はじめに
気ままに勉強会 にて、Power Automate のアップデート情報を紹介しております。
(Power Automate をメインに、Power Platform について扱う勉強会になりますので、ご興味ある方は是非ご参加ください)
今回は、2023年の Power Automate の Update を月ごとに纏めてみました。
多忙な方へのサマリ
私見も入りますが、主なアップデートを列挙します。
Power Automate
- Power Automate Copilot の登場
- 新デザイナーの登場
- 条件アクションの条件式の強化
- ALMの一環として新規クラウドフローがDataverseソリューションに作成される機能追加
- プロセスマイニングがGA、Copilotによる分析も可能に
- ホーム画面のナビゲーションレイアウト変更
- ChatGPT用のPower Automateプラグイン登場
AI Builder
- GPTを利用したテキスト生成機能(GPTプロンプト)が追加
- AI Builder アクティビティの監視機能
- 複数人によるカスタムモデルのトレーニング共有機能
Power Automate for Desuktop
- 無人オートメーション用のホスト型マシンの提供
- UI要素の強化(Text属性、セレクターのテストや修復)
- SPOアクションのGA
- Teams、Forms、OneDrive、RSS、Office 365 Outlook、OneNoteアクション追加
- デバック中の変数代入機能追加
- Copilotによるデストップ フローの作成に関連する回答機能
- CopilotによるPowerShell,VBScript,JavaScript,DOS,Python スクリプト生成機能
2023年1月
Power Automate for Desktop でホステッドRPAが利用可能に
有人および無人オートメーション用のホスト型マシン
ホスト型コンピュータと呼ばれる PAD 用仮想マシン(VM)イメージの提供により、物理コンピューターを用意しなくても、デスクトップフローを構築、テスト、および実行できるようになりました。
大規模な無人自動化のためのホストされたコンピューター グループ
ホストされたコンピューターグループを使用することで、非アテンド型自動化を大規模に実行できるようになりました。
RPAキューを監視
ホストされたコンピューターグループに割り当てられたデスクトップフローは、実行がトリガーされるとキューに入れられます。グループ内でキューの実行順序が管理され、ボットの空きが出るとデスクトップフローが実行されます。
これらのRPAキューは、make.powerautomate.com で監視でき、キューの実行履歴を表示、優先度の高いデスクトップ フローをキューの昇格など優先順位を変更したりできます。
Power Automate for Desktop フローをWeb APIで管理可能に
デスクトップフローの管理(一覧表示、スキーマ取得、実行状態取得、実行をトリガー、実行の取り消しなど)がWeb APIから実行可能になりました。
こちらについては、実行手順を以下にまとめていますのでご覧ください。
Power Automate for Desktop 2023年1月の更新
- ログイン時に証明書チェック
- エラースクリーンショットのキャプチャを防止
- SharePoint コネクタ アクションの追加
- Web セレクタにText属性が追加
2023年2月
フローなどでより強力な条件を構築
高度な条件ビルダー
条件アクションのCondition Expressionが使いやすくなりました。
グループを作成することで、より複雑な条件が設定可能となっています。これは現在提供されているNewデザイナーにおいても利用可能です。(UIと深い階層設定の相性が良くないですが)
Power Automate for Desktop 2023年2月の更新
- 「リージョン」と「終了リージョン」アクションの追加(一連のアクションをグループ化可能)
- SharePoint アクションで実行のみのユーザーが接続共有を利用可能に
2023年3月
Microsoft Teams の更新(Update)アプリ用の Power Automate コネクタ
Teams の更新(Update)アプリ用の標準コネクタが展開されました。
Teams の更新(Update)アプリは、組織内で作業依頼の管理などが可能なアプリです。
既定で Dataverse ソリューションを使用したより管理しやすいクラウド フロー
アプリケーション ライフサイクル管理 (ALM) の一環として、すべてのクラウドフローが Dataverse で作成され、Dataverse が環境で使用可能な場合に既定のソリューションに追加されるようにする新しい環境設定が可能になりました。
この機能をONにするには、
Power Platform 管理センター > 環境 > [対象の環境を選択し] > 設定 > 製品 > 機能 にある下記メニューを設定する必要があります。
Power Automate の AI Builder と Copilot でこれまで以上にスマートに自動化
2023年1月ごろから米国環境で利用できていましたが、Power Automate Copilot の記事が3月に投稿されました。
Power Automate では
- AIを利用したフローの構築、修正
- GPTを利用したテキスト生成
Power Automate for Desktop では
- GPTを利用したテキスト生成
が利用可能が記事に記載されています。
2023年4月
Power Automate for Desktop 2023年4月の更新
- UI要素のセレクターのテスト機能追加
- iframe要素対応
- キーボードショートカット
- SPOアクション(Premium)のGA
2023年5月
Power Automate の顧客管理暗号化キーのパブリック プレビューの発表
独自の暗号化キーを使用して、保存されているすべてのクラウドデータをセキュリティで保護し、制御を強化できるカスタマー管理の暗号化キー (CMK) がパブリックプレビューされました。
ヘルスケアや金融サービスなどの規制の厳しい業界では、独自のキーを使用してクラウド資産を暗号化するための追加の保護が提供されます。
暗号化キーは Azure Key Vault を利用します。
Power Automate for Desktop 2023年5月の更新
- アセットライブアリを介したカスタムアクション
- UI 要素セレクターの修復機能
- 「ターミナルセッションでテキストを検索する」アクションの追加
2023年6月
新しいiOS 用 Power Automate モバイルアプリがGA
* クラウドフローの実行結果を表示
* インスタントフローをトリガー
* 通知の表示
* 承認の表示と応答
の機能が利用可能です(継続機能もあります)
Power Automate for Desktop 2023年6月の更新
- 「ワークキューアイテムの処理」 と 「ワークキューアイテムの更新」(Preview)
- ODfBコネクタアクション が追加
2023年7月
Power Automate for Desktop 2023年7月の更新
- Office 365 Outlook コネクタ アクションが追加
- [.NET スクリプトの実行] アクションが [スクリプト] アクションに追加
- 作業キューアクションに「作業キューアイテムの追加」アクションが追加
- UI要素の階層ツリーを探索できるUI要素検査ツールが追加、
- トラブルシューティング ツールがプレビューで導入
- 詳細ログ機能追加
AI Builder の 2023年7月の更新
- AI Builderに「GPT でテキストを作成」アクションが追加されました。
- GTPにより生成されたテキストを人間がレビューする機能として、承認コネクタに「開始してテキストの承認を待つ」アクションが追加されました。
- AI Builder アクティビティの監視機能がパブリックプレビューされました。
- 請求書処理の事前構築済みモデルをベースとしたカスタムモデルの作成が可能になりました
- AIで作成したモデルを共同所有し、複数人でモデルのトレーニングが可能となりました。
2023年8月
プロセスマイニングがGA
ビジネスプロセスを分析し、AIを活用してインサイトを生成し、ソリューションと自動化を作成することが可能になります。これにより投資収益率(ROI)の実現とプロセスの継続的な監視・改善が可能になります。
プロセスマイニングの主な機能には、プロセスの可視化、根本原因分析、パフォーマンス追跡、継続的な改善、自動化されたプロセスの監視などがあります。
Power Automate for Desktop 2023年8月の更新
- プレミアムアクションログメッセージの追加
- エラースクリーンショットのアップロードを無効化可能に
- デバッグ中に変数の値が変更可能に
- Excelアクションでセルを名前で参照可能に
Power Automate テレメトリデータと Azure Application Insights の統合の発表
Power Platform環境をAzure Application Insightsに接続し、自動化の高度な診断と監視が可能になります。
これにはAzureのアプリケーションパフォーマンス監視(APM)機能が活用され、Power Automateで実行されるワークフローの診断と監視が行えるようになります。
Power Automate プロセス マイニングの新しい Copilot 機能のプレビューを発表
Power Automate Process Mining の Copilot は、イベント ログからプロセスを検出し、属性を必要なデータ スキーマにマップするのに役立ちます。
Copilot はデータに関する質問に回答し、自動化や最適化の推奨事項を表示します。
組織は ROI を最大化するために、最初に適用する場所、次に適用する場所をすばやく特定できます。
2023年9月
Power Platform と環境間のナビゲーションの容易化
Power Automate ホーム(make.powerautomate.com )のナビゲーションの変更
ChatGPT 用の Power Automate プラグイン
ChatGPT 用の Power Automate プラグインを利用すると、ChatGPT内からフローを作成したり、「Run a flow from Copilot」トリガーによるChatGPTからのフローの起動が可能となりました。
Power Automate for Desktop 2023年9月の更新
- SharePoint コネクタ アクションの増加
- 「アイテムの再キューイングと遅延の追加」アクションが追加
- Microsoft Forms、OneDrive、RSS のコネクタが追加(Premiumコネクタ)
2023年10月
「HTTP 要求の受信時」トリガーの機能強化
「HTTP 要求の受信時」をトリガーにOAuth認証を追加し、フロー起動時にテナントID、ユーザーID、またはオブジェクトIDの指定が可能となりました。
HTTP要求送信時に、テナント内の特定ユーザーのみがフローをトリガーするように制限できます。
今後、このトリガーの規定オプションになるとのこと。
Power Automate for Desktop 2023年10月の更新
- 「Click UI element in window」 と 「Populate text field in window」アクションで、対象の要素の画面がバックグラウンドでも実行可能に
- Microsoft Forms、OneDrive、RSS のコネクタが追加(Premiumコネクタ)
Microsoft Power Automate ワークキューの一般提供開始
ワークキューを登録し、キューの優先順位を定義することで、クラウドフローや、デスクトップフローから順次キューを取得し、処理する機能がGAされました。
Dataverse 環境全体でアプリ、データ、プロセスをシームレスに接続
Microsoft Dataverse コネクタに、「環境」パラメーターが追加されました。
この更新により、他の環境のDataverse へ接続可能となり、同じフローを複数の環境に展開したり、環境間の統合のためにレガシ コネクタにフォールバックしたりする必要はなくなりました。
2023年11月
更新されたクラウド フロー デザイナーが一般提供
Power Automate が Copilot とネイティブに連携するために、新しいクラウドフローデザイナーが提供されました。
Power Automate の Copilot: Microsoft Ignite 2023 で発表された新しい時間節約エクスペリエンス
Power Automate for Desktop
- Copilot を使用して、製品の使用と、事前定義されたプロンプトまたはカスタム プロンプトを使用したデストップ フローの作成に関連する回答を取得できるようになりました
- 「PowerShell の実行」、「VBScript の実行」、「JavaScript の実行」、「DOS コマンドの実行」、および「Python の実行」の各アクションを使用すると、Copilot でスクリプトを生成できます
Power Automate
- Copilot を使用して自動化アクティビティを分析することが可能になりました
- AI Builder、子フロー、デスクトップ フロー、SAP など、さらに多くの API コネクタで Copilot を使用できるようになりました
- フロー実行エラー時に、Copilot がエラー関する情報を提供し、フローを簡単に修正する方法の概要を共有するようになりました
- パラメータ入力の文法ミスをCopilotが理解
Power Automate for Desktop 2023年11月の更新
- Copilot のガイダンスと情報の提供開始(上記)
- Copilot を使用してスクリプトを生成(上記)
- SAP GUI アクションの追加
2023年12月
Power Automate Process Mining Copilot のグローバル展開
Power Automate プロセス マイニングにCopilot機能が追加され、プロセスの非効率性に対処するためのプロセスの発見、データのマッピング、プロセスの洞察と自動化の推奨事項の取得を支援
承認キットのパブリックプレビュー
Power CAT のキットである「承認キット」がパブリック プレビューとして利用可能に
デスクトップ フロー接続の Azure Key Vault 資格情報
新しい資格情報マネージャーにより、Azure Key Vault に格納されているシークレットを使用して資格情報を作成および管理が可能に。
Power Automate for Desktop 2023年12月の更新
- 実行 URL にフロー入力変数を追加することが可能に
- Power Fx が利用可能に
- ホーム画面で"Automation in a Day" イベントの通知
AI Builder GPT プロンプトの一般提供
7月に提供されていた、AI Builder GPT プロンプトビルダーの機能が、米国、オーストラリア、英国、ヨーロッパで一般提供。
プロンプトビルダーを使用して、ワークフロー中に実行される GPT への命令を作成できるようになります。
作業の開始に役立つプロンプトの例も追加されました。
- テキストの分類
- テキストの要約
- テキストからアクションポイントを抽出する
- テキストから情報を抽出する
- 苦情への対応