Basler pylon SDKで連続撮影（バーストキャプチャ）をC#で実装する

画像処理や検査用途では、「1枚だけ撮る」だけでなく連続して撮影（バーストキャプチャ） することが求められる場面も多くあります。

本記事では、Baslerのpylon SDKを使ってC#で高速連続撮影を実装する方法を紹介します。

✅ この記事でわかること

バーストキャプチャの基本実装（Grabループ）
撮影間隔の制御方法
画像の保存とタイムスタンプ記録
処理速度における課題とその解決ヒント

📦 環境

項目	内容
カメラ	Basler acA2500-14gm
SDK	pylon Camera Software Suite
言語	C# / .NET 8.0 (Windows)

🔄 基本実装：N枚連続で撮る

今回も前回記事（Basler pylon SDKでフレームレートを制御・確認する）で紹介したBaslerCameraSampleクラスに、以下の機能を追加していきます。

まず、連続撮影の前にトリガー制御モードを設定するサポートメソッドを作っておきます。

public bool SetTriggerMode(string mode)
    => SetPLCameraParameter(PLCamera.TriggerMode, mode);

バースト撮影を行い、指定された枚数の画像を保存します。トリガー制御についてもいずれ記事にしたいですが、今はシンプルなトリガーなしのフリーモードにしておきます。
撮影開始し画像を取得するたび、指定されたベース名に連番と経過時間を付加して画像が保存されます。
経過時間を付加しておくと、後から検証するのに大変参考になります。DateTimeを使うのも有効です。

public void BurstCapture(int count, string baseName = "burst")
{
    SetTriggerMode(PLCamera.TriggerMode.Off); // トリガーモードをオフにしてフリーモードで撮影
    if (Camera == null || !IsConnected)
        throw new InvalidOperationException("Camera is not connected.");

    if (Camera.StreamGrabber == null)
        throw new InvalidOperationException("Camera StreamGrabber is not available.");

    var sw = new Stopwatch();
    Camera.StreamGrabber.Start();
    sw.Start();

    for (int i = 0; i < count; i++)
    {
        using IGrabResult? result = Camera.StreamGrabber.RetrieveResult(5000, TimeoutHandling.ThrowException);
        var elapsed = sw.ElapsedMilliseconds;
        if (result?.GrabSucceeded ?? false)
        {
            // 画像の変換と保存
            // 保存処理に時間がかかる場合は、画像をConcurrentQueueなどに一時保存し、別スレッドで非同期保存すると安定します
            var bmp = ConvertGrabResultToBitmap(result);
            string filename = $"{baseName}_{i:D3}_{elapsed}ms.bmp";
            SaveBitmap(bmp, filename);
        }
    }
    sw.Stop();

    Camera.StreamGrabber.Stop();
}

🕒 撮影間隔を制御するには？

AcquisitionFrameRateEnable = trueにして、AcquisitionFrameRateを変更してください。（参考：Basler pylon SDKでフレームレートを制御・確認する）

📷 実行例：露出時間を変えて撮影・保存

以下のコードでは、10fpsで画像を連続取得し、保存します。

[TestMethod()]
public void BurstCaptureTest_10times()
{
    if (!_baslerCameraSample.IsConnected)
        _baslerCameraSample.Connect();

    // フレームレートを有効にする。
    _baslerCameraSample.EnableFrameRate(true);
    _baslerCameraSample.SetFrameRate(10); // 10fps(100ms/frame)
    _baslerCameraSample.BurstCapture(10, "BurstCaptureTest");
    // 10枚の画像が保存されていることを確認する。
    for (int i = 0; i < 10; i++)
    {
        string filename = $"BurstCaptureTest_{i:D3}_*.bmp";
        var files = System.IO.Directory.GetFiles(".", filename);
        Assert.IsTrue(files.Length > 0, $"File {filename} not found.");
    }
}

実行結果

回転しているサンプルを10fpsで10枚撮影しました。

45ms	143ms	243ms	343ms	443ms

543ms	643ms	743ms	843ms	943ms

⚠️ よくある問題と対応策

問題	原因・対策
撮影枚数が少ない／取りこぼす	処理が間に合っていない（画像保存に時間がかかる）
フル解像度では処理が重すぎる	ROIを設定して高速化(次回解説予定)
1枚目の時刻がずれる	トリガー制御

🔁 フル解像度で遅い？それ、ROIで改善できます

今回のバーストキャプチャでは、**フル画角（例：2592x1944）**で撮影しています。
処理が重かったりフレームレートが伸びない場合、ROIを設定して画像サイズを小さくすることで改善できます。

次回の記事では、ROI（撮影範囲の絞り込み）を使って、より高速なバーストキャプチャを実現する方法を紹介します。

📝 まとめ

バーストキャプチャは StreamGrabber.Start() + ループで実装できる
フレームごとの制御には FrameRate 設定を活用
保存時間や画像サイズがボトルネックになることもある
→ ROI設定と組み合わせると、連続撮影性能がさらにアップ

筆者：@MilleVision

🛠 サンプルコード完全版のご案内

「指定枚数・fpsのバースト保存テンプレ→」