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【SIRモデル解析】日本と世界各国の感染数ピークアウト♬その2

Last updated at Posted at 2020-04-18

前回欧米はある程度感染数ピークが見え始めたが、1週間たってどうなったのか見てみよう。
そして、何より昨日から緊急事態宣言が全国に拡大された日本は、1週間前はまさしく拡大期に突入して1週間程度経過したところだったが、それがこの1週間でどのように変化したのか見ようと思います。
今回も計算はSIRモデルを前提にそれを頼りに素人が計算・解釈しています。
ご判断は自己責任でお願いします。
なお、データは前回の記事と同様に以下のサイトから利用させていただきました。日本のデータはcasesは以下の②を読み取って利用しています。
【データ取得】
COVID-19/csse_covid_19_data/csse_covid_19_time_series
データとグラフで見る新型コロナウイルス@日テレNEWS

###やったこと
・日本の状況
・世界と米国の状況
・ヨーロッパの状況
・終息したはずの中国と韓国の状況
###・日本の状況
遂に、本日4/18感染者数が1万人を超えてしまいました。
以下のグラフは昨日4/17までのデータです。
exterpolate_Japan_gamma_R_5.png
特徴
①赤プロット;感染数が指数関数的に増大しているが、7日前から傾きが減少したのが分かる。7都府県に緊急事態宣言が出されて9日目のグラフなので、強い効果があれば2週間という目安があるのでこの後数日で、大幅な感染数の減少を期待したい。また、延長線も寝てきたので、このままでも10万人レベルの現存感染数までは行かないと予測でき、さらに2万人が2週間程度先なので対策の効果次第と言える。

【参考】
「緊急事態宣言」が発効 7都府県に 新型コロナ@2020年4月8日 0時03分
③緑プロット;治癒数+死亡数であるが、あまり増えていない。指数関数的に増加であるが、これまで感染数の20日遅れで同じ水準に達しているので今日あたりからさらに増加傾向になるものと思われる。
③黒プロット;現存感染数/(治癒数+死亡数)は①プロットの傾きが小さくなったことを受けて、ここで飽和して減少に転じるようである。医療機関の患者数は現存感染数であるが、これがさらに減少すれば追々は医療機関の患者数が減少していくことが期待できる(指標としては先に減少傾向が分かる)。

removed_Japan_gammaR_5_II.png
上記のグラフは、縦軸が感染率$\gamma (R-1)$であり、前回はやっと寝たところだったが、この値が減少してきた。すなわち患者1人当たりの感染者を生産する率が減少したことを表している。今0.07あたりなので100人の患者がいると翌日7人感染者が生まれていることが分かる。昨日の現存感染数8710なので本日の感染数は609となるが、実際は583人(上記参考②より)なのでこの感染率は減少傾向と言える。
因みに、これを続ければ予測が計算上可能だが、感染症の伝播は施策によって微分方程式の係数が大きく変わるので意味が無く、単純な関係式として扱うのがよさそうである。
###・世界と米国の状況
####・世界の状況
世界の増加傾向もかなり寝てきた。なので1000万人までの感染者数はないような気がする。
exterpolate_world_gamma_R_5.png
ただし、感染率$\gamma (R-1)$の負の傾きが小さくなってしまった。これは感染が終息せず、長く続くかもしれないことを示している。
これは後で出てくる各国で似たような現象が出ていて、この感染率0.05以下からなかなか下がらない傾向がみられる。
removed_world_gammaR_5_II.png
####・米国の状況
米国は世界より、より感染数ピークが近そうであり、赤いプロットが寝てきた。
しかし、100万人は対数グラフだと目前であり、2週間程度で達してしまいそうである。これを封ずるための一段の対策が必要だと思う。
米国は治癒数が低すぎる傾向にある。
これは爆発的に拡大したために、もともと治癒までの日数が20日程度あり、これから治癒数が増加するものと思われるが、この日数がわずかだが増加している傾向が見える。
exterpolate_US_gamma_R_5.png
問題は以下のグラフの傾向である。
すなわち、感染率$\gamma (R-1)$が0.05から下がらず横向きになってしまった。今までも土日に下がりが鈍る傾向もあるのでこの後下がることを期待したい。
それにしても傾きが小さくなっているように見える。
removed_US_gammaR_5_II.png
###・ヨーロッパの状況
ヨーロッパの各国は前回もそろそろ感染ピークが見えてきたという話であった。昨日多くの国で出口戦略が発表されているが、一週間たっての状況はどうだろうか。
####・ドイツ
一番、優秀な国の一つである。
明らかに感染数ピークを越え、治癒数曲線と交差して、いよいよ終息に向かっていくところである。
さらに黒プロットを見ると順調に減少しており、1以下になり0.8位なので医療機関も患者数は減少していると想定できる。
exterpolate_Germany_gamma_R_5.png
ところが、直近のプロットの外挿直線は上を向いてしまっている。つまり感染は止まっていないということを意味する。
removed_Germany_gammaR_5_II.png
このことは以下の下図の青プロット;実効再生産数R_estが1の直前で平行(約1.5)になってしまっており、これが1以下にならないと感染は止まらず長期間になってしまう。
removed_Germany_gamma_R_5.png
####・スイス
スイスはドイツより優秀だと思われる。
感染数ピークは越え、治癒数曲線も交差し、現存感染数も1万人を切り医療機関も余裕が出てきていると思われる。
exterpolate_Switzerland_gamma_R_5.png
ところが、そのスイスでさえ感染率が0になりきらず、ここ数日で平行になってしまった。まだまだ予断を許さない状況である。
removed_Switzerland_gammaR_5_II.png
####・スペイン
医療崩壊が心配なスペインは以下のとおり
実はちょうど感染数ピークらしいがなかなか減少しない、どころかここ数日増加に転じてしまっているかもしれない。
そして治癒数ももうすぐ交差しそうだが、交差もできない。
この傾向は黒プロットでも1の直前でわずかに増加に転じてしまいそうという形で見えている。予断を許さない状況だと言える。
exterpolate_Spain_gamma_R_5.png
また、スペインでもスイス同様感染率が増加傾向に転じてしまっている。
何があるかは不明だが、ここで気を引き締めて封じ込めるのが非常に大切な段階だと思われる。
removed_Spain_gammaR_5_II.png
####・イタリア
前回もイタリアは感染数ピークが見えそうな状況であった。
ところが、あれから減少せずピークになっていない。
これは他国に比べると治癒までの日数が途中20日以上に伸びてしまっていることが原因になっているようである。
それでも、治癒数は順調に増加しているので、着実に終息に向かっていきそうではある。
それでも、まだまだ黒プロットも大きな値のままであり、累積死亡数が2万人を超えてきたので医療崩壊は心配な状況である。
exterpolate_Italy_gamma_R_5.png
下の感染率のグラフも傾きが小さくなっており、まだまだ感染が継続することを示しており、予断を許さない状況である。
removed_Italy_gammaR_5_II.png
####・フランス
フランスはデータが荒れているので今一つはっきりしないが、ほぼ感染数曲線と治癒数(+死亡数)曲線が同程度の値になっている模様である。
しかし、累計死亡数が大きく逆に治癒数がまだまだ少ないので危険な状況と言わざるを得ない。また、黒プロットも順調に減少しつつあったが、ここへ来て大きく増加して減少が止まったように見える。予断を許さない状況だと言える。
exterpolate_France_gamma_R_5.png
データが2,3荒れているので、感染率も綺麗な絵は描けない。
しかし、下の図を見れば全体としてはほぼ終息は近く、0.2程度の感染率まで減少したと言える。それでも予断を許さない状況だと言える。
removed_France_gammaR_5_II.png

####・英国
治癒数のデータが入っていないので、どうしようもないが少なくとも感染数ピークはまだ先なグラフになっている。
exterpolate_United Kingdom_gamma_R_5.png
以下を見ると少なくとも2週間程度かかりそうである。
removed_United Kingdom_gammaR_5_II.png
###・終息したはずの中国と韓国の状況
####・武漢
武漢は感染の震源地だけど、現在はほぼ終息している。
その様子は以下のとおり。それでもだいたい50日たった今でも100人程度の感染者が残っている。0になる日はまだまだなようだ。
exterpolate_Hubei_gamma_R_5.png
感染率は0.01以下の比が続いているので、感染者が100人以下になれば期待値は0人以下になる。という意味で終息したと言える。
removed_Hubei_gammaR_5_II.png

####・韓国
一方、韓国は少なくとも感染数ピークを脱し、しかも治癒数も十分に増加した。
しかし、武漢の減り方が関数が上に凸だったのと比較すると、下に凸に見える。つまり感染数は非常にゆっくり減少しており、このままだとかなり長引いてしまうと予測される。
exterpolate_Korea, South_gamma_R_5.png
これは以下の感染率のグラフからも分かる。
つまり、終息してからも0.02程度の感染率が残っていて、これは2週間後もあまり減少せずに残りそうだということである。つまり現存感染者が2000人程度いる状況だと毎日40人程度再生産してしまう。
あくまで感染終息させるためにはこの値が0にならないと感染者が出るということである。
removed_Korea, South_gammaR_5_II.png
####・台湾
感染数ピークを越え、治癒数も増加しており順調に見える。
exterpolate_Taiwan_gamma_R_5.png
しかし、下の図を見ると今日あたりちょうど感染率を抑え込めたところであり、まだまだ予断を許さない状況である。
removed_Taiwan_gammaR_5_II.png
####・香港
香港も台湾とほぼ同様な推移で来ている。
exterpolate_Hong Kong_gamma_R_5.png
感染率の推移もここへ来て、終息したようである。
removed_Hong Kong_gammaR_5_II.png
###・その他気になる国
####・インド
前回は拡大期で絶望的であったが、この一週間で一応の終息が見え始めてきた。
特に感染数が少し減速してこれからピークを示しそうである。
exterpolate_India_gamma_R_5.png
さらに感染率も0.1以下に入ってきた。順調に減少してほしいと思う。
removed_India_gammaR_5_II.png
####・タイ
タイは感染発生当初は日本と並んでアジアで感染が多かった。
しかし保健相の厳しい施策の効果か感染数ピークを越え、治癒数曲線との交差も超え、終息に向かってきたと言える。
exterpolate_Thailand_gamma_R_5.png
しかし、ここでも感染率が素直に0にならずに0.25あたりで平行になってしまっている。つまり感染はまだ収まっておらず危険な状況だと言える。
removed_Thailand_gammaR_5_II.png
####・ロシア
大変な状況だとTVで今夜やっていたので計算してみました。
以下のとおりです。
まだまだ拡大期にあって、既に3万人を超えています。
これはインドより酷くてヨーロッパ並みになる危険性がありそうです。
予測として、2週間で10万人位になりそうです。
exterpolate_Russia_gamma_R_5.png
一方、感染率は以下のとおりです。
まだまだ0.15という高い感染率であり、終息の方向性は見えていません。
概算でも、現在で一日約5000人ずつ増加する感染率です。
removed_Russia_gammaR_5_II.png

###・議論
全体としては終息に向かっているが、完全な終息を迎えるにはかなりの時間なり非接触施策を継続実施する必要がありそうである。
特に、最近欧米やタイなどで見られるように、終息直前で感染率が横ばいになって0に至らない現象は何が原因なのだろうか。
ここを乗り越えない限りは世界が終息することはないと考えられる。
日本も1週間前とは比較にならない改善をしているようであるが、もう一息の我慢が必要なようである。
ちなみに、今現在の本日の日本の感染数は583人であり予測609よりは減少し、感染率の減少が期待できる。
###まとめ
・非常事態宣言の全国への拡大と前回から1週間たったので世界の状況を概観した
・感染は欧米やアジアでは感染症ピークを越え、これから終息へ向かうものと期待できる
・一方、武漢や韓国を見ると、終息へ向かい始めてからも3か月以上かかるような状況である
・日本もいよいよ効果が出始めてくる状況であり、1週間後は出口戦略が示されているかもしれない

・微分方程式のパラメータが動く場合の解法について考えてみようと思う
(逐次的セルフコンシステンスな解法...??)
###・コードは以下に置きました
collective_particles/fitting_gamma_R_II.py

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