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本記事ではAWSが提供するベストプラクティスと設計原則をまとめたWell-Architected Frameworkについて説明していきます。
※Well-Architected Frameworkは常に変わるためこと位のベストプラクティスは来年のバッドプラクティスになる場合もあります。本記事は2024年7月現在の情報です。

AWS Well-Architected Framework

クラウドベースのアーキテクチャを設計、運用、改善するためのベストプラクティスとガイダンスを提供するフレームワークです。絶対に厳守すべきルールと言わけではなく、理解した上でAWSの利用が推奨されています。

Well-Architectedホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、AWSが提供する公式なドキュメントで、フレームワークの詳細な説明やベストプラクティスを包括的に解説しています。
以下の6つの柱で構成されています。

1.オペレーショナルエクセレンス(運用上の優秀性)

オペレーショナルエクセレンスの柱ではシステムの実行とモニタリングおよびプロセスと手順の継続的な改善に焦点を当てています。変更の自動化、イベントへの対応、日常業務を管理するための標準化などが含まれており、以下の設計原則が提供されています:
1.ビジネス成果に基づいてチームを編成する
2.オブザーバビリティを実装して実用的なインサイトを取得する
3.ワークロードを可能な限り安全に自動化し、人的ミスを削減する
4.小規模、可逆的な変更を頻繁に行う
5.運用手順を頻繁に改善する
6.障害を想定し、対策を考えテストを行う
7.運用やメトリクスから学ぶ
8.マネージドサービスを利用する

2.セキュリティ

セキュリティの柱では情報とシステムの保護に焦点を当てています。データの機密性と完全性、ユーザー許可の管理、セキュリティイベントを検出するためのコントロールが含まれており、以下の設計原則が提供されています:
1.強力なアイデンティティ基盤の実装
2.トレーサビリティを実現し、維持する
3.セキュリティを全レイヤーへ適用する
4.セキュリティベストプラクティスを自動化する
5.伝送中と保管中データを保護する
6.データを人の手で扱わない
7.セキュリティイベントへ備える

3.信頼性

信頼性の柱は期待通りの機能を実行するワークロードと、要求に応えられなかった場合、迅速に回復する方法に焦点を当てています。分散システムの設計、復旧計画、および変化する要件への処理方法が含まれており、以下の設計原則が提供されています:
1.障害から自動的に復旧する
2.復旧手順をテストする
3.水平スケーリングを行い、集合的なワークロードの可用性を向上する
4.キャパシティの推測をやめる
5.オートメーションで変更を管理する

4.パフォーマンス効率

パフォーマンス効率の柱は、IT およびコンピューティングリソースの構造化および合理化された割り当てに重点を置いています。ワークロードの要件に応じて最適化されたリソースタイプやサイズの選択、パフォーマンスのモニタリング、ビジネスニーズの増大に応じて効率を維持することが含まれており、以下の設計原則が提供されています:
1.最新テクノロジーを誰もが利用できるようにする
2.短時間でグローバル展開する
3.サーバーレスアーキテクチャを使用する
4.頻繁にテストする
5.メカニカルシンパシーを重視する

5.コスト最適化

コスト最適化の柱は、不要なコストの回避に重点を置いています。主なトピックには、時間の経過による支出の把握と資金配分の管理、適切なリソースの種類と量の選択、および過剰な支出をせずにビジネスのニーズを満たすためのスケーリングが含まれます。以下の設計原則が提供されています:
1.クラウド財務管理を実装する
2.消費モデルを導入する
3.全体の効率を測定する
4.差別化につながらない高負荷の作業に費用をかけるのをやめる
5.費用を分析し帰属関係を明らかにする

6.サステイナビリティ(持続可能性)

持続可能性の柱は、実行中のクラウドワークロードによる環境への影響を最小限に抑えることを重点としています。主なトピックには、持続可能性の責任共有モデル、影響についての把握、および必要なリソースを最小化してダウンストリームの影響を減らすための使用率の最大化が含まれます。以下の設計原則が提供されています:
1.影響を理解する
2.持続可能性の目標を設定する
3.使用率を最大化する
4.より効率的なハードウェアやソフトウェアの新製品を予測して採用する
5.マネージドサービスを使用する
6.クラウドワークロードのダウンストリームの影響を軽減する

Well-Architected Tools

クラウドアーキテクチャを評価し、ベストプラクティスに従って設計されているかを確認できます。問題点を特定し、改善のための推奨事項を提供します。

Well-Architected Lens

金融やIoT、ゲームなどの特定の業界や技術領域に対するベストプラクティスを提供するために設計されたガイドラインのセットです。

AWS Well-Architectedパートナーによる支援制度

SAなどの認定を持ったAWSパートナーにサービスコストやアプリ開発の支援を受けることができます。

参考文献

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