以下の統計検定2級対策動画で用いられているスライドの一部です。
はじめに
-
「ある出来事が起こった」という追加情報が、別の出来事の起こりやすさにどう影響するか?
-
これを数値で表すのが 条件付き確率 です。
-
難しく考えず、まずは具体的な例題から見ていきましょう。
具体例:問題設定 (1/2)
ある工場の品質検査部門が、製品1000個の検査結果をまとめました。
品質検査結果(製品1000個)
| 機械A | 機械B | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 良品 | 570 | 380 | 950 |
| 不良品 | 30 | 20 | 50 |
| 合計 | 600 | 400 | 1000 |
具体例:問題設定 (2/2)
この1000個の製品の中から、無作為に1個の製品を取り出します。
ここで考えたい確率は…
取り出した製品が 『検査機Aで検査されたもの』 だったとき、その製品が 『正常品』 である確率は?
考え方のポイント
条件付き確率を考える上で、最も重要なポイントがあります。
それは、 注目する範囲 (分母となる全体) が変化する ことです。
- 「取り出した製品が検査機Aで検査されたものだった」
この条件によって、私たちの思考の範囲が限定されます。
計算ステップ (1/2): 範囲を絞る
まず、与えられた条件に注目します。
「取り出した製品が検査機Aで検査されたものだった」
これにより、私たちの思考の範囲は、全製品1000個から 「検査機Aで検査された600個」 に限定されます。
計算ステップ (2/2): 割合を計算する
次に、限定された 600個 の中で考えます。
この中で、「正常品である」製品の個数は 570個 です。
したがって、求める確率は、限定された範囲の中での割合で計算できます。
$$
\frac{\text{(検査機Aで検査された正常品の数)}}{\text{(検査機Aで検査された製品の総数)}} = \frac{570}{600} = \frac{19}{20} = 0.95
$$
求める確率は 0.95 となります。
「条件付き確率」とは?
今、私たちが計算したものが 条件付き確率 です。
- ある事象Aが起こった という条件のもとで、
- 別の事象Bが起こる 確率
これを記号で $P(B|A)$ と書きます。
(ピー・ビー・ギブン・エー と読みます)
- $A$: 条件となる事象 (検査機Aで検査)
- $B$: 求めたい事象 (正常品)
公式を使ったアプローチ (1/2)
先ほどは個数の比率から直感的に確率を求めました。
これを一般化し、確率から計算するための公式も見てみましょう。
まず、計算に必要な2つの確率を求めます。
- $P(A)$: 全1000個の中から「検査機Aの製品」を選ぶ確率
- $P(A \cap B)$: 全1000個の中から「検査機Aの製品 かつ 正常品」を選ぶ確率
- $A \cap B$ は「AとBの積事象」と呼びます。
公式を使ったアプローチ (2/2)
-
$P(A)$ の計算
$P(A) = \frac{\text{検査機Aの製品数}}{\text{全製品数}} = \frac{600}{1000} = 0.6$ -
$P(A \cap B)$ の計算
$P(A \cap B) = \frac{\text{検査機Aで検査された正常品数}}{\text{全製品数}} = \frac{570}{1000} = 0.57$ -
$P(B|A)$ の計算
これらの値を使って、条件付き確率を計算します。
$$
P(B|A) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)} = \frac{0.57}{0.6} = 0.95
$$
結果は、先ほど個数から求めた値と一致しました。
注意点: $P(B|A)$ と $P(A|B)$ の違い
初学者が混同しやすいポイントです。
$P(B|A)$ と $P(A|B)$ は 全く異なる確率 であることに注意してください。
-
$P(B|A)$
- 条件: 検査機Aで検査された
- 求めたい確率:それが 正常品 である確率
-
$P(A|B)$
- 条件: 正常品だった
- 求めたい確率:それが 検査機Aで検査された ものである確率
$P(A|B)$ を計算してみよう
では、実際に $P(A|B)$ を計算してみます。
-
範囲を絞る
条件は「正常品だった」なので、注目する範囲は 「正常品950個」 に限定されます。 -
割合を計算する
この950個のうち、検査機Aで検査されたものは 570個 です。したがって、
$$
P(A|B) = \frac{570}{950} = \frac{57}{95} = \frac{3}{5} = 0.6
$$
比較と結論
計算結果を比べてみましょう。
- $P(B|A) = 0.95$
- $P(A|B) = 0.6$
このように、値が全く異なります。
条件と結果を入れ替えると、意味も計算結果も変わる ことを覚えておきましょう。
一般化:定義と公式のまとめ (1/2)
ここまでの内容を一般化して、定義をまとめます。
条件付き確率 とは、
「 ある事象Aが起こった という条件のもとで、 別の事象Bが起こる 確率」
のことです。
一般化:定義と公式のまとめ (2/2)
事象Aが起こったという条件のもとで事象Bが起こる条件付き確率 $P(B|A)$ は、以下の公式で計算されます。
$$
P(B|A) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)}
$$
- $P(A)$: 事象Aが起こる確率 (ゼロではない)
- $P(A \cap B)$: 事象Aと事象Bが 同時に 起こる確率
この公式は、「注目する範囲を限定する」という操作を、確率の世界で表現したものです。
本日のまとめ
-
条件付き確率 $P(B|A)$ とは、「事象Aが起こった」という条件のもとで「事象Bが起こる」確率のこと。
-
計算の基本は、 条件によって注目する範囲(分母)を限定する こと。
-
公式は $P(B|A) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)}$ であり、確率から直接計算することができる。
-
$P(B|A)$ と $P(A|B)$ は異なる確率である。