見込生産全体フロー
- 上図は、見込生産の全体フローです。
- この全体フローの中で、生産管理(PP)モジュールが関わるプロセスは青点線枠の中になります。
- 4章 製造指図では、下記について説明します。
① 製造指図の登録→発行処理
② 製造指示の前に行う製造可能確認(利用可能在庫確認、利用可能能力確認)
③ 製造実績計上処理
・ 構成品目出庫
・ 作業完了確認(作業実績報告)
・ 完成品入庫
④ 製造指図情報分析(製造指図の状況確認レポート) - 構成品目出庫、完成品入庫は、在庫/購買管理(MM)モジュールの在庫管理機能領域と重なりますが、製造指図へ実績計上を行ううえで重要なプロセスとなりますので、生産管理(PP)モジュールで扱います。
製造指図について
- 製造指図とはどういったデータかを説明します。
- 内製品を製造するための製造指示データです。
- 部品表(BOM)で定義された1つの内製品目の1階層単位に製造指図を登録します。
- 製造指図は非常に大きなデータで、購買発注伝票(MM)や受注伝票(SD)のようにヘッダ部と明細部といった構成とは少し異なるデータ構成になっています。
- 製造指図は、おもに以下の情報から構成されています。
ヘッダ情報 (何を、いくつ、いつからいつまでに作るか?)
作業手順情報 (該当品目を作るために、どのような作業手順と時間が
必要か?)
構成品目情報 (該当品目を作るために、何がいくつ必要か?)
原価情報 (該当品目を作るための、計画/実績原価) - 上記の作業手順情報、構成品目情報は、製造指図の生成時にその時点での作業手順マスタ、BOMマスタからコピーされます。
※ 計画手配変換で製造指図登録を行う場合、構成品情報は、計画手配からコピーされます。 - 製造指図登録後にマスタの内容を変更しても、製造指図内のデータには反映されません。
- 構成品目なしの製造指図登録は可能ですが、作業なしの製造指図は登録できません。
- 製造指図のヘッダ情報画面です。
- 製造指図全体に関わる情報を管理します。
- 製造指図の作業手順情報画面です。
- この画面では、製造指図の製造工程に関わる情報を管理します。この画面で設定されている情報が、作業指示データとなります。
- 製造指図の構成品目情報画面です。
- この画面では、製造指図の構成部品に関わる情報を管理します。この画面で設定されている情報が、出庫指示データとなります。
製造指図の処理の流れ
- 製造指図登録~決済を行い完了するまでの一連の流れです。
- 濃い青色のプロセスが、生産管理(PP)モジュールにおいて必須、または、重要なプロセスです。
- 利用可能在庫確認、利用可能能力確認は、必須プロセスではありません。
- 指図決済については、生産管理(PP)モジュールのテキストの中では扱いません。管理会計(CO)モジュールの中で扱います。
- 上図は、製造指図に対する処理手順を図で表しています。
- 製造指図は、MRPで自動生成された計画手配から変換登録することもできますし、マニュアルで登録することもできます。
- 登録された製造指図は、発行処理を行う必要があります。
発行処理とは、製造現場に対して製造指示を行う意味合いがあります。発行処理によって、製造指図に対する製造実績計上が可能になります。
※ 製造指図登録と同時に発行処理まで行うことができます。 - 製造指図は、内製品の構成品目情報と作業手順情報(工程情報)をもちます。したがって、製造指図から出力される指示は、「構成品目の出庫指示」と「各工程の作業指示」になります。
- この指示に対する製造現場からの実績計上として、構成品目出庫実績、作業実績報告、完成品入庫が製造指図に対する実績計上処理となります。
- また、これらの実績計上処理によって、製造指図には実績原価がリアルタイム計上され、管理会計(CO)モジュールへデータ連携されます。
製造指図の登録 ~ 発行
- ここでは、製造指図の登録~発行までのプロセスについて説明します。
製造指図の登録 ~ 発行<登録>
- まずは、製造指図の登録について説明します。
- 計画手配からの変換登録、マニュアル登録の2通りの方法があります。
製造指図の登録 ~ 発行<計画手配からの変換登録>
- 上図は、計画手配からの変換登録による製造指図登録の処理ステップを表しています。
- 指図タイプは、製造指図に関わる様々な処理・挙動を制御する区分です。
(指図タイプをキーにした多くのカスタマイズ(パラメータ設定)が存在します。)
また、製造指図に関するレポート機能の条件指定にも頻繁に使用されます。
製造指図の役割ごとに指図タイプを分けて管理することが多いです。(下記、指図タイプを分けた場合の例)
計画生産用製造指図、試作用製造指図、リワーク用製造指図、修理用製造指図、
改造用製造指図、受注生産用製造指図 等 - 作業手順のコピーと同時にリードタイム日程計画が実行されます。MRPは基準日程計画とリードタイム日程計画のどちらで実行するかが選択できましたが、製造指図は常にリードタイム日程計画が実行されます。
- 計画手配からの変換登録の場合、構成品目は計画手配からコピーされてきます。
(製造指図をマニュアル登録した場合、部品表(BOM)マスタからコピーされます。) - 読み込まれた作業手順、構成品目の情報をもとにして、製造指図の計画原価(材料費、作業費、外注加工費 等)が計算されます。登録後、構成品目変更や作業変更によって変動が生じた場合、再計算することができます。
製造指図の登録 ~ 発行<製造計画原価>
- 製造指図登録時には、作業手順や構成品目が読み込まれます。これらの情報をもとにして、製造指図の計画原価(材料費、作業費、外注加工費 等)が計算されます。
- 構成品目の情報をもとに材料費が計算されます。
- 作業手順の情報をもとに作業費、外注加工費が計算されます。
- 作業費は、作業手順マスタの標準値と原価センタ+活動タイプの組み合わせで定義されている活動単価(管理会計(CO)モジュールのマスタ)を使用して計算されます。
- 製造指図登録時は、実績原価はまだ計上されていませんので、実績原価はゼロになっています。
製造指図の登録 ~ 発行<発行>
- 次に、製造指図の発行について説明します。
- 製造指図を発行することで、製造指図に対する実績の計上が可能になります。
- 製造指図の作業指示を実行するためには、発行処理(リリース処理)を行う必要があります。
- 製造指図を登録した後、利用可能在庫確認や利用可能能力確認を行い、その指図が製造現場で実行可能と判断された場合に発行処理を行います。
(利用可能在庫・能力確認は必須プロセスではありません。) - 発行処理を行う際に利用可能在庫/能力が不充分であった場合、警告/エラーとして発行処理を制限することができます。(カスタマイズ(パラメータ設定))
- 発行処理は、個別処理/一括処理があります。
- 発行を行うことにより、構成品目出庫、作業完了確認、完成品入庫の処理が可能になります。(つまり、製造指図に対する実績原価の計上が可能になります。)
- 一度、発行した製造指図を発行前の状態に戻すことはできません。
構成品目出庫
- ここでは、製造指図に対する構成品目出庫について説明します。
- 製造で必要な構成品目の出庫を行います。
- 構成品目出庫によって、製造指図に材料費が実績計上されます。
- 在庫/購買管理(MM)モジュールでおもに使用する在庫移動の機能を用いて、構成品目出庫を行います。
- 出庫転記によって、在庫数量がリアルタイムで減少します。
- 上図は、製造指図の原価レポートです。計画原価と実績原価を比較照会するレポートです。
- 構成品目出庫によって、出庫された構成品目の原価が材料費として製造指図に実績計上されていることが確認できます。
- 原価は、品目コード+プラントの単位で品目マスタに設定されています。(標準原価 or 移動平均原価での管理が可能です。)
作業完了確認(作業実績報告)
- ここでは、製造指図に対する作業完了確認(作業実績報告)について説明します。
- 作業完了確認プロセスにおいて、製造実績(作業実績)を登録します。
- 作業完了確認によって、製造指図に作業費が実績計上されます。
- バックフラッシュ(みなし出庫)する品目については、作業完了確認時にバックフラッシュされ、在庫が引き落とされる(出庫転記)と同時に、材料費が製造指図へ計上されます。
- 各作業に対して作業実績を入力して、作業の進捗確認を行えるようにするとともに、作業費(活動費)を製造指図へ実績費用として計上します。
- 確認の方法(範囲)には、次の方法があります。
作業単位 ・・・ 指図に設定されている各作業単位に、確認を行います。
(確認必須/任意/不要の設定可能(管理キー))
マイルストーン確認 ・・・ マイルストーン作業を定義しておきます。(管理キー)
マイルストーン作業についてのみ確認を行います。
それ以前の作業は、自動的に確認されます。
指図単位の確認 ・・・ 製造指図番号単位に確認を行います。 - 作業完了確認の処理を実行すると次の処理が同時に実行されます。
指図、作業ステータスの更新(部分確認(PCNF)、最終確認(CNF))
能力所要量の消し込み
構成品目のバックフラッシュ出庫(みなし出庫)(マスタ設定必要)
完成品の自動入庫(マスタ設定・パラメータ設定必要)
製造指図への活動費の計上
- 上図、右側が作業単位での作業完了確認画面です。
- 製造指図の各作業に対して、完了実績を登録していきます。
- 作業が、確認必須/確認任意/確認不可/マイルストーン確認 かを管理キーで制御しています。
- 上図は、製造指図の原価レポートです。計画原価と実績原価を比較照会するレポートです。
- 作業完了確認によって、作業実績時間 × 活動単価が作業費として製造指図に実績計上されていることが確認できます。
- 活動単価は、原価センタ+活動タイプの組み合わせで活動単価マスタ(管理会計(CO)モジュール)に設定されています。
- 原価センタと活動タイプは作業区から決定されます。
完成品入庫
- ここでは、製造指図に対する完成品入庫について説明します。
- 製造活動でアウトプットされる完成品の入庫処理を行います。
- 完成品入庫によって、完成品在庫が増加するとともに、製造指図にマイナスの費用(貸方転記)として発生します。
- 在庫/購買管理(MM)モジュールでおもに使用する在庫移動の機能を用いて、完成品入庫処理を行います。
- 入庫転記によって、在庫数量がリアルタイムで増加します。
- 上図は、製造指図の原価レポートです。計画原価と実績原価を比較照会するレポートです。
- 親品目の完成品入庫によって、入庫された親品目の原価が製造指図に対するマイナス費用として実績計上されていることが確認できます。
- 原価は、品目コード+プラントの単位で品目マスタに設定されています。(標準原価 or 移動平均原価での管理が可能です。)