📝 ニュートン万有引力でも地心座標系は双曲線運動だった!?
—「一般相対論が示す双曲線運動とは?楕円運動とは?」を考える—
🎯 結論(本記事の目的)
- 太陽中心では惑星は楕円運動
- 地球中心では惑星は双曲線運動に見えることもある
- これは ニュートンでも GR でも同じ
- GR の「双曲線運動」という言い方は
- 本物の双曲線(散乱軌道1PN項)
- 観測者依存の見かけの双曲線
の両方を含んでいる
つまり:
“一般相対論が双曲線運動を示す” という言い方は、
観測者依存の見かけの双曲線も含んでいる。
本当の軌道は太陽中心では楕円運動である。
1. ニュートン力学で地心座標系を考える
まずニュートンの運動方程式:
$$
F=ma
$$
万有引力は:
$$
F=-\frac{GMm}{r^2}
$$
したがって、質量 $m$ の物体の加速度は:
$$
a=\frac{F}{m}
=-\frac{GM}{r^2}
$$
太陽中心座標系における惑星 P と地球 E の加速度をそれぞれ
$$
a_P=-\frac{GM}{r_P^2}
$$
$$
a_E=-\frac{GM}{r_E^2}
$$
とすると、地球から見た惑星の相対加速度は、
$$
a_{\mathrm{rel}}=a_P-a_E
$$
となる。
そして相対速度・相対位置は、それぞれ積分によって
$$
v_{\mathrm{rel}}=\int a_{\mathrm{rel}},dt
$$
$$
X_{\mathrm{rel}}=\int v_{\mathrm{rel}},dt
$$
すなわち、
$$
X_{\mathrm{rel}}=\iint a_{\mathrm{rel}},dt^2
$$
として求められる。
✔ ここで重要なこと
- 地球も太陽の周りを楕円運動している
- 観測者は非慣性系
- 相対距離が非線形
- 「地球自身の運動を差し引いた相対運動を積分するため、太陽中心系とは異なる非線形な相対軌跡が得られる。」
つまり:
ニュートンでも「地球中心座標系では、太陽中心座標系の楕円軌道とは異なる軌跡として観測され、条件によっては双曲線的な軌跡として現れる。」
本当の軌道は太陽中心では楕円運動。
2. 一般相対論が示す「双曲線運動」とは何か?
一般相対論の文脈で「双曲線運動」と言うときは、
実は次の 2 種類が混ざっています。
① 本物の双曲線(散乱軌道)
- エネルギーが正
- 束縛されていない
- ニュートンでも GR でも同じ
- 軌道方程式が双曲線になる
② 観測者依存の見かけの双曲線
-
地球中心座標系は非慣性系
-
相対加速度が非線形
-
「地球自身の運動を差し引いた相対運動を積分するため、太陽中心系とは異なる非線形な相対軌跡が得られる。」
-
ニュートンでも GR でも同じ
一般相対論の教科書では、この ②も含めて「双曲線運動」と呼ぶことがあるため、
太陽中心での楕円運動と混同されやすい。
3. 本物の双曲線(散乱軌道)とは何か?
GR の楕円運動はニュートンの楕円に対して:
- 近日点移動(precession)
- 時間の遅れ(proper time)
- エネルギー・角運動量の GR 補正
が加わったもの。
しかし 軌道形状そのものは依然として楕円に近い。
つまり:
GR の楕円運動=ニュートン楕円+近日点移動。
地球中心で見れば双曲線に見えるのは観測者の運動のせい。
4. 次に 1PN(一次ポストニュートン近似)で考える。
簡略化された1PN の加速度は:
$$
a_{1PN} = -\frac{GM}{r^2}\left(1 + 3\left(\frac{v}{c}\right)^2\right)
$$
つまり:
$$
X_{\mathrm{1PN}}=\iint a_{\mathrm{1PN}},dt^2
$$
これは 太陽中心での本物の GR 補正(近日点移動) を加えた加速度。
✔ しかし地心座標系で見ると
1PN の補正を入れても、地球中心で見る限り:
- 地球自身が太陽周りを回っている
- 観測者が非慣性系
- 相対加速度が非線形
- 「地球自身の運動を差し引いた相対運動を積分するため、太陽中心系とは異なる非線形な相対軌跡が得られる。」
つまり:
1PN の本物の GR 補正(近日点移動)
+
観測者依存の双曲線(ニュートンと同じ構造)
の両方が存在する。
5. 地心座標系だった天動説主流の時代での「真の軌道は楕円である」という主張が生んだ摩擦
天動説(地心説)やプトレマイオスの周転円モデルは、
現代から見ると「完全に間違っている」ように扱われがちです。
しかし物理的に見ると 地心座標系で観測した惑星運動としては“ある程度正しかった” のです。
なぜか?
✔ 地心座標系では惑星は双曲線運動に見える
この記事の前半で示したように、ニュートン万有引力でも:
$$
X = \iint\left(-\frac{GM}{r_P^2}\right) dt^2-\iint\left(-\frac{GM}{r_E^2}\right) dt^2
$$
という 地心座標系での相対加速度の二重積分を使うと、
惑星の軌道は「楕円」ではなく 双曲線的な見かけの運動になります。
つまり:
- 太陽中心では楕円運動
- 地球中心では双曲線運動に見える
という 観測者依存の軌道形状の違いが必ず発生します。
✔ 天動説は「地球中心で見た軌道」をモデル化していた
プトレマイオスの周転円は、
地球中心で観測した惑星の複雑な見かけの運動(逆行・順行・ループ)を
地心座標系のまま正しく近似しようとしたモデルです。
つまり:
天動説は“観測者が地球にいる”という前提では、
惑星運動をそれなりに正しく記述していた。
✔ だから「真の軌道は楕円だ」という地動説は摩擦を生んだ
地動説(太陽中心)に切り替えると:
- 惑星は楕円運動になる
- 地球中心で見える双曲線的な複雑運動は「見かけ」に過ぎない
- 観測者の座標系を変える必要がある
つまり、地動説は 座標系そのものの変更を要求する理論でした。
これは当時の人々にとって:
- 既存の観測体系を捨てる
- 地球中心という直感的世界観を捨てる
- 観測者依存の見かけを「本質ではない」と言い切る
という大きな認知的負荷を伴うものでした。
そのため、天動説から地動説への移行には
保守的な抵抗・摩擦が生じたと考えられます。
ガリレオが当時の人々に全然感謝されず、
むしろ総バッシングにあっていたのは、
ガリレオの数学の正しさを周囲が素直に認められず
私たちはガリレオの奴隷かよという感覚が強くあったかもしれません
数学を無視して否定する方が圧倒的に簡単なのに
結局最終的に数学が支持されるのは数学が破綻した瞬間に
理論が発散して維持できなくなるからです
6. まとめ
- ニュートンでも GR でも、地心座標系では双曲線に見える
- GR の「双曲線運動」という言い方は
- 本物の双曲線(1PN)
- 観測者依存の双曲線
の両方を含む
- GR の楕円運動はニュートン楕円+近日点移動
- 太陽中心では楕円、地球中心では双曲線に見える
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