Swiftの逆引き事典というよりiOS SDKの逆引き事典
Swift2対応 iOS9対応の逆引き事典です。環境の整備から事例別のプログラム例、UIエレメントの設定から、ファイル操作、そしてアプリ登録までを網羅して555項目のTipsを収めてあります。XCodeの使い方からiTunes Connectの使い方などまで入っているので、Swiftの逆引きというよりもiOS SDK の逆引き事典といった方がマッチしています。同じシリーズで既刊で「Objective-C逆引き大全」というのがあるので、そのSwift版ということでしょう。極端に初歩的な内容から、かなり高度な内容まで含まれています。JSONデータの取り扱いや、In-App Purchaseやローカライズについての解説があったり、各種のViewの使い方などは使い方を忘れた時にReferenceを調べるよりも役立ちそうです。
あまりに初歩的な内容は不要では?
本書の読者層は、入門書などを使って多少なりともアプリ開発をやった経験のあるレベルだと思います。(何の経験もない人には逆引き事典はいらないでしょう)そうだとすると、XCodeのインストールやあまりに初歩的なXCodeの操作方法は必要ないのではないでしょうか?
また、ローカライズなどでは、必要な操作の1つ1つをそれぞれ1項目に割り当てています。これで555の極意というのはちょっと盛り過ぎの感があります。
用語などがきちんとしていない部分がある
Objective-Cの版をベースにしているせいか、用語がReferenceなどにマッチしていない部分が見受けられます。例えば、Swiftではイニシャライザと呼んでいる初期化処理コードをコンストラクタと呼んでいたり、オプショナルチェインを妙な呼び方をしたりしています。
大全というには足りない機能も
大全というからには機能は網羅してほしいところですが、例えばLocaton ManagerやTouch ID、3D-Touchには触れられていません。また広告表示については、バナービューの配置だけで広告表示のためのAPIについては何も説明されていません。
完璧ではないが、持っていると役に立つことは多そう
上記で述べたように幾つかの足りない点や欠点はありますが、持っていれば初めて使う機能を調べたり、使い方が思い出せないような時に本書を見るとヒントが得られるでしょう。本書だけでは情報が十分ではないかもしれませんが、本書をヒントにReferenceと併用すると、時間の短縮になるでしょう。
全てのコードが基本的に短いので、解説書のサンプルよりも直感的にわかりやすいのも良い点です。サポートサイトに用意されているサンプルもうまく作られていて使いやすく、コードスニペットとして役立ちそうです。
