script>
<main>
{#if $user}
<button on:click={logout}>ログアウト</button>
<TaskForm {addTask} {currentTask} {updateTask} />
<TaskList {tasks} {editTask} {deleteTask} />
{:else}
<LoginForm />
{/if}
</main>
第17章: 完成したアプリケーションのデプロイ
概要
この最終章では、完成したCRUDアプリケーションをデプロイします。デプロイは、アプリケーションをインターネット上で公開するプロセスです。
デプロイ手順
-
ビルドの準備:
- アプリケーションをビルドして、デプロイ可能な状態にします。
npm run build
-
Netlifyアカウントの作成:
- Netlify にアクセスし、アカウントを作成します。
-
プロジェクトのデプロイ:
- Netlifyのダッシュボードから新しいサイトを作成し、ビルドされたアプリケーションフォルダをアップロードします。
-
公開:
- デプロイが完了すると、NetlifyがURLを提供し、アプリケーションが公開されます。
まとめ
この章では、Svelteを用いたCRUDアプリケーションの開発とデプロイを学びました。認証機能を追加することで、アプリケーションのセキュリティを強化し、ユーザーに安全な体験を提供できます。