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Vue3のウォッチャーについて調べてみた

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Vue 3 のウォッチャーは、リアクティブなデータの変更を監視し、それに応じて特定の処理(副作用)を実行するための強力な機能です。主に watchwatchEffect の2つの関数が提供されており、それぞれに特徴と最適な利用シーンがあります。


watch: 特定のデータを監視する

watch 関数は、一つまたは複数の特定のリアクティブなデータソースを監視し、その値が変更されたときにコールバック関数を実行します。より細やかな制御が可能で、副作用の実行条件を明確にしたい場合に適しています。

基本的な使い方

watch は3つの引数を取ります。

  1. 監視対象 (Source): refreactive オブジェクト、ゲッター関数、またはそれらの配列。
  2. コールバック関数 (Callback): データが変更されたときに実行される処理。新しい値と古い値を受け取れます。
  3. オプション (Options): 監視の挙動を調整するためのオブジェクト(任意)。
import { ref, watch } from 'vue'

const count = ref(0)

// count の変更を監視
watch(count, (newValue, oldValue) => {
  console.log(`カウントが ${oldValue} から ${newValue} に変わりました。`)
})

// DOM を更新
count.value++ // "カウントが 0 から 1 に変わりました。" と出力される

監視対象の様々な形式

1. ref

最も基本的な形式で、ref オブジェクトを直接監視します。

const message = ref('こんにちは')
watch(message, (newVal) => console.log(newVal))

2. ゲッター関数

リアクティブオブジェクト内のプロパティなど、特定の値を監視したい場合にゲッター関数を使います。

import { reactive, watch } from 'vue'

const state = reactive({ count: 0, name: 'Vue' })

// state.count の変更のみを監視
watch(
  () => state.count,
  (newCount) => {
    console.log(`countが変更されました: ${newCount}`)
  }
)

state.count++ // "countが変更されました: 1"
state.name = 'React' // こちらはトリガーされない

3. 複数のソースを配列で監視

複数のデータソースのいずれかが変更されたときに処理を実行したい場合は、配列で指定します。

const firstName = ref('Taro')
const lastName = ref('Yamada')

watch([firstName, lastName], ([newFirst, newLast], [oldFirst, oldLast]) => {
  console.log(`名前が ${oldFirst} ${oldLast} から ${newFirst} ${newLast} に変わりました。`)
})

firstName.value = 'Jiro' // ログが出力される

便利なオプション

immediate: true

ウォッチャーを作成した直後に、一度コールバックを即時実行します。初期化処理に便利です。

const userID = ref(1)

watch(userID, (id) => {
  console.log(`ユーザーID ${id} のデータをフェッチします。`)
}, { immediate: true }) // "ユーザーID 1 のデータをフェッチします。" が即座に実行される

deep: true

ネストされたオブジェクトや配列の内部の変更を深く監視します。パフォーマンスに影響を与える可能性があるため、注意して使用してください。

const user = reactive({
  name: 'Taro',
  profile: {
    age: 20
  }
})

watch(user, (newUser) => {
  console.log('ユーザー情報が変更されました:', newUser)
}, { deep: true })

user.profile.age++ // "ユーザー情報が変更されました: ..." が出力される

watchEffect: 依存関係を自動で追跡

watchEffect は、関数内で使用されているリアクティブな依存関係を自動的に追跡し、いずれかの依存関係が変更されたときにその関数を再実行します。監視対象を明示的に指定する必要がないため、コードが簡潔になります。

基本的な使い方

watchEffect は、副作用を含む関数を1つ引数に取ります。

  • 即時実行: コンポーネントの初期化時に一度実行されます。
  • 自動追跡: 関数内で参照されたリアクティブなデータが変更されると、自動的に再実行されます。
import { ref, watchEffect } from 'vue'

const userID = ref(1)
const userData = ref(null)

watchEffect(() => {
  // userIDが変更されるたびに、この中の処理が再実行される
  console.log(`ID: ${userID.value} のデータを取得中...`)
  // 本来はここでAPIフェッチなどを行う
  userData.value = { id: userID.value, name: `User ${userID.value}` }
})

// 2秒後にuserIDを変更
setTimeout(() => {
  userID.value = 2
}, 2000)

// "ID: 1 のデータを取得中..." (即時実行)
// (2秒後) "ID: 2 のデータを取得中..."

この例では、watchEffect のコールバック関数が userID.value を参照しているため、Vue は userID を依存関係として自動的に登録します。userID が変更されると、コールバックが再実行されます。


watch vs. watchEffect: 使い分け

どちらを使うかは、目的によって決まります。

特徴 watch watchEffect
依存関係 明示的に指定 自動的に追跡
初回実行 デフォルトでは実行されない ( immediate: true で可) 常に即時実行される
値のアクセス 新しい値古い値の両方にアクセス可能 値にアクセスできない
主な用途 - 特定のデータの変更に応じて処理を実行したい- 変更前後の値を比較したい- 実行のタイミングを細かく制御したい - 複数の依存関係があり、どれかが変われば常に実行したい- リアクティブなデータに応じてDOMや外部ライブラリを操作したい

使い分けのヒント

  • このデータが変わったら、この処理を実行する」というように、原因と結果が明確な場合は watch を選びましょう。
  • これらのデータを使って何かをする処理があり、そのデータが変更されたらいつでも再実行してほしい」という場合は watchEffect が便利です。
  • 変更前の値が必要な場合は、watch を使うしかありません。

ウォッチャーの停止

watchwatchEffect はどちらも、ウォッチャーを停止するための関数を返します。コンポーネントがアンマウントされると自動的に停止されますが、任意のタイミングで手動で停止することも可能です。

import { ref, watch } from 'vue'

const count = ref(0)

const stopWatcher = watch(count, (newVal) => {
  console.log(`現在のカウント: ${newVal}`)
  if (newVal >= 3) {
    console.log('ウォッチャーを停止します。')
    stopWatcher() // ウォッチャーを停止
  }
})

// countの値を変更
const interval = setInterval(() => {
  count.value++
  if (count.value > 5) clearInterval(interval)
}, 1000)

// 出力:
// 現在のカウント: 1
// 現在のカウント: 2
// 現在のカウント: 3
// ウォッチャーを停止します。
// (以降、countが4, 5になってもログは出力されない)
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