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Alteryx DesignerとAlteryx Designer Cloudを比較してみた(Excelファイルの読み込み編)

Last updated at Posted at 2025-10-28

はじめまして。NTTデータ九州 デジタルビジネス推進室 D&Iチームの加藤です。
D&Iチームでは、TableauやAlteryx、SnowflakeなどのD&I(データ&インテリジェンス)領域におけるツール導入支援や開発を通じて、お客様の業務/意思決定の効率化・高度化のご支援に取り組んでいます。

このたび、所属組織としてテックブログを開設しました。
今後はメンバーとともに、D&I領域に関する技術的な知見や取り組み事例を発信していければと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。

1. はじめに

2025年、Alteryx One(新ライセンス体系)が発表されました。
これにより、すべてのプランで Alteryx Designer Cloud(以下、Designer Cloud(クラウド版))が利用可能となり、従来の Alteryx Designer(以下、Designer(デスクトップ版))しか使っていなかったユーザーも、Designer Cloudに興味を持たれているかもしれません。

本ブログでは、Excelファイルの読み込みという基本的な操作を題材に、Designer(デスクトップ版)Designer Cloud(クラウド版) を比較します。
「Designer Cloud(クラウド版)の実用性は?」「移行する価値はあるのか?」といった疑問を持つ方に向けて、実際に操作してみた感想や気づきを共有します。

※本記事は2025年10月8日時点の情報に基づいて執筆しています。
将来的な仕様変更等により内容が変更される可能性があります。ご利用にあたっては公式情報をご確認ください。
使用したバージョンは、Alteryx Designer 2025.1 および 2025年10月8日時点時点のAlteryx Designer Cloud です。

対象読者

  • Alteryx製品を使い始めたばかりの方
  • Designer(デスクトップ版)の中級者でクラウド移行を検討している方
  • 新ライセンス体系に伴う環境変更を視野に入れている方

2. 比較シナリオ

今回の比較では、以下のようなシナリオを想定しています。

1つのExcelファイルに、月ごとの複数のシート(例:2025年4月〜9月)が格納されており、すべてのシートを読み込んでユニオン(結合)し、1つの表にまとめる

このような処理は、売上データやアンケート結果など、月次で管理されているExcelファイルを扱う際によくあるケースです。

入力ファイル

今回は勤務管理表を読み込んでみます。
1つのファイルに同じ表形式の異なる月がシートごとに存在しています。

2-01_インポートファイル.png

比較の観点

このシナリオをもとに、以下の観点で Designer(デスクトップ版)Designer Cloud(クラウド版) を比較します。

  • Excelファイルの読み込み方法(複数シートの検出と選択)
  • ユニオン処理の設定のしやすさ
  • UIの使いやすさ・操作感
  • 処理結果の確認方法

それぞれのツールでどのような違いがあるのか、実際に操作してみた結果を次章以降で詳しく紹介します。

3. Designer(デスクトップ版)での操作と感想

Designer(デスクトップ版) は、PCにインストールして使用するアプリケーションで、ドラッグ&ドロップ操作によってデータの準備・加工・分析を行えるノーコード/ローコードツールです。
ローカル環境での安定した動作と、豊富なツール群による柔軟なワークフロー構築が特徴です。

操作内容

Designer(デスクトップ版)では、複数のシートを持つExcelファイルを読み込み、すべてのシートを1つの表にまとめるために、以下の手順でワークフローを構築します。

1. Excelファイルのシート名を取得

  • 新しいワークフローのキャンバスに対象のExcelファイルをドラッグ&ドロップ
  • データ入力ツールの設定画面で、**「シート名のリストのみをインポート」**を選択
  • キャンバス右上の実行ボタン(Ctrl+R)でワークフローを実行

3-01_シート名一覧の取得.png

Sheet Names フィールドとしてシート名の一覧が出力されます。

2. 動的入力ツールで各シートを読み込み

  • 開発者ツールカテゴリから 動的入力ツール をキャンバスに配置し、先ほどのデータ入力ツールと接続
  • 動的入力ツールの設定を実施
    • データ入力ソーステンプレート:対象のExcelファイルを指定し、任意の1シートを選択
    • データソースのリストを読み取る
      • フィールド:Sheet Names
      • アクション:ファイル/テーブル名を変更する

3-02_動的入力ツールの設定.png

  • キャンバス右上の実行ボタン(Ctrl+R)でワークフローを実行

3-03_出力結果.png

各シートのデータが読み込まれ、4月〜9月の183日分のレコードが1つの表に統合されていることが確認できました。

感想

Designer(デスクトップ版)を使い慣れていることもあり、スムーズに操作できました。
動的入力ツールを使えば、各シートを個別に設定する必要がなく、すべてのシートを一括で読み込んで1つの表にまとめることができます。
複数シートにまたがる場合は動的入力ツールが必須なのが少し手間ですが、単一シートで複数ファイルの場合は、動的入力ツールを使わずに、データ入力ツールのファイルパスをワイルドカード指定することで簡単に読み込むことができます。
データ構造に応じて使い分けてください。

4. Designer Cloud(クラウド版)での操作と感想

Alteryx Designer Cloud は、ブラウザ上で動作するクラウド版のDesignerであり、インストール不要でどこからでもアクセス可能です。
クラウド環境に最適化されたUIや、共同作業のしやすさが強みですが、Designer(デスクトップ版)と比べてツールの数は必要最小限に留まっています。

操作内容

Designer Cloud(クラウド版)では、画面右上の New ボタンから新しいワークフローを作成します。
Designer(デスクトップ版)では画面上部にツールパレットがありましたが、Designer Cloud(クラウド版)では画面左側にツール群が配置されており、そこからドラッグしてキャンバスに配置するスタイルです。

1. Excelファイルの読み込み

  • Input Data ツールをキャンバスへドラッグ
  • 「データをアップロード」をクリックし、読み込みたいExcelファイルを画面上にドラッグ&ドロップ

4-01_インポートファイルの指定.png

ファイルが読み込まれると、オプション設定画面に遷移します。

  • Datasetの作成
    • 複数シートがあるExcelファイルの場合、Dataset Creation 画面で「全シート」または「選択したシートのみ」の読み込みを選択可能
    • Create Dataset ボタンをクリックして設定完了

4-02_インポートファイルの指定詳細.png

実行ボタンを押さなくても、画面下部の結果グリッドに出力イメージが表示されます。
4-03_インポート後の画面.png

プロファイリングとサジェッション機能
結果グリッドには、Designer(デスクトップ版)にはないアイコンが表示されます。

  • プロファイリング:結果グリッドの右上にある棒グラフのアイコンを有効にすると、列ごとの値の分布が視覚的に表示される
    4-04_プロファイリング画面.png

    Designer(デスクトップ版)では「閲覧ツール」を使っていましたが、ツールを配置せずに確認できる点は便利です。

  • サジェッション:列名やプロファイリング結果を選択すると、画面右下に サジェッションパネル が表示される
    4-05_サジェッション画面.png

フィルター、集計、ソートなどの操作が提案され、クリックするだけで自動的にツールが配置されます。
初心者には非常に助かる機能に思えます。

2. 出力の確認とExcelファイルへの書き出し

結果グリッドを確認すると、4月分の1シート(30行)しか表示されていませんでした。
すべてのシートがユニオンされているか確認するため、Excelファイルへ出力してみます。

  • 左側のツール群から Output Data ツールをキャンバスにドラッグし、Input Data と接続

4-06_OutputDataの配置.png

  • 右側の設定グリッドで出力先を選択し、ファイル名を指定

4-07_出力ファイルの指定.png

  • 出力オプションやシート分割の有無を指定し、確認ボタンを押して設定完了

4-08_出力ファイルの指定オプション.png

  • キャンバス右上に表示される Run Job ボタンをクリックして実行

4-09_フローの実行.png

ジョブが完了するとメッセージが表示され、Output Data ツールの設定グリッドから出力ファイルをダウンロードできます。

4-10_フローの実行完了.png

開いてみると、183行が1つの表として正しく結合されていました。
4-11_出力結果の確認.png

感想

結果的には、Designer Cloud(クラウド版)では1つのツールのみで複数シートの読み込みが可能でしたが、画面上に表示されないのは戸惑いました。
UI上では全シートを読み込む設定ができるのに、結果グリッドに表示されないのは不安になりますが、出力ファイルで正しく集約されていることが確認できて安心しました。

今回のケースはやや特殊でしたが、単一シートに6万件のデータを読み込んだ際には、Designer(デスクトップ版)では約9,000件までしか表示されなかったのに対し、Designer Cloud(クラウド版)では全件が表示対象になっていました。
結果グリッドのスライダーを動かすと「Loading more data...」と表示され、徐々に読み込まれていく仕様も確認できました。


5. まとめ

今回の比較を通じて、Designer(デスクトップ版)Designer Cloud(クラウド版) には、それぞれ異なる強みがあることが分かりました。

Designer(デスクトップ版)

  • 細かな設定や拡張性に優れており、シートの絞り込みや複雑な条件設定など、柔軟なワークフロー構築が可能です
  • 一方で、ある程度「どうしたいか」や「データ構造のイメージ」が頭に描けていないと、次に何をすればよいか迷いやすいという声も聞きます
  • そのため、細かく制御したい中級者以上のユーザーや、業務で定型処理を自動化したい方に向いています

Designer Cloud(クラウド版)

  • 細かな設定はできないものの、プロファイリング機能サジェスト機能により、初心者でも迷わず操作を進められる設計になっています
  • 特に「どのツールを使えばいいか分からない」といった悩みを持つ方には、自動提案による操作支援が大きな助けになります
  • インストール不要で、ブラウザからすぐに使えるため、気軽に始めたい初心者〜中級者におすすめです
  • ただし、日本語化されていないため、英語が苦手な方は、まずはブラウザの翻訳機能を使って試してみるとよいでしょう

それぞれのツールには得意な領域があります。
目的やスキルレベルに応じて、**「どちらを使うか」ではなく「どう使い分けるか」**を意識することで、Alteryxの活用の幅を広げていければと思います。

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