はじめに
私は機械知能研究室に所属し,CV分野の研究に取り組んでいます.
機械知能研究室では,ロボットビジョンや自律知能システムに関する研究を行っています.
研究室の詳細はこちらです.
背景
研究では日々多くの論文を読み,実験を繰り返します.
しかし,研究を進める中で次のような悩みがありました.
- 論文のPDF,メモ,アイデアが別々の場所に保存されてしまう
- 論文を読んだときの気付きが,将来の自分に活かされない
- 複数の論文や実験結果を横断して考えるのに時間がかかる
そこで現在は,
- Zotero
- Obsidian
- NotebookLM
を組み合わせた研究環境を構築しています.
同様の構成を紹介する記事は数多くありますが,本記事では文献管理ではなく,「研究者の思考を支援する環境」を作ることを目的として紹介します.
なぜ3つ使うのか?
この3つは競合するツールではなく,それぞれ担当する役割が異なります.
| ツール | 役割 | 目的 |
|---|---|---|
| Zotero | 情報管理 | 論文・引用情報を正確に管理する |
| Obsidian | 知識管理 | 自分の考えを蓄積し,再利用可能な知識にする |
| NotebookLM | 思考支援 | 論文や自分のメモを基にAIと議論する |
つまり,
- 管理
- 蓄積
- 思考
という3つの役割を分担しています.
1. Zotero ― 情報の「基盤」を作る
研究では,引用ミスや文献の紛失は避けなければなりません.
そのため,文献管理にはZoteroを利用しています.
Zoteroでは,
- PDFの自動保存
- 書誌情報の取得
- 引用形式の生成
- タグ・コレクションによる管理
を一括で行えます.
活用のコツ
プロジェクト単位でコレクションを作る
テーマごとではなく,
- ○○学会
- 修士論文
- 新規研究テーマ
など,プロジェクト単位で管理すると目的の論文を探しやすくなります.
要約は書かない
論文を読むたびに長い要約を書くことはしていません.
重要な箇所だけハイライトし,「メモに追加」で残しています.
後からAIで整理できるため,ここでは情報を残すことを優先しています.
2. Obsidian ― 知識を資産にする
Zoteroで管理している情報を,自分の知識へ変える場所がObsidianです.
Markdown形式で保存されるため,
- 将来的にも利用しやすい
- AIとの相性が良い
- 他サービスへ移行しやすい
というメリットがあります.
活用のコツ
Better Notesを用いた転記
Better Notesを利用すると,
Zoteroで付けた
- ハイライト
- コメント
- 注釈
をMarkdown形式で,Obsidianへ転記できます.
研究ログを書く
論文メモとは別に,
- 実験結果
- 気付いたこと
- 仮説
- アイデア
を研究ログとして残しています.
特に,大きな実験に取りかかる前には,実験の目的や予想される結果を記録するようにしています.
後から見返すと,
「あのとき考えていたこと」
を思い出せるため,非常に役立っています.
3. NotebookLM ― AIと議論する
NotebookLMは単なる要約ツールではありません.
私は「論文と対話するためのAI」として利用しています.
NotebookLMには
- 論文PDF
- Obsidianの論文メモ
- 研究ログ
これらをまとめて登録することで,複数の論文や自分の研究内容を横断しながら考えられるようになります.
活用例
例えば,
- この論文と似た手法は?
- 自分の提案法との違いは?
- この実験結果から考えられる原因は?
- 次に検証すべきことは?
といった質問を行います.
NotebookLMは回答とともに引用元も表示してくれるため,必ず原文を確認しながら利用しています.
AIの回答を鵜呑みにせず,考えるためのパートナーとして活用しています.
実際のワークフロー
このように,
情報が一方向に流れるのではなく,知識が循環する仕組みを作っています.
NotebookLMで得られたアイデアはObsidianへ戻し,将来の研究でも再利用できるようにしています.
この構成のメリット
この環境では,
- Zoteroが「管理」を担う
- Obsidianが「知識」を蓄積する
- NotebookLMが「思考」を支援する
という役割分担が明確です.
それぞれが得意分野に集中しているため,1つのツールだけで運用するよりも効率的に研究を進められるようになりました.
おわりに
研究では,
論文を読むことよりも,
「読んだ知識をどう活用するか」
の方が重要だと感じています.
今回紹介した環境では,
- 情報を正しく管理し,
- 自分の知識として蓄積し,
- AIと対話しながら新しい仮説を考える
という一連の流れを自然に回せるようになりました.
同じように論文管理や研究の進め方に悩んでいる方の参考になれば幸いです.
参考文献






