1
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

業務継続性のリアル:巨大災害や通信障害時、開発を止めないISO 22301:2019に基づいたインフラ冗長化

1
Posted at

業務継続性のリアル:巨大災害や通信障害時、開発を止めないISO 22301:2019に基づいたインフラ冗長化

Feature (23).png

はじめに

2026年、日本のITサプライチェーンにおいてオフショア開発は「なくてはならないインフラ」となりました。しかし、開発拠点が地震、台風、あるいは海底ケーブルの切断といった広域通信障害に見舞われた際、開発がストップすることは日本側のDX推進の停滞、さらには運用中のシステム維持への致命的なリスクに直結します。

こうした不測の事態において、機能を維持し、早期復旧を図るための国際基準が ISO 22301:2019(事業継続マネジメントシステム / BCMS) です。

本記事では、ハノイを拠点に「止まらない開発」を実践する NKKTech Software のインフラ設計を例に、ISO 22301の精神をいかに技術レイヤーに落とし込むかを解説します。


1. ISO 22301が求める2つの重要指標:RTOとRPO

BCPを設計する際、まず定義すべきは「いつまでに戻すか」と「どこまで戻すか」です。

  • RTO (Recovery Time Objective): 目標復旧時間。障害発生から何時間で開発業務を再開できるか。
  • RPO (Recovery Point Objective): 目標復旧時点。障害発生の何分前までの作業データ(コード)を保証できるか。

2026年のNKKTech基準:
開発環境のRTOを「2時間以内」、RPOを「15分以内」に設定しています。これを実現するための構成が以下の冗長化戦略です。


2. 通信インフラの多重化:海底ケーブル切断への備え

ベトナムをはじめとする東南アジア拠点において、最大の懸念は国際通信網の脆弱性です。

3回線による自動フェイルオーバー

単一のプロバイダ(ISP)に依存するのは、ISO 22301の観点では「単一障害点(SPOF)」となります。NKKTechでは、物理的に経路が異なる3つの通信経路を確保しています。

  • メイン/サブ回線の二重化: 物理的に経路の異なる地上系光回線を2つの異なるISP(例:Viettel, FPT)から引き込み、SD-WANルーターで常時監視。障害検知時には数秒で自動切り替えを行います。
  • 衛星通信(Starlink等)の導入: 2026年現在、地磁気災害や物理的な海底ケーブル切断といった、地上系インフラが全滅する広域災害への備えは不可欠です。Starlinkを「最後の砦」として常設することで、極限状態でもソースコードのPushと日本側との緊急連絡経路を死守します。

3. 電源・物理インフラの冗長化

ISO 22301 の「8.3 事業継続戦略及びソリューション」に基づき、電力供給についても単一障害点(SPOF)を排除した多層防御(Defense in Depth)を施しています。

レイヤー 対策内容 役割
Layer 1 オンライン式UPS 瞬停(ミリ秒単位の電圧降下)を防ぎ、開発サーバーや精密機器を保護。
Layer 2 拠点用蓄電池 1〜2時間程度の短時間の停電、または発電機起動までの空白時間をカバー。
Layer 3 ビル付帯発電機 計画停電や大規模障害時、24時間以上の連続稼働を燃料補給なしで保証。

4. 実装:BCPプロトコルの定義(YAML例)

災害時、紙の分厚い手順書は役に立ちません。NKKTechでは、インシデントのレベルに応じたアクションプロトコルを技術的に定義し、チーム全体でコードのように共有しています。

これにより、混乱した状況下でも「誰が、いつ、何をすべきか」を明確にします。

bcp_action_protocol.yml
# ISO 22301準拠:障害レベル別レスポンスプロトコル
incident_levels:
  # レベル1:警戒段階(予兆・不安定化)
  level_1_warning:
    condition: "ISPメイン系統の不安定化、または近隣での計画停電予告"
    action: |
      1. 全エンジニアに対し、Git Push頻度を「15分に1回」へ引き上げるよう強制通知。
      2. クラウド上の隔離開発環境(VDI)への疎通確認を全員実施。
      3. RPO(復旧時点目標)15分を担保するためのデータ同期確認。

  # レベル2:致命的段階(拠点機能の停止)
  level_2_critical:
    condition: "拠点ネットワークの全停止、または物理的な入館不能状態"
    action: |
      1. インフラ:SD-WANによりバックアップ衛星通信(Starlink)へ自動フェイルオーバー。
      2. 運用:リモートワークプロトコル(自宅待機・分散開発)の即時発動。
      3. 通信:日本側PMへ「障害ステータス、代替連絡先、RTO目標時間」を自動送出。

# 2026年 NKKTech 標準リカバリ目標
recovery_targets:
  RTO (Recovery Time Objective): "120 min" # 2時間以内に開発業務を再開
  RPO (Recovery Point Objective): "15 min"  # データの損失を最大15分以内に抑える

5. リモートワークへの即時移行と「データ主権」

物理的なオフィスが使用不能になった場合、BCPの要は「場所を選ばずに開発を継続できる体制」です。しかし、自宅やカフェからの作業を許可することでセキュリティを犠牲にしては本末転倒です。NKKTechでは、以下のテクノロジーを組み合わせ、拠点外でも**ISO 27001(情報セキュリティ)**レベルの機密性を維持します。

  • ゼロトラストネットワークアクセス (ZTNA): 従来の「拠点IP制限」に依存した境界型防御を廃止。デバイスの健全性認証と多要素認証(MFA)を組み合わせ、自宅からでもセキュアに社内リソースへアクセスできる環境を構築しています。
  • VDI(仮想デスクトップ)の活用: 開発者のローカル端末にはソースコードや機密データを一切保持させません。すべての作業をクラウド上の隔離環境(VDI)で完結させることで、災害時の端末紛失や盗難による情報漏洩を物理的に防ぎます。

まとめ:BCPは「コスト」ではなく「品質の証」

2026年のオフショア開発において、BCP対策は単なる「万が一のための備え」というフェーズを超えました。それは、**「いかなる事態においても、クライアントに対するデリバリーを完遂する」という強い品質保証(Commitment)**そのものです。

ISO 22301に基づいたインフラの冗長化と、訓練された手順の策定。これらが揃って初めて、日本企業の皆様が安心してベトナムへ重要プロジェクトを任せられる「真の信頼の基盤」が確立されます。


🚀 NKKTech Software:止まらない開発をベトナムから

私たちは、ベトナム・ハノイを拠点に、ISO 9001, 27001, 22301 の精神を実務に落とし込んだ、高品質かつ高信頼な開発体制を提供しています。

  • 海底ケーブル切断や大規模停電に強い、多重化されたインフラ構成
  • 障害発生から2時間以内の復旧(RTO)を目標としたアジャイル開発チーム
  • 日本品質のマネジメントと、不測の事態にも動じないプロフェッショナルな対応

「過去に海外拠点のトラブルで開発が止まって困った経験がある」「リスク管理が徹底されたオフショアパートナーを探している」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

不確実な時代に、確実なデリバリーを。貴社のDXをベトナムから支え続けます。

1
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?