【はじめに】
気候変動などの影響で、日本に来るかもしれないとされている大地震。南海トラフ地震が発生した場合、日本のインフラは広域かつ長期にわたり深刻な機能不全に陥る可能性が高まります。特に電力・通信・交通・水道などといった社会の基盤となるライフラインが同時多発的に被災すると、復旧には数週間〜数ヶ月規模の時間が必要と想定されています。もし、復旧が見込めない最悪の事態となった場合、社会は「アナログ回帰」と「混乱の連鎖」が同時に進行します。特に 物流・金融・医療・行政 の停止は、数時間で生活を直撃し、数日で都市機能が崩壊すると言われています。ここでは、IT依存社会がどの速さで崩壊するのかをシミュレーションし、崩壊を克服する物事の考え方についてエンジニア視点で簡単にまとめてみました。
1.IoT社会の 『見えない依存』
現代の生活は「気づかない IoT 依存(スマート家電/キャッシュレス決済/物流の自動最適化/マイナンバーカード等の医療機器のネットワーク連携/e-Taxなど行政のオンライン化」で成立しています。しかし、これらは「止まらないこと」を前提に設計されています。では、もし突然すべてが止まった場合、一体どの様な事が起こるのか時系列で追ってみます。
2.どれか1つが落ちると他もドミノ的に停止する
🕒 0〜1時間:違和感の始まり
① スマホがネットに繋がらない
② SNS・メールが沈黙し、情報が遮断される
③ 電車の改札が反応しない…など
🕒 1〜6時間:都市機能の停止
① 交通系ICカード、Suicaカード、PayPay、nanacoなどのキャッシュレス決済が全面停止
② ICカード定期券を含む、交通機関が運行不能
③ 物流センターハブが停止
④ 病院の電子カルテが参照できず診療が遅延
🕒 6〜24時間:社会の混乱が表面化
① ATM・銀行システムが停止し現金不足し、お金が使えなくなる
② 工場の自動ラインが停止し生産が止まる
③ 信号機が制御不能になり交通事故が増加
④ 行政サービスが麻痺し、災害対応も遅延
⑤ デマが拡散し、混乱が加速(情報源がないため真偽不明)
🕒 24時間〜数日:アナログ回帰と“人間の再起動”
① 紙の地図、現金、アナログ時計が再評価される・・・ペーパーレスの思想そのものがが変わる一方、環境破壊の課題が増長してしまう。
② 企業はホワイトボードと口頭で業務を継続・・・小・中・高等学校では黒板の様な役割。
③ コミュニティが復活し、近所同士の助け合いが増える・・・平和への理解度が増し、良い相乗効果が期待される。
④ 一方で、IT依存が高い業界は完全停止状態が続く・・・IT依存で防げた環境問題の課題が浮き彫りになる可能性がある。
3. ITロス後の世界:何が変わるか?
🏙 社会インフラの再設計
「止まる前提のシステム設計」へシフトチェンジし、分散型アーキテクチャの重要性が再認識されるでしょう。また、オフライン動作を前提とした IoT の再構築技術が求められる世界へと変化していくと考えられます。
🧑💻 エンジニアの役割の変化
“便利さ”より“耐障害性”が重視され、BCP(事業継続計画)エンジニアの需要が増し、ローカルファースト設計が主流になるといった変化が出てくるでしょう。
🛠 個人の生活の変化
現金・紙の記録・アナログツールが復権し、情報リテラシーより「情報源の確保」が重要になるため、コミュニティの価値が上昇するでしょう。
【まとめ】 ITロスは技術の終わりではなく『設計思想の転換』
IoT社会は機敏性に富みとても便利な存在ですが、その一方でとても脆く技術の限界を突きつけられます。しかし持続可能な社会の建設(SDG)に向かうためには、私たち一人一人の思想を転換し「止まらない社会」を設計していくことが必要なんだと感じました。