106
108

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

GCPでFX自動取引システムを作った話

Last updated at Posted at 2019-08-01

Mockun_JPNと申します。ITコンサルタント/エンジニアとして活動しています。肩書は仕事内容や相手によって使い分けてます。IT、旅行、投資が好きです。アイコンは妻が描いたカワウソです。

以下の記事の最初の一文に共感したので、自分も書いてみることにしました。

公営競技を題材にGCPを勉強する
直接的にお金が絡まないと中々やる気が出ないため、公営競技を題材にしてGCPをざっくり勉強する。

この記事について

Google Cloud Platformについて、COURSERAで学んだ内容を使ってみようと思い立って作ったFX自動取引システムについての記事です。主にGCPのサービスを組み合わせればこんなこともできるよ、というアーキテクチャ寄りの内容になっています。

売買判定には、Scikit-learn、XGBoost、Optunaなどのライブラリを使った簡易な機械学習を用いていますが、この記事では深くは触れません。FXに機械学習を適用するという試みについては、新米データサイエンティストのFXブログが非常に参考になります。

Googleスライド版資料

発表用に作った資料はこちら。お仕事募集も書いてますので、気になる方がいればぜひ。
https://docs.google.com/presentation/d/1y6gLYuHFGN6Xv9GYFh7LgD14k0Ek0Ve-5_Z8qtVfF_g/edit?usp=sharing

システム全体像

GCPで作るFX自動取引システム(Mockun_JPN).png

全体の構成として、価格取得(図中上段)、発注(図中中段)、ポジション(図中下段)となっています。レートを取得し、ポジションをオープン、クローズしているだけなので、自動売買としては非常にシンプルな構成です。図を見れば分かる通り、お気に入りのパターンはPub/Sub + Functionsです。Pub/Subを介してFunctionsをつなげていくことで、全体のデータフローを構築しました。

価格取得

GCPで作るFX自動取引システム(Mockun_JPN) (1).png

自動取引のインプットとして、まず思い浮かぶのは取引対象の価格データだと思います。リアルタイム(ストリーム)で提供されるTickデータをこのシステムに引き込む常駐プロセス(A)、分析・モデル学習用データを蓄積するBigQueryへのInser処理(B)、ファイルとしてバックアップする処理(C)、TickデータをN分足やM時間足に変換する処理(D)で構成されるのが、価格取得の領域です。

ここには、Tickデータを取得するための(A)と、そのTickデータを一定期間蓄積して「足」に変換する(D)の2つの常駐プロセスがあります。逆に他の領域には、常駐プロセスは存在しません。Tickと「足」の完成をイベントとして捉えることができれば、あとはそれに反応していければ良いわけです。

発注(ポジションのオープン)

GCPで作るFX自動取引システム(Mockun_JPN) (3).png

一定期間の価格情報のサマリである「足」が完成したら、Pub/Subを通じて発注処理に対象データが引き渡されてきます。価格データを予測モデルのインプットとなるよう変換する前処理(E)をした上で、通過ペアごとの売買判定モデル(F)に引き継いでいきます。

図中(E)を見ると上下に分岐していることがわかると思います。このケースでは、前処理や予測モデルを追加、変更(v1→v2)する際に、同一データを異なる後続処理に流しています。このように、Pub/Sub + Functionsを組み合わせることで、フローを分岐させるのが容易な構造にできます。

前処理(E)と予測(F)の検証とモデル構築を行う処理として、JupyterLab(G)を自宅サーバーに構築しています。当初は自宅サーバーで休みなくパラメータチューニングや学習を行っていましたが、7月後半となり、暑くなってきたので、こちらもGCPに移行していくことを検討しています。

ポジション管理(ポジションのクローズ)

GCPで作るFX自動取引システム(Mockun_JPN) (4).png

ポジション管理、と言っても一定ルールでポジションをクローズしているだけなのですが、ここもCloud Functionsで実現しています。1分に一度の間隔で処理するため、Cloud SchedulerからPub/Sub経由でFunctionsを起動しています。

感想

自動取引システムを構築するにあたって、意識したポイントは以下の通りです。

  • サーバーレスを多用することでインフラ管理の手間を抑える
  • 稼働後のデータフローの変更が可能なように処理をPub/Subで疎結合(?)にする
  • データ処理はCloud Functionsで処理する
  • 取得したデータは後から使えるようにTickデータをBigQueryに蓄積する

インフラにこだわり始めると際限なく改善点が出てくるので、サーバーレスという制約をつけることで、アプリケーションのロジックに集中するように意識しました。できる限りPub/SubとFunctionsで実現することを考えましたが、(A)と(D)の2つは、イベント起動にできませんでした。

サーバーレスは自分の中で確固たる定義があるわけではないのですが、個人的な感覚としては、「OSやミドルを操作している感覚がないこと」だと思っています。今回、処理を非同期に繋いでいくPub/SubとFunctionsを使えたのは非常に良かったと思います。

106
108
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
106
108

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?