#1 この記事は?
価値ある会社の銘柄を株価が安い時に買って、そのうち株価が上がったタイミングで売却し利益を得る手法は一般的です。Identifying "wonderful stocks" at bargain price"
それでは、価値ある銘柄をどのようにスクリーニングするのか。スクリーニングの1つの手法として、Joel GreenblattのMagic formulaというものがありますが、どのように扱うかを書きたいと思います。
#2 Joel GreenblattのMagic formulaとは
#2-1 事前の言葉の定義から行います。
① EBIT = 税引き前当期純利益 + 支払い利息 - 受取利息
② EV = 株式時価総額(株価×発行済み株式数) + 有利子負債 - 非事業 (出典:こちら)
③ Net Fixed Asset = 純固定資産
④ Net Working Capital = 流動資産(現金を除く) - 流動負債(有利子負債除く)(出典:こちら)
⑤ROI=EBIT / 投資額(=株主資本 + 総負債) ・・・・ 投資利益率のこと
⑥ROA=当期純利益/総資産 ・・・・ 総資産利益率のこと
EV:Enterprise Value(事業価値)のこと
Net Working Capital(純運転資本)のこと
#2-2 Earning Yield(収益利回り)
Earning Yield(収益利回り) : PERの逆数になっている。Earning Yieldは高いほどその銘柄が価値に対して株価が割安であることを意味している。
Earning Yield=\frac{EBIT}{EV}= \frac{一株当たりの純利益}{株価}
#2-3 ROIC(投下資本利益率)
事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益に結びつけているかを評価する。(出典:こちら)
ROIC=\frac{EBIT}{Net Fixed Asset + Net Working Capital}
#2-4 Magic formula
銘柄のポートフォリオQを考えます。
Q=\left\{Q_{i} | 1≦i≦n , nは銘柄の個数 \right\}
(1)Earning Yield(収益利回り)での順位付け
まず、個別の銘柄$Q_{i}$に対してEarning Yield(収益利回り)を計算し、数値が大きい順から順位$RankEV(Q_{i})$を付けます。
RankEV(Q_{i})= k_{1}
ただし$1≦k_{1}≦n$となる。
(2)ROIC(投下資本利益率)での順位付け
次に、個別の銘柄$Q_{i}$に対してROIC(投下資本利益率)を計算し、数値が大きい順から順位を付けます。
RankROIC(Q_{i})= k_{2}
ただし$1≦k_{2}≦n$となる
(3)統合順位づけ(Magic formula)
$RankEV(Q_{i})$と$RankROIC(Q_{i})$を加算し$MF(Q_{i})$とします。
$MF(Q_{i})$の数字が小さい順に銘柄を並べます。
MF(Q_{i})=RankEV(Q_{i}) + RankROIC(Q_{i})
下記は$MF(Q_{i})$の算出例です。
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Value stocks based on Greenblatt's Magic Formula
EarningYield ROC MF(Q_{i})
PFE 0.064923 1.568456 1.0
CSCO 0.073785 0.762107 2.0
MRK 0.073066 0.762207 3.0
INTC 0.096065 0.395849 4.0
WBA 0.073070 0.602746 5.0
JNJ 0.054940 0.799281 6.0
VZ 0.094883 0.292956 7.0
KO 0.047607 2.493686 8.0
CAT 0.090941 0.292432 9.0
IBM 0.062117 0.622170 10.0
MMM 0.070541 0.509469 11.0
PG 0.048131 1.168062 12.0
V 0.036646 1.525756 13.0
DOW 0.090799 0.122963 14.0
HD 0.052903 0.520940 15.0
AAPL 0.038936 0.694292 16.0
WMT 0.054583 0.208220 17.0
MCD 0.050439 0.230028 18.0
UNH 0.057999 -1.831291 19.0
MSFT 0.033030 0.345854 20.0
NKE 0.020799 0.151520 21.0
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(4)Magic formulaを使ってどのように投資を行うのか
$MF(Q_{i})$が20位以内の銘柄に投資をすることが進められております。また1年に1回程度、$MF(Q_{i})$を再計算しリフレッシュすることも推奨されております。
#3 Coming Soon
日本株を対象にして、Magic formula戦略をとるとどの程度Returnを出せるのか? Pythonでcodingを行い検証してみたいです。