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市販PLMと生産管理システムの連携がうまくいかずWebアプリで内製化した理由とその設計思想

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Last updated at Posted at 2026-01-12

はじめに

本記事は、製造業のシステム部門で
・市販の生産管理システムやPDMを導入したものの、現場とのフィットギャップに悩んだ
・アドオンやカスタマイズが増え、運用・保守コストが肥大化した
・E-BOMとM-BOMの連携や工程設計の属人化に課題を感じている
といった方に向けて、WebアプリケーションとしてPDMと生産管理システムを内製した
背景と、その過程で直面した課題・判断・成果を紹介します。
私は、微細加工や塗装・印刷など多種多様な装飾加工を必要とする製品を扱う製造業の
システム部門を担当する中で、PDMおよび生産管理システムの社内開発を行ってきました。

【社内開発に至った背景及び市販生産管理システム導入の実情】
部門発足当初、市販の生産管理システムを導入しました。
導入後、現場要望とのフィットギャップを埋めるため、数年をかけて各種カスタマイズや
数十本に及ぶアドオンプログラム群を開発しました。
結果として運用は回り始めましたが、次のような課題が残りました。
・作業内容や業務に応じて、複数のシステムやツールを切り替える煩雑さ
・アドオン多用によるデータ連携の複雑化
・通信やデータ変換の増加によるリアルタイム性の低下
(アドオン側で参照できるデータは基本的に1日遅れ)
システム管理側の課題
・システム管理の立場からは、別の悩みもありました。
・市販システムのバージョンアップに伴うカスタマイズ部分の改修
・アドオンプログラム群の保守・管理コスト増大
・改修影響範囲の把握が難しくなることによる運用リスク
 「使えてはいるが、持続可能ではない」という状態が続いていました。

【PDM導入の狙いと現実】
PDM導入の目的
その後、次の2つの目的で市販PDMを導入しました。

  1. 設計部門が作成した製品仕様書(部品情報)を、
     生産管理システムへ再入力している無駄や入力ミスの削減
  2. 製造工程登録の自動化
     特に2つ目の「工程登録の自動化」は、大変重要なテーマでした。

【工程設計における属人性という課題】
PDMへの登録は主に設計者が行いますが、製造工程の設計は本来、生産技術部門の
領域です。
そのため、
製造工程設計は、ノウハウや経験を積んだ特定の担当者に依存作業が属人化し、
業務継続性のリスクを抱えるという問題がありました。
実はこの工程設計の中に、利益の源泉や付加価値があります。
そこで私たちは、
付加価値や判断を伴う部分は人が担うそれ以外の製造工程(構成)作成部分はシステム化
するという役割分担を取ることにしました。
PDMから生産構成表へ変換する際に、
ルール化できる部分は自動生成することで、属人性を減らし、業務の継続性を担保する
ことを狙いました。

【なぜ市販システムでは難しかったのか】
この狙いを市販システムで実現しようと検討しましたが、次の理由から困難と判断
しました。

  1. 生産管理システムとPDMのデータベース構造が大きく異なり、データ解読・連携が
     非常に難しい
  2. カスタマイズ期間が長く、社外発注費用が過大になる結果として、「市販システム
     をつなぐ」よりも、自社業務に合わせて作る方が現実的という結論に至りました。

【Webアプリケーションとして内製した理由】
約10年前から社内では「見える化」の取り組みが進められていました。
・各種進捗管理
・金型などの重要資産管理
・品質情報の管理
これらをイントラネット上のWebアプリとして段階的に開発してきました。
その延長線上で、PDMおよび生産管理システムも
Webアプリケーションとして内製するという選択をしました。

【最も苦心した点:属人性をどうシステム化するか】
PDMと生産管理システムを連携させる中で、最も苦労したのは、「どこまでを人の判断に
残しどこからをシステムで自動化するか」という線引きです。
すべてをシステム化すると柔軟性を失い、人に任せすぎると属人化が残る。
このバランスを取りながら、
ルール化可能な工程構成のみを自動生成するロジックを設計することが、
最大のポイントでした。

【結果と得られた成果】
現在、PDMおよび生産管理システムは本番稼働しており、当初の目的に以下の様に
概ね近づいています。
・E-BOMから生産構成表への展開が可能
・工程作成の属人性を一定程度削減
・Webアプリ開発ノウハウの社内蓄積
・システム人材育成への波及効果

【今後の課題】
一方で課題も残っています。
・日々の機能改善を、いつまで社内開発で継続できるか
・システム基盤が時代遅れにならないか
・開発・保守体制の持続性
現在は、今後のシステム開発・改善をどのような体制で進めるかを再検討している
段階です。

【おわりに】
市販システムは非常に強力ですが、
すべての現場に最適解になるとは限りません。
業務理解を前提とした内製には別の苦労がありますが、
「何をシステム化し、何を人に残すか」を自分たちで決められる点は、大きな価値だと
感じています。同じような課題を抱える方の参考になれば幸いです。

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