AWS でも多くの生成AIサービスがリリースされてきました。
サービスの違いをよく理解して使い分ける必要がありますが、今回の記事ではその中でも「データレジデンシー」の違いに注目した記事となります。生成AIの推論処理がどこで実施されているのか?データがどこに保存されるのか?その処理を日本国内で完結できるのか?そういった観点が気になる方は、この記事をご一読ください。
今回の記事は、基本的に AWS の公式情報を引用しており、引用内容と引用元の URL を記載しています。公式の情報を基に、条件を把握できます。
ただし、この比較を整理したのは 2026年8月時点となります。生成AIサービスは急速にアップデートされていきますので、業務的な利用を検討されている場合は、必ず引用元の最新情報を確認してください。
1. データレジデンシー
1.1. データレジデンシーとは
データレジデンシー(Data Residency)は「データが物理的にどの国・地域に保存され、処理されるか」を組織が制御・特定できることを指します。
AWS の場合は地理的に独立したリージョンで構成されています。リージョンを選択した場合、そのリージョン内に保存されたデータは、明示的に移動設定を実施しない限り、基本的には選択したリージョンから移動しません。
例えば、東京リージョンを選択した場合、S3 や RDS、EC2 は以下のようになります。
| AWS サービス | 内容 |
|---|---|
| Amazon S3 | 東京リージョンに作成したバケットのオブジェクトは、東京リージョンにある複数のアベイラビリティゾーンに冗長化して保存されます。クロスリージョンレプリケーションなどの設定を実施しない限り、他のリージョンに共有されません。 |
| Amazon RDS | 東京リージョンで起動したDBインスタンスのデータは東京リージョンに留まります。クロスリージョンリードレプリカなどの設定を実施しない限り、他のリージョンに共有されません。 |
| Amazon EC2 | 東京リージョンのEBSボリュームは東京リージョン内に作成されます。AMIやスナップショットを別リージョンにコピーしない限り、他のリージョンに共有されません。 |
そのため、東京リージョン、大阪リージョンを選択すれば「データは日本国内に存在する」と言えました。
1.2. AWS における 生成AIサービスのデータレジデンシー
ところが、AWS の一部の生成AIサービスや Amazon Bedrock の一部モデルでは、CRIS が利用される場合があり、推論リクエストをキャパシティに余裕のある別リージョンに自動的に振り分けて処理されることがあります。
1.3. データレジデンシーの問題
他国に連携されることで、それが問題になる場面があります。
例えば「日本国内で処理を完結する必要がある」といった社内ルールがある場合は、それに違反する可能性があります。また、金融・医療・公共といった分野では「データの保存場所を日本国内とすること」といった規定がある場合もあり、それに違反する可能性が出てきます。
そのような場面では、データレジデンシーを強く意識する必要があります。
1.4. 本記事での調査対象
本記事では、生成AIの処理で発生するデータの受渡しを以下の区分に整理して確認します。
最大のポイントは「日本国内リージョンで完結できるか」です。
| 軸 | 問い | 典型的な該当データ |
|---|---|---|
| ① データ保存場所 | プロンプト履歴、調査結果、設定情報などは物理的にどのリージョンのストレージに永続化されるか | チャット履歴、Agent Space、プロファイル設定 |
| ② 推論処理の場所 | LLM への推論リクエストは実際にどのリージョンで処理されるか | プロンプト本文、生成結果 |
また、それぞれのリスクに関しては、以下のような内容が想定されます。
| 軸 | 日本国内に完結できない場合の具体的な状態 | 主なリスク |
|---|---|---|
| ① データ保存場所 | チャット履歴、調査結果、設定情報が国外のストレージに永続保存される | ・社内規程/顧客契約違反 ・ガイドライン違反 ・海外法域の法適用 |
| ② 推論処理の場所 | プロンプト本文と生成結果が一時的に国外リージョンを通過・処理される | ・データ保持が発生するモードでは、保持先が国外になる |
2. AWS サービス別の状況
ここからは、AWS サービス別の確認結果について記載します。
対象のサービスは、以下の5つのサービスです。
・ Amazon Bedrock
・ Kiro(IDE/CLI/Web/Crew)
・ Amazon Q Developer
・ AWS DevOps Agent
・ Amazon Quick(旧QuickSight/Quick Suite)
2.1. Amazon Bedrock
Amazon Bedrock は、Anthropic(Claude)、Meta(Llama)、Amazon(Nova)など複数の企業が提供する基盤モデルを、単一の API から利用できるAWSのフルマネージドサービスです。
2.1.1. ① データ保存場所
リージョン内: リクエストが指定した AWS リージョンを離れることはありません。規制で厳格な単一リージョンデータ処理が必要な場合に使用します。
地理的 (Geo): Bedrock は、定義された地域 (米国、欧州、日本、オーストラリア) 内でインテリジェントにルーティングし、データをリージョンの境界内に保ちながらスループットを最大化します。これは、1 つのリージョンではなく、1 つの地域に関連するデータレジデンシー要件がある場合に使用します。
Amazon Bedrock の推論オプションには、3つのパターンがあります。
そのうち日本国内リージョンを指定できるのは「In-Region(リージョン内)」と「Geo Cross-Region(地理的)」です。そこで日本国内リージョンを選択した場合、データも日本国内に留まります。
ただし、以下の図に記載の通り、対応しているモデルに限ります。
| 推論オプション | プロファイルID接頭辞 | ルーティング範囲 | 日本国内リージョン対応 |
|---|---|---|---|
| In-Region(リージョン内) | なし | 単一リージョン内で完結 | 〇リージョンまで指定。ただしモデルは限定的。 |
| Geo Cross-Region(地理的) |
jp. us. eu. au. apac.
|
指定した地理の範囲内 | 〇 jp.に対応したモデルのみ。 |
| Global Cross-Region | global. |
全商用リージョン | ✕ 世界中にルーティングされる。 |
Amazon Bedrock では、プロンプトと出力を推論リクエストから保持するかどうかを明示的に制御できます。
そもそも、2026年7月に「データ保持モード」が導入され、データ保持の要否を設定で決めることができるようになりました。そのため、データ保持が不要という設定も実施できます。
ただし、以下のモデルに関連する特定の不正検出の目的で、入出力を保存する必要がある場合があります。
・OpenAI GPT-5.4、GPT-5.5、GPT-5.6 Sol、GPT-5.6 Terra、GPT-5.6 Luna の場合、分類子フラグ付きトラフィックは、オフライン自動不正検出のために最大 30 日間保持されます。
・Anthropic Claude Fable 5 の場合、入力と出力は最大 30 日間保持されます。Claude Fable 5 を使用するには、Anthropic の必要に応じて、不正検出と潜在的な人間によるレビューのために、保持されているトラフィックを Anthropic と共有することをオプトインする必要があります。
ただし、上記のようにデータ保持が不要とした場合でも、保存される場合があります。
2.1.2. ② 推論処理の場所
Amazon Bedrock は複数の企業の基盤モデルに対応しています。
ここでは代表して Anthropic(Claude)モデルで説明します。
日本国内リージョンで完結させる場合は、主に Geo Cross-Region(地理的)の JP Geo(jp.)が利用されます。
例えば、Claude Opus 4.8 の場合、以下の設定になっています。
| ソースリージョン | 送信先リージョン |
|---|---|
| ap-northeast-1 (東京) | ap-northeast-1 (東京)、ap-northeast-3 (大阪) |
| ap-northeast-3 (大阪) | ap-northeast-1 (東京)、ap-northeast-3 (大阪) |
ソースリージョンが処理を実行するリージョンですが、JP Geo(jp.)の推論を実施した場合は、送信先リージョンに記載のある東京か大阪のどちらかのリージョンで処理が実施されることとなり、日本国内で処理を完結できます。
ただし、全てのモデルで JP Geo(jp.)の推論プロファイルを利用できるわけではありません。
現時点では以下の表のとおりです。
| モデル | JP Geo(jp.) |
日本国内完結 |
|---|---|---|
| Claude Fable 5 | ✕ | 不可 |
| Claude Mythos 5 | ✕ | 不可 |
| Claude Opus 5 | ✕ | 不可 |
| Claude Opus 4.8 | 〇 | JP Geo で国内完結可 |
| Claude Opus 4.7 | 〇 | JP Geo で国内完結可 |
| Claude Opus 4.6 | ✕ | 不可 |
| Claude Opus 4.5 | ✕ | 不可 |
| Claude Sonnet 5 | ✕ | 不可 |
| Claude Sonnet 4.6 | 〇 | JP Geo で国内完結可 |
| Claude Sonnet 4.5 | 〇 | JP Geo で国内完結可 |
| Claude Sonnet 4 | ✕ | 不可 |
| Claude Haiku 4.5 | 〇 | JP Geo で国内完結可 |
そのため、日本国内で処理を完結させる必要がある場合は、それに対応したモデルを選択する必要があります。
2.1.3. 補足
Amazon Bedrock 経由では、Claude Code や Claude Cowork も利用できます。
Claude Code は、Anthropic が提供するAIコーディングエージェントです。ターミナル(CLI)から自然言語で指示を出し、コードの記述・レビュー・修正・リファクタリングを実行させることができます。
Claude Cowork は、2026年4月にAmazon Bedrock 経由での提供が開始された、非エンジニア向けのデスクトップアプリケーションです。Claude Code と同じエージェント型アーキテクチャを使いながら、ターミナルを開かずにClaude Desktop から利用できます。ドキュメントの読み取り、複数ステップのリサーチ、ファイル処理を行い、完成した成果物を返します。
Amazon Bedrock では、プロンプトやモデルの応答がサービス側に保存・学習に利用されることはありません。加えて、以下のセキュリティ機能を活用できます。
・データを日本国内に留められる(Cross-Region Inference で JP リージョンを指定可能)
・AWS CloudTrail による監査ログの取得
・Amazon Bedrock Guardrails による入出力のコンテンツフィルタリング「社内で生成 AI を活用しているが、データは国内に閉じている」と説明できることは、特に顧客データを扱うスタートアップにとって大きな安心材料になります。
Claude Code / Claude Cowork を Amazon Bedrock 経由で組織利用する4つのメリット
この2つのサービスについても、Amazon Bedrock 経由で利用する場合、JP Geo対応モデル・推論プロファイル・保持モードを適切に選択した場合に、日本国内で完結可能です。
(原文)"global" Default. Inference may run in any available geography for optimal performance and availability.
"us" Inference runs only in US-based infrastructure.(和訳)"global" デフォルト設定。推論は、最適なパフォーマンスと可用性を実現するために、利用可能な任意の地域で実行される場合があります。
"us" 推論は米国を拠点とするインフラストラクチャでのみ実行されます。
比較として、Anthropic から直接契約する場合は、日本国内リージョンを指定することができません。そのため、日本国内リージョンで完結することを前提とする場合は、Bedrock 経由での導入検討が必要です。
2.2. Kiro(IDE/CLI/Web/Crew)
Kiro は、AWS が提供するエージェント型AI開発サービスです。プロンプトを仕様(Requirements→Design→Tasks)に構造化し、コード・ドキュメント・テストへと落とし込む仕様駆動開発(Spec-Driven Development)を特徴とします。
Kiro は単一のエージェント基盤(unified agent harness)を核に、IDE・CLI・Web・モバイルの複数のインターフェースを提供します。
| インターフェース | 概要 | 主な特徴・用途 |
|---|---|---|
| IDE版 | Code OSS(VS Codeのオープンソース版)ベースのデスクトップエディタ | チャット・仕様(Specs)・フック(Hooks)・エディタ統合。VS Codeの設定・テーマ・拡張機能(Open VSX互換)を引き継げる |
| CLI版 | ターミナルネイティブのエージェント | ヘッドレスモード、セッション管理、CI/CD統合に対応 |
| Web版 | ブラウザベースのエージェント | マルチリポジトリのタスクを計画・実装し、PRを作成。ゼロセットアップのサンドボックスセッション |
| モバイル版 | スマホからエージェントを操作 | タスクの監視、PRレビュー、エージェントとのチャット |
| Crew | 永続型開発ワークスペース/オーケストレーション層 | セッション横断のメモリ、cron/webhook/heartbeatによる自律実行、マルチエージェント連携、多層防御セキュリティ、Slack等のマルチチャネル連携 |
2.2.1. ① データ保存場所
(原文)If you are a Kiro Free Tier user or a Kiro individual subscriber, your content, such as prompts and responses, will be stored in the US East (N. Virginia) Region.
If you are a Kiro enterprise user, your content, such as prompts and responses, may be stored in the region where your profile is configured in order to provide and maintain the service (ex: prompt logging, daily activity report), but it will not be used for service improvement.
(和訳)Kiro の無料プランをご利用の方、または Kiro の個人契約者の方は、プロンプトやレスポンスなどのコンテンツは、米国東部(バージニア北部)リージョンに保存されます。
Kiro のエンタープライズユーザーの場合、プロンプトや応答などのコンテンツは、サービスの提供と維持(例:プロンプトのログ記録、日次アクティビティレポート)のために、プロファイルが設定されている領域に保存されることがありますが、サービスの改善には使用されません。
Kiro の無料プランの場合は、米国東部(バージニア北部)リージョンに保存されます。
(原文)The Kiro console and Kiro profile are supported in the following Regions:
・US East (N. Virginia)
・Europe (Frankfurt)
・AWS GovCloud (US-East)
・AWS GovCloud (US-West)(和訳)KiroコンソールおよびKiroプロファイルは、 以下の地域でサポートされています。
・アメリカ東部(バージニア州北部)
・ヨーロッパ(フランクフルト)
・AWS GovCloud (米国東部リージョン)
・AWS GovCloud (米国西部リージョン)
Kiro の有料プランの場合は、アメリカ東部(バージニア州北部)、ヨーロッパ(フランクフルト)、AWS GovCloud (米国東部リージョン)、AWS GovCloud (米国西部リージョン)が選択できます。日本国内リージョンは選択肢にありません。
2.2.2. ② 推論処理の場所
(原文)The geography that serves your request depends on both the model you select and the region of your Kiro profile. GPT-5.6 models are served from the US regardless of your profile region. Every other model is served from the geography that matches your profile.
(和訳)リクエストに対応する地域は、選択したモデルと Kiroプロファイルの地域によって異なります。GPT-5.6モデルは、プロファイルの地域に関わらず米国から提供されます。その他のモデルはすべて、プロファイルに一致する地域から提供されます。
Kiro では、GPT や Claude をはじめとした多くのモデルを利用できます。
モデルごとに利用できるエンドポイントリージョンが異なります。
※上記の画面は Kiro の無料プランの設定です。米国東部(バージニア北部)リージョンに接続されます。
(原文)Supported regions for Kiro cross-region inference
Supported Kiro geography : United States, Europe(和訳)Kiroのリージョン間推論でサポートされている領域
Supported Kiro geography : United States, Europe
ただし、サポートされているリージョンは「United States」「Europe」のみです。
日本国内リージョンでの推論はサポートされていません。
2.3. Amazon Q Developer(旧Amazon CodeWhisperer)
Amazon Q Developer は、AWS が提供する生成AI によるソフトウェア開発支援アシスタントです。AWSマネジメントコンソール上でのチャット、IDE(VS Code、JetBrains、Visual Studio、Eclipse)でのコード補完・生成、コマンドラインでの対話、コンソールエラーの診断、コード変換といった機能を提供します。旧「Amazon CodeWhisperer」の機能を統合したサービスです。
2.3.1. ① データ保存場所
Amazon Q の機能と統合、および Amazon Q Developer 無料利用枠を使用する場合、コンテンツは米国のリージョンに保存されます。コンソールエラーセッションの診断中に処理されたデータは、米国西部 (オレゴン) リージョンに保存されます。それ以外のすべてのデータは米国東部 (バージニア北部) リージョンに保存されます。
無料利用枠の場合は、米国のリージョンに保存されます。
IAM アイデンティティセンターのリージョンに関係なく、データは Amazon Q Developer プロファイルを作成するリージョンに保存されます。
Amazon Q Developer Pro 利用の場合は、プロファイルを作成したリージョンに保存されます。
IAM Identity Center ワークフォースユーザーの場合、Amazon Q Developer Pro 階層では、コンテンツは Amazon Q Developer プロファイルが作成された AWS リージョン に以下の機能でのみ保存されます。
・「Amazon Q チャット AWS マネジメントコンソール」
・Amazon Q による AWS コンソールエラーの診断
・Eclipse、JetBrains IDE、Visual Studio Code、および Visual Studio での Amazon Q
・コマンドラインでの Amazon Q
Amazon Q Developer Pro ティアで他の機能を使用する場合、コンテンツは米国リージョンに保存および処理される場合があります。
ただし、一部機能については、コンテンツが米国リージョンで保存・処理される場合があります。そのため、Amazon Q Developer は、Pro 利用時であっても「データは必ずプロファイルリージョンに保存される」とは言えません。
Amazon Q Developer コンソールおよび Amazon Q Developer プロファイルは、次のリージョンでサポートされています。
・米国東部 (バージニア北部)
・欧州 (フランクフルト)
また、プロファイルが作成できるのは「米国東部 (バージニア北部)」と「欧州 (フランクフルト)」のみなので、日本国内リージョンにデータを保存することができません。
2.3.2. ② 推論処理の場所
クロスリージョン推論リクエストは、データが最初に存在する地域の一部 AWS リージョン である 内に保持されます。
サポートされている Amazon Q Developer の地域:アメリカ、欧州、アジアパシフィック
*アジアパシフィックリージョンでのクロスリージョン推論は、アジアパシフィック (ソウル) リージョンで Amazon Q 生成 SQL を使用する場合にのみサポートされます。
選択できるのは、「アメリカ」、「欧州」、「アジアパシフィック」の3つの地域のみであり、日本国内リージョンを選択することはできません。
IDE でのチャット中に Amazon Q に使用させるモデルを選択できます。選択したモデルは、以降のすべてのチャットセッションで保持されます。
IDE での Amazon Q チャットのモデルは公開されており、選択可能です。
ただし、AWSマネジメントコンソールのチャットではモデルを選択することはできません。
Amazon Bedrock を利用: Amazon Q Developer は Amazon Bedrock をベースに構築されています。Amazon Bedrock に実装された不正使用の自動検出機能を搭載し、安全、セキュリティ、AI の責任ある使用を強化しています。
なお、Amazon Q Developer は Amazon Bedrock をベースに構築されています。
2.3.3. 補足
Kiro には、現在の Q Developer で開発者が活用している機能もすべて含まれています。エージェント型コーディング、インラインチャット、ターミナル統合、そして MCP サポートです。
何が変わるのか Amazon Q Developer の IDE プラグインと有償サブスクリプションは、2027 年 4 月 30 日にサポートを終了します。お客様には Kiro への移行期間として 12 か月が用意されています。
Amazon Q Developer のサポート終了のお知らせが発行されており、2027年4月30日にサポート終了予定です。Kiro への切替が推奨されています。ただしすべての機能が終了するわけではなく、 IDE プラグインと有償サブスクリプションの機能のみです。
AWS マネジメントコンソールおよび AWS ファーストパーティの体験における Amazon Q Developer については、引き続き利用可能です。
2.4. AWS DevOps Agent
AWS DevOps Agent は、システム障害・インシデントの検知から調査、緩和策の提示、再発防止までを自律的に実行するAIエージェントサービスです。CloudWatchアラームやサポートチケットをトリガーに調査を開始し、テレメトリ・コード・デプロイデータを相互に関連付けて根本原因を特定します。
2.4.1. ① データ保存場所
エージェントスペースとそのデータ (調査、トポロジ、レコメンデーション) は、作成したリージョンに保存されます。
エージェントスペースとそのデータは、作成したリージョンに保存されます。
サポート対象のリージョンに東京(ap-northeast-1)があるので、日本国内リージョンでデータを保存することが可能です。
2.4.2. ② 推論処理の場所
日本国内からの推論リクエストは、日本国内で処理されます。
日本国内からの推論リクエストは、日本国内で処理されることが明記されています。
そのため、日本国内で処理が完結できます。
AWS DevOps エージェントでは、どのモデルが使用されていますか?
AWS DevOps エージェントでは、Amazon Bedrock の基盤モデルが使用されています。
どのモデルを利用しているかは公開されていません。
2.5. Amazon Quick(旧QuickSight/Quick Suite)
Amazon Quick は、BI、リサーチ、業務自動化を統合したエージェント型AIデジタルワークスペースです。もともとBIサービスの「Amazon QuickSight」だったものが「Amazon Quick Suite」にリブランドされ、さらに「Amazon Quick」に名称変更されました。
主要機能は次の5つです。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| Quick Index | 組織内のドキュメント、ファイル、アプリケーションデータを横断統合し、検索可能なナレッジベースを構築 |
| Quick Research | 組織内データに加え、Webや外部データソースを組み合わせて分析し、レポートを生成するAIリサーチエージェント |
| QuickSight | データをダッシュボード・可視化・自然言語要約に変換するAI BI機能(旧QuickSight) |
| Quick Flows | 自然言語で日常業務のワークフローを作成し、複数サービスにまたがるステップを自動化 |
| Quick Automate | 複数の専門AIエージェントを活用し、ガバナンス制御と人間による承認ステップを備えた業務プロセスの自動化 |
2.5.1. ① データ保存場所
東京リージョンで利用することで、データを日本国内の AWS インフラストラクチャ内に保持することが可能になります。
データを日本国内の AWS インフラストラクチャに留めることができ、組織が規制や内部ガバナンスの要件を満たすのに役立ちます。
東京リージョンで利用することで、データを日本国内の AWS インフラストラクチャ内に保持できることが明記されています。
2.5.2. ② 推論処理の場所
クロスリージョン推論リクエストは、データが最初に存在する地域の一部である AWS リージョン内に保持されます。例えば、米国内で行われたリクエストは、米国の AWS リージョン内に保持されます。
サポートされている Amazon Quick の地域:アメリカ、欧州、オーストラリア、日本
サポートされている Amazon Quick の地域に日本があるため、日本国内リージョンで完結できます。
この拡張では、JP-CRIS (Japan Cross-Region Inference) によるリージョン内推論もサポートされ、東京インスタンスからの推論リクエストが AWS 東京リージョン内でのみルーティングされるようになります。
JP-CRIS (Japan Cross-Region Inference) によるリージョン内推論が利用できます。
特定の Bedrock モデルに対してプロンプトをファインチューニングする場合、エージェントに特定の Bedrock モデルが必要な場合、または Bedrock でホストされている独自のカスタムモデルまたはファインチューニングモデルを使用する場合に最適です。カスタムモードでは、 統合を通じて Bedrock から独自のモデルを取り込みます。
カスタムエージェントについては、Amazon Bedrock から独自のモデルを取り込みます。そのため、JP Geo対応モデル・推論プロファイル・保持モードを適切に選択した場合に、日本国内で完結可能です。
3. 比較結果
本記事で調査したサービスについて、日本国内リージョンへのデータ保存可否と、日本国内で推論を完結できるかという観点で比較すると、以下の結果となります。
| サービス | ① データ保存場所を日本国内にできるか | ② 推論を日本国内で完結できるか |
|---|---|---|
| Amazon Bedrock | ○(特定モデル) | ○(特定モデル) |
| Amazon Bedrock経由(Claude Code / Claude Cowork) | ○(特定モデル) | ○(特定モデル) |
| Anthropic直接契約(Claude Code / Claude Cowork) | × | × |
| Kiro | × | × |
| Amazon Q Developer | × | × |
| AWS DevOps Agent | ○ | ○ |
| Amazon Quick | ○ | ○ |
| Amazon Quick(カスタムエージェント) | ○(特定モデル) | ○(特定モデル) |
AWS の生成AIサービスで「保存」と「推論」の両方を日本国内で完結したい場合は、Amazon Bedrock が有力な選択肢となります。また、Bedrock経由にすることで Claude Code / Claude Cowork について、Anthropic 直接契約では実施できない日本国内で完結した対応が可能となっています。また、Amazon Quick のカスタムエージェントも Bedrock に依存したサービスとなっているので対応可能です。
AWS DevOps Agent や カスタムエージェント以外の Amazon Quick についても、日本国内で完結した対応を実現できます。ただし、推論モデルの選択はできません。
一方で、Kiro や Amazon Q Developer、 Anthropic 直接契約の Claude は、日本国内リージョンを選択できないため、国内完結を求める要件には適しません。
4. まとめ
生成AIサービスを選定する際に「データレジデンシー」が要件となる場合には、以下の2点を確認することが重要です。
- データはどこに保存されるのか
- 推論はどこで実行されるのか
従来のAWSサービスでは、東京リージョンや大阪リージョンを選択すれば「データは日本国内に存在する」と整理できるケースがほとんどでした。
しかし、生成AIサービスでは、推論能力確保のためにクロスリージョン推論が利用され、国外リージョンで処理される場合があります。そのため、「東京リージョンを選択したから国内完結」とは必ずしも言えません。
生成AIの導入を検討する際は、「どのモデルを使うか」だけでなく、「どこに保存され、どこで推論されるか」を意識して確認することを推奨します。
※ 記載されている会社名および商品・製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。