はじめに
2026年6月17日、AWS Summit New York にて AWS DevOps Agent に Release Management 機能(プレビュー)が追加されました。この機能は、PRに対して自動的にコードレビューを実行し、リリース可否を判定するというものです。
今回の記事ではRelease Management 機能のレビュー機能を検証した内容を記載しています。
公式発表
AWS DevOps Agent adds release management capabilities (AWS News Blog)
AWS DevOps Agent adds release management capability (What's New)
Release Management 機能とは
AWS DevOps Agent の Release Management 機能は、以下の3つの主要機能で構成されています:
- Release Readiness Code Review — 静的コード解析による包括的なレビュー
- Automated Verification Testing — コードをビルド・実行してテストする動的検証
- Release Testing — デプロイ済みアプリへの統合テスト(手動実行)
従来のコードレビューツールとの違い
| 項目 | 従来のツール(SonarQube等) | AWS DevOps Agent |
|---|---|---|
| 分析方法 | 静的解析のみ | 静的解析 + 動的実行 |
| レビュー範囲 | コード品質 | コード品質 + 依存関係 + セキュリティ + 実行時挙動 |
| 修正提案 | 問題の指摘 | 問題の指摘 + 具体的な修正コード例 |
| カスタマイズ | ルール設定 | 自然言語で観点を定義(Agent Instructions) |
| リリース判定 | なし | BLOCK / Caution / Safe の3段階判定 |
リリース判定の詳細
- BLOCK:リリースを阻止すべき重大な問題
- セキュリティ違反, ビルドエラー、コンパイルエラー, 依存関係の破壊, 重大なポリシー違反, クリティカルなアクセス制御の問題
- Proceed with Caution:リスクがあるが、致命的ではない問題
- 運用リスク(ハードコード名等), 技術的負債, パフォーマンスへの影響の可能性, マイナーなベストプラクティス違反
- Safe to Release:重大な問題は検出されなかった
環境設定
パイプラインで設定
※2026年6月27日現在、日本の国内リージョンでは利用できません。バージニアリージョンをご利用ください。
AWS DevOpsエージェントのエージェントスペースの画面にある「パイプライン」から設定ができます。
パイプラインに設定したGitHubリポジトリを選択し、「編集」を選択します。
変更レビューの自動トリガーと自動検証テストのチェックボックスを有効化しておきます。
検証1:機密情報ログ出力(DevOpsエージェント任せのレビュー)
仕込んだ問題
以下のコードのように「password, api_key, token」などの機密情報をログに出力するコードを仕込んでいます。
// lambda/scenarioC-auth-handler.ts
export const handler = async (event: APIGatewayProxyEvent) => {
const { username, password, api_key } = JSON.parse(event.body || '{}');
// パスワード・APIキーをログに出力
console.log(`[LOGIN_ATTEMPT] username=${username}, password=${password}, api_key=${api_key}`);
console.log({ password, api_key, token });
console.log(`Issued token: ${jwtToken}`);
console.log(JSON.stringify(event)); // Authorization ヘッダー含む
// ...
};
期待: 機密情報のログ出力を検出
結果
GitHubのPRに対してDevOpsエージェントから仕込んだ問題に対する指摘のコメントが入りました。

DevOps Agent のレビューコメント
The new handler export writes plaintext password, api_key, session token, JWT...
Automated verification testing confirmed the leak: invoking the bundled handler with placeholder credentials produced log lines containing literal password=secret123, api_key=DUMMYKEYVALUE12345, token=CALLER_TOK_PLACEHOLDER_abc...
修正内容の提案
DevOpsエージェントでは問題の指摘以外に、その問題をどのように修正すべきかもPRへのコメントに含めます。
検証2:カスタム命名規則(任意のレビュー観点)
任意のレビュー観点の定義
DevOpsAgentでは任意のレビュー観点を定義して、その内容を元にレビューすることも可能です。
設定手順はまず、DevOpsエージェントのウェブアプリのメニューから「ナレッジ」を選びます。

「ナレッジ」メニューにある「Release readiness review」を選択すると、任意のレビュー観点を定義することができます。
このレビュー観点は自然言語で記載可能であり日本語でも記載可能です。
今回は「temp」や「test」を含む命名を禁止する命名規則をレビュー観点に定義しました。
リリース判定のレベルは「BLOCK」に案るように定義を行っています。
仕込んだ問題
この検証では、 "temp" や "test" を含む関数をコミットに含めました。
// lambda/testNamingConvention.ts
// 関数名に "temp" や "test" を含む ★独自のレビュー指摘観点
export function tempCalculateTotal(items: Item[]): number { ... }
export function testFormatUserData(user: User): string { ... }
検証結果
プルリクエストのメッセージに任意のレビュー観点を基にした指摘が行われました。
DevOps Agent のレビューコメント
This file exports two functions whose names contain prohibited tokens for production code: tempCalculateTotal (line 10) and testFormatUserData (line 20).
Per the RELEASE_READINESS_REVIEW policy, identifiers containing temp or test are not allowed in production code paths.
検証から確認できた Automated Verification Testing の機能
今回の検証の詳細なメッセージや実行ログなどから、DevOpsエージェントでは以下のような動作が行われることも確認できました。
1. ビルド実行
- 複数コマンドの自動実行:
npm run build,npm run build:lambda,npx cdk synth --quiet - exit code の検証: すべてのコマンドの終了ステータスを確認
- package.json スクリプトの自動検出: プロジェクトのビルドスクリプトを読み取り
2. ビルド成果物の検証
- ビルドスクリプト(
scripts/build-lambdas.ts)の動作を理解 - 成果物(
dist/lambda/xxx/xxx.js)の生成を確認 - 関数名の保持を検証
3. セキュリティチェック(3種類)
- 機密情報ログ: password, api_key, token, secret, Authorization ヘッダー, JWT
- IAM wildcards:
Action: "*",Resource: "*" - ハードコードされた認証情報: AWS credentials, API keys
4. コールグラフ分析
- 関数の呼び出し元を解析
- デッドコード(未使用関数)を検出
- CDK での使用有無を確認
DevOpsエージェントによるレビューの活用シーン
SecurityAgentとの併用
これまでにもGitHubへのPRに対してSecurityAgentによる脆弱性の自動検出は行えました。
DevOpsエージェントによるレビューを加えることにより、SecurityAgentによるセキュリティ特化のレビューに加え、包括的なレビューを行うことが可能になります。
最終的なリリース実行には人間によるレビューが必要になると思いますが、レビューの負荷の削減とより質の高い、ばらつきのないレビュー実施が期待できます。
コード作成
↓
PR作成
↓
Security Agent スキャン(脆弱性検出)
↓
DevOps Agent レビュー(リリース判定)
├─ Release Readiness Code Review
└─ Automated Verification Testing
↓
人間レビュー
↓
マージ・デプロイ
レビューのフィードバックループの構築
DevOpsエージェントによるレビューは独自のレビュー観点を定義できることが確認できました。
DevOpsエージェントの独自の観点によるレビューの結果を元に、検出できなかった問題を Agent Instructions に追加し、継続的に改善していくことができます。
これにより、利用する組織に適した独自のレビューの仕組みが構築でき、改善を進めることができます。
レビュー実行 → 問題検出 → 修正
↓
見逃し発見
↓
Agent Instructions に追加
↓
次回から自動検出
さいごに
AWS DevOps Agent の Release Management 機能は、AI生成コードの増加に対応した新しいコードレビューの形を提示しています。
レビューの自動実行やレビュー観点のカスタマイズ、レビュー指摘だけではない具体的な修正コード例の提示、SecurityAgentと組み合わせたより包括的なレビューなど、これまでのレビューをより高品質なものにし、その効率も改善することが期待できます。




