0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

【統計検定®︎2級対策】平均への回帰・独立な2標本 vs 対応のある2標本_オリジナル演習問題

0
Last updated at Posted at 2025-12-18

以下の統計検定2級®︎対策動画で用いられているスライドの一部です。

統計検定®2級対策オリジナル問題であり、非公式です。
※統計検定®は一般財団法人統計質保証推進協会の登録商標です。


問題

ある学習塾で、100 名の生徒を対象に 2 回の模擬試験を実施した。1 回目の試験結果に基づき、成績上位 30 名を「高得点群」、成績下位 30 名を「低得点群」と定義した。1 回目の試験における高得点群の平均点を $\bar{x}_H$、低得点群の平均点を $\bar{x}_L$ とする。次に、2 回目の試験におけるそれぞれの群の平均点 $\bar{y}_H$ と $\bar{y}_L$ を算出したところ、$\bar{y}_H < \bar{x}_H$(高得点群の平均点が低下)かつ $\bar{y}_L > \bar{x}_L$(低得点群の平均点が上昇)という結果になった。

この現象に関する記述として、最も統計学的に妥当なものを次の①〜⑤のうちから一つ選べ。


① 2 回目の試験は、高得点群の生徒にとっては難化し、低得点群の生徒にとっては易化したため、このような結果になったと考えられる。
② 高得点群の生徒は 1 回目の結果に満足して油断し、一方で低得点群の生徒は結果に奮起して努力したため、このような差が生まれたと考えられる。
③ 1 回目の試験で極端に高い、あるいは低い点数を取った生徒の成績には、実力に加えて偶然の要因が影響している可能性が高い。2 回目の試験では、その偶然の要因が繰り返されるとは限らないため、両群の平均点は全体の平均値に近づく傾向がある。
④ このような結果は通常起こり得ない。何らかのデータ集計上の誤りがあったか、あるいは試験の採点基準が 1 回目と 2 回目で異なっていた可能性が高い。
⑤ この傾向が今後も継続するならば、最終的には高得点群と低得点群の生徒の平均点は完全に一致し、学力差はなくなると結論付けられる。


解答

③


ポイント解説:平均への回帰

この問題の核心は「 平均への回帰 」という統計的な現象を理解しているかどうかです。


概念の解説

私たちの身の回りの測定値の多くは、 「真の値(実力)」 と 「偶然の誤差」 の2つの要素で構成されていると考えることができます。

測定値 = 真の値 + 偶然の誤差

例えば、テストの点数で考えてみましょう。

  • 真の値: その生徒が持つ本来の学力
  • 偶然の誤差: 試験当日の体調、問題との相性、ヤマ勘が当たった/外れた、など

概念の解説

1回目の試験で 極端に高い点数 を取った生徒は、高い「真の学力」に加えて、「偶然の誤差」が プラス に大きく働いた可能性が高いです。(例:ヤマ勘が冴えわたった)

同様に、1回目の試験で 極端に低い点数 を取った生徒は、「真の学力」に加えて、「偶然の誤差」が マイナス に大きく働いた可能性が高いと考えられます。(例:体調が最悪だった)


概念の解説

2回目の試験では、偶然は偶然なので、1回目と同じように極端にプラスやマイナスに働くとは限りません。多くの場合、偶然の誤差の影響は1回目より小さくなります。

その結果、

  • 1回目に非常に良かった人は、2回目には少し成績が下がる傾向がある。
  • 1回目に非常に悪かった人は、2回目には少し成績が上がる傾向がある。

このように、 一度目の測定で極端な値を示したものが、二度目の測定では集団の平均値に近い値に「戻る(回帰する)」傾向 があること。これが「 平均への回帰 」です。


なぜこの概念が重要なのか?

「平均への回帰」を知らないと、 相関関係と因果関係を混同し、誤った結論を導いてしまう 危険性があります。

例えば、

  • 「業績が最悪だった店舗の店長を交代させたら、翌月には業績が回復した。新しい店長は優秀に違いない!」
  • 「すごく体調が悪い時に栄養ドリンクを飲んだら、翌日には少し良くなった。このドリンクは効果がある!」

なぜこの概念が重要なのか?

これらの出来事は、本当に店長交代や栄養ドリンクが原因でしょうか?

もちろん、その可能性もあります。しかし、業績や体調が「極端に悪い」状態だったため、何もしなくても「 平均への回帰 」によって自然に少しは改善した、という可能性も大いに考えられるのです。

この現象を念頭に置かないと、効果を過大評価したり、存在しない因果関係を見出したりする誤りを犯してしまいます。


解答の根拠

ある学習塾で、成績上位 30 名を「高得点群」、成績下位 30 名を「低得点群」と定義した。2 回目の試験では、高得点群の平均点は低下し、低得点群の平均点は上昇した。

まさに、この問題で起きている現象が「 平均への回帰 」です。


解答の根拠

  • 高得点群: 1回目で成績が極端に良かった生徒たちは、「実力」に加えて「 偶然のプラス要因 」が重なった可能性が高いです。2回目では、その偶然が再現されにくいため、平均点は全体の平均値に近づきます。

  • 低得点群: 1回目で成績が極端に悪かった生徒たちは、「実力」に加えて「 偶然のマイナス要因 」が重なった可能性が高いです。2回目では、その偶然が再現されにくいため、平均点は全体の平均値に近づきます。

この統計的なメカニズムを最も的確に説明しているのが、選択肢③です。


問題

ある農業研究所が、肥料 A, B の効果を比較するために実験を計画しました。

[1] 20 区画の実験農地を無作為に 10 区画ずつ 2 つのグループに分け、一方には肥料 A を、もう一方には肥料 B を使用しました。両群の母分散は等しいと仮定します。

肥料の種類 区画数 平均収穫量(kg) 不偏分散
肥料 A 10 55.0 12.0
肥料 B 10 52.0 14.0

※なお、両群の収穫量は、それぞれ正規分布に従う母集団からの標本と仮定する。

母平均の差 $\mu_A - \mu_B$ の 95%信頼区間を求めます。プールした分散 $s_p^2$ は 13.0、自由度 18 の t 分布における上側 2.5%点は 2.101 です。信頼区間を求める式として正しいものを、次から一つ選べ。


① $3.0 \pm 2.101 \times \sqrt{13.0 \left(\frac{1}{10} + \frac{1}{10}\right)}$
② $3.0 \pm 1.960 \times \sqrt{13.0 \left(\frac{1}{10} + \frac{1}{10}\right)}$
③ $3.0 \pm 2.101 \times \sqrt{\frac{12.0}{10} + \frac{14.0}{10}}$
④ $(55.0 - 52.0) \pm 2.101 \times \frac{\sqrt{13.0}}{\sqrt{10}}$
⑤ $3.0 \pm 2.101 \times \sqrt{\frac{13.0}{10}}$


解答

①


問題

[2] 土地の肥沃度の違いを考慮し、計画を変更しました。10 箇所の畑をそれぞれ半分に区切り、片方に肥料 A、もう片方に肥料 B をランダムに割り当てました。収穫量の差 $d = (\text{A の収穫量}) - (\text{B の収穫量})$ を計算しました。

測定数 平均 不偏標準偏差
差 $d$ 10 3.0 4.0

※なお、収穫量の差 d は、正規分布に従う母集団からの標本と仮定する。

対応のあるデータとして母平均の差 $\mu_d$ の 95%信頼区間を求めます。自由度 9 の t 分布における上側 2.5%点は 2.262 です。信頼区間を求める式として正しいものを、次から一つ選べ。


① $3.0 \pm 2.262 \times \frac{4.0}{\sqrt{10}}$
② $3.0 \pm 1.960 \times \frac{4.0}{\sqrt{10}}$
③ $3.0 \pm 2.262 \times \frac{4.0^2}{\sqrt{10}}$
④ $3.0 \pm 2.262 \times \frac{4.0}{10}$
⑤ $3.0 \pm 2.306 \times \frac{4.0}{\sqrt{10}}$


解答

①


ポイント解説:独立な2標本 vs 対応のある2標本

この問題の核心は、 「独立な2標本」と「対応のある2標本」の違いを理解し、それぞれに適した統計手法を選択できるか どうかです。

どちらも「2つのグループの平均値の差」を評価しますが、データの構造が根本的に異なります。


1. 独立な2標本

  • 状況: 比較したい2つのグループが、互いに何の関係もない個体から構成されている状況です。問題[1]のように、「20区画の農地をランダムに10区画ずつに分ける」のが典型例です。

  • 分析: 2つのグループそれぞれの平均値とばらつきを基に「平均値の差」を評価します。ばらつきの情報を統合した「 プールした分散 」を用いることがあります。

  • 信頼区間のイメージ: (Aの平均 - Bの平均) ± (係数) × (2群のばらつきを考慮した 標準誤差)


2. 対応のある2標本

  • 状況: 比較したい2つのデータが、何らかの形でペアになっている状況です。問題[2]のように、「 同じ 畑を半分に分けてAとBを試す」のが典型例です。

  • 分析: ペアに共通する要因(個体差)の影響を排除できる ことが最大のメリットです。ペアごとの 差 ($d = \text{A} - \text{B}$) を計算し、この「差のデータ」だけを分析します。

  • 信頼区間のイメージ: (差の平均) ± (係数) × (差のデータのばらつきを考慮した 標準誤差)


なぜこの区別が重要なのか?

データの構造に合わせた分析手法を選ぶことは、統計的推論の信頼性を担保する上で極めて重要です。

もし、 対応のあるデータを誤って独立な2標本として分析してしまうと、本来除去できるはずだった個体差(畑の肥沃度の違いなど)が大きなノイズとして残り、ばらつきが過大に評価されます。

その結果、本当は効果に差があるのに「統計的に有意な差はない」という誤った結論に至る可能性が高まります。


解答の根拠:問題[1]

20 区画の実験農地を 無作為に 10 区画ずつ 2 つのグループに分け 、一方には肥料 A を、もう一方には肥料 B を使用した。

「無作為に分ける」という記述から、グループAとBには何の関連性もありません。したがって、これは 独立な2標本 の問題です。

独立な2標本の母平均の差の95%信頼区間の公式は以下の通りです。

(\bar{x}_A - \bar{x}_B) \pm t_{0.025}(n_A+n_B-2) \sqrt{s_p^2 \left(\frac{1}{n_A} + \frac{1}{n_B}\right)}

解答の根拠:問題[1]

問題文の値を代入します。

  • 平均の差: $\bar{x}_A - \bar{x}_B = 55.0 - 52.0 = 3.0$
  • 自由度18のt値: $t_{0.025}(18) = 2.101$
  • プールした分散: $s_p^2 = 13.0$
  • 標本サイズ: $n_A = 10, n_B = 10$

これらを公式に当てはめると、以下のようになり、選択肢①が正しい式となります。

$$
3.0 \pm 2.101 \times \sqrt{13.0 \left(\frac{1}{10} + \frac{1}{10}\right)}
$$


解答の根拠:問題[2]

10 箇所の異なる農家の畑を提供してもらい、 それぞれの畑を半分に区切って 、片方に肥料 A、もう片方に肥料 B をランダムに割り当てて使用した。

「それぞれの畑を半分に区切って」という記述から、「同じ畑」の中でAとBが比較されています。データは「畑」単位でペアになっています。

したがって、これは 対応のある2標本 の問題です。差のデータ $d$ を用いて、その母平均 $\mu_d$ の信頼区間を求めます。公式は以下の通りです。

$$
\bar{d} \pm t_{0.025}(n-1) \frac{s_d}{\sqrt{n}}
$$


解答の根拠:問題[2]

問題文の値を代入します。

  • 差の平均: $\bar{d} = 3.0$
  • 自由度 $n-1 = 9$ のt値: $t_{0.025}(9) = 2.262$
  • 差の不偏標準偏差: $s_d = 4.0$
  • ペアの数: $n = 10$

これらを公式に当てはめると、以下のようになり、選択肢①が正しい式となります。

$$
3.0 \pm 2.262 \times \frac{4.0}{\sqrt{10}}
$$

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?