以下の統計検定2級®︎対策動画で用いられているスライドの一部です。
統計検定®2級対策オリジナル問題であり、非公式です。
※統計検定®は一般財団法人統計質保証推進協会の登録商標です。
問題
ある工場で製造されるネジの長さは、平均 80mm, 標準偏差 5mm の正規分布に従うとする。
無作為に抽出した1本のネジの長さが 85mm 以上である確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
① 0.025 , ② 0.159 , ③ 0.341 , ④ 0.500 , ⑤ 0.841
解答
② 0.159
ポイント解説:正規分布と標準化
この問題は、正規分布に従う事象について、ある値以上になる確率を求める問題です。キーポイントは 「標準化」 です。
-
正規分布とは
- 平均値を中心に左右対称な釣鐘型の分布。
-
標準化とは
- 平均が0、標準偏差が1の 「標準正規分布」 に変換する操作。
- これにより、どんな正規分布でも共通の尺度で評価でき、標準正規分布表を用いて簡単に確率を計算できます。
ポイント解説:なぜ重要か?
世の中の多くの現象(身長、体重、測定誤差など)は正規分布に近似できることが知られています。
「標準化」 を学ぶことで、これらの現象において 「ある出来事がどのくらい珍しいか」 を客観的な確率で評価できるようになります。
応用例
- 品質管理:規格外の製品がどのくらいの確率で発生するか予測
- 教育:テストの偏差値の計算
ポイント解説:確率変数とその分布
この問題の確率変数は、無作為に抽出した1本のネジの長さ $X$ です。
-
$X$ は、平均 $\mu = 80$, 標準偏差 $\sigma = 5$ の正規分布 $N(80, 5^2)$ に従います。
-
標準化された確率変数 $Z$ は、以下の式で定義されます。
$$
Z = \frac{X - \mu}{\sigma}
$$ -
この $Z$ は、平均 0, 標準偏差 1 の標準正規分布 $N(0, 1)$ に従います。
問題(再掲)
無作為に抽出した1本のネジの長さが 85mm 以上である確率はいくらか。
求めたい確率: $P(X \ge 85)$
解答の根拠(1/2):標準化
-
確率変数の設定
- ネジの長さを確率変数 $X$ とすると、 $X$ は正規分布 $N(80, 5^2)$ に従います。
-
標準化
- $X$ を標準正規分布に従う確率変数 $Z$ に変換します。
$$
Z = \frac{X - 80}{5}
$$ - $X = 85$ を代入すると、
$$
Z = \frac{85 - 80}{5} = \frac{5}{5} = 1.0
$$ - したがって、$P(X \ge 85)$ は $P(Z \ge 1.0)$ と等しくなります。
- $X$ を標準正規分布に従う確率変数 $Z$ に変換します。
解答の根拠(2/2):確率の計算
-
確率の計算
- 標準正規分布の性質より、$P(Z \ge 1.0) = 1 - P(Z < 1.0)$ です。
- 標準正規分布表から $P(Z < 1.0)$ の値を調べると、約 0.8413 です。
$$
P(Z \ge 1.0) = 1 - 0.8413 = 0.1587
$$
計算結果 0.1587 に最も近い選択肢は ② 0.159 となります。
問題
ある工場で製造されるネジの長さは、平均 80mm, 標準偏差 5mm の正規分布に従うとする。
抽出した4本のうち、いずれか1本だけが 85mm 以上で、残りの3本は 85mm 未満である確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
① 0.16 , ② 0.25 , ③ 0.38 , ④ 0.64 , ⑤ 0.84
解答
③ 0.38
ポイント解説:二項分布
この問題は、同じ条件の試行を複数回繰り返したとき、特定の回数だけ「成功」する確率を求める問題です。キーポイントは 「二項分布」 です。
二項分布の条件
- 各試行の結果が 「成功」か「失敗」 のどちらかである。
- 各試行は 独立 である(互いに影響しない)。
- 成功する確率は、どの試行でも 一定 である。
この問題では、ネジを1本抽出することを「試行」とみなし、「長さが85mm以上である」ことを「成功」と定義できます。
ポイント解説:なぜ重要か?
二項分布は、現実世界の多くの場面で応用されます。
これにより、将来の結果を予測したり、プロセスの品質を評価したりすることが可能になります。
応用例
- 製造業における 「不良品の発生数」
- マーケティングにおける 「広告をクリックした人の数」
- 医療における 「新薬が効いた患者の数」
ポイント解説:確率変数とその分布
この問題の確率変数は、4本のネジのうち、長さが85mm以上であるネジの本数 $Y$ です。
- この $Y$ は、以下のパラメータを持つ 二項分布 $B(n, p)$ に従います。
- 試行回数: $n=4$
- 成功確率: $p=P(X \ge 85) \approx 0.159$
問題(再掲)
ある工場で製造されるネジの長さは、平均 80mm, 標準偏差 5mm の正規分布に従うとする。
抽出した4本のうち、いずれか1本だけが 85mm 以上で、残りの3本は 85mm 未満である確率はいくらか。
求めたい確率: $P(Y=1)$
(4回の試行で、成功が1回起こる確率)
解答の根拠(1/2):確率設定と式
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成功確率の設定
- 前の問題より、ネジ1本の長さが 85mm 以上である確率(成功確率)を $p$ とすると、$p \approx 0.159$ です。
- 逆に、85mm 未満である確率(失敗確率)は $1-p \approx 1 - 0.159 = 0.841$ です。
-
二項分布の適用
- 試行回数 $n=4$、成功回数 $k=1$ の確率を求めます。
- 二項分布の確率質量関数は以下の式で与えられます。
$$
P(Y=k) = {}_nC_k p^k (1-p)^{n-k}
$$
解答の根拠(2/2):確率の計算
-
確率の計算
- $n=4, k=1, p=0.159$ を代入します。
- ${}_4C_1$ は「4本の中から成功する1本を選ぶ組み合わせの数」で、4通りです。
$$
P(Y=1) = {}_4C_1 (0.159)^1 (1-0.159)^{4-1}
$$
$$
= 4 \times 0.159 \times (0.841)^3
$$
$$
= 4 \times 0.159 \times 0.5948...
$$
$$
\approx 0.3781...
$$
計算結果 0.378 に最も近い選択肢は ③ 0.38 となります。
問題
ある工場で製造されるネジの長さは、平均 80mm, 標準偏差 5mm の正規分布に従うとする。
抽出した4本のネジの長さの標本平均 $\bar{X} = (X_1+X_2+X_3+X_4)/4$ が 78mm 以下である確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
① 0.16 , ② 0.21 , ③ 0.50 , ④ 0.79 , ⑤ 0.84
解答
② 0.21
ポイント解説:標本平均の分布
この問題は、複数個のサンプルの平均値(標本平均)が、ある値以下になる確率を求める問題です。キーポイントは 「標本平均の分布」 です。
-
重要な性質
- 母集団が正規分布 $N(\mu, \sigma^2)$ に従う場合、標本平均 $\bar{X}$ もまた正規分布に従います。
- 平均: $E[\bar{X}] = \mu$ (母平均と同じ)
- 分散: $V[\bar{X}] = \frac{\sigma^2}{n}$ (母分散をサンプルサイズ $n$ で割ったもの)
- 標準偏差( 標準誤差 ): $SD[\bar{X}] = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}$
→ サンプルサイズ $n$ が大きいほど、ばらつきが小さくなります。
ポイント解説:なぜ重要か?
この性質は、 統計的推測 (標本から母集団の性質を推測すること)の根幹です。
母集団全体を調べるのは不可能でも、標本平均を調べることで、母平均がどの範囲にあるかを高い確度で推定したり、仮説を検証したりできます。
応用例
- 世論調査から全体の支持率を推測する (区間推定)
- 製品の抜き取り検査から全体の品質を保証する (仮説検定)
ポイント解説:確率変数とその分布
この問題の確率変数は、4本のネジの長さの標本平均 $\bar{X}$ です。
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母集団分布が $N(80, 5^2)$ で、サンプルサイズが $n=4$ なので、標本平均 $\bar{X}$ は、以下の正規分布に従います。
- 平均: $\mu = 80$
- 標準偏差: $\sigma/\sqrt{n} = 5/\sqrt{4} = 2.5$
-
つまり、$\bar{X}$ は 正規分布 $N(80, 2.5^2)$ に従います。
問題(再掲)
ある工場で製造されるネジの長さは、平均 80mm, 標準偏差 5mm の正規分布に従うとする。
抽出した4本のネジの長さの標本平均 $\bar{X}$ が 78mm 以下である確率はいくらか。
求めたい確率: $P(\bar{X} \le 78)$
解答の根拠(1/2):分布の特定と標準化
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標本平均の分布の特定
- $\bar{X}$ は正規分布 $N(80, 2.5^2)$ に従います。
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標準化
- 標本平均 $\bar{X}$ を標準化します。
$$
Z = \frac{\bar{X} - E[\bar{X}]}{SD[\bar{X}]} = \frac{\bar{X} - 80}{2.5}
$$ - $\bar{X} = 78$ を代入すると、
$$
Z = \frac{78 - 80}{2.5} = \frac{-2}{2.5} = -0.8
$$ - したがって、$P(\bar{X} \le 78)$ は $P(Z \le -0.8)$ と等しくなります。
- 標本平均 $\bar{X}$ を標準化します。
解答の根拠(2/2):確率の計算
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確率の計算
- 標準正規分布は原点(0)に関して対称なので、$P(Z \le -0.8) = P(Z \ge 0.8)$ です。
- これは、$1 - P(Z < 0.8)$ と計算できます。
- 標準正規分布表から $P(Z < 0.8)$ の値を調べると、約 0.7881 です。
$$
P(Z \le -0.8) = 1 - 0.7881 = 0.2119
$$
計算結果 0.2119 に最も近い選択肢は ② 0.21 となります。


