こんにちは、Udemy講師のMaruchin Techです。
本稿では、AWSから発表された新しいAI系認定試験 AWS Certified AI Business Strategist (AIB-C01) について、試験の中身を整理したうえで、既存のAI系3資格(AIF / MLA / AIP)とどう住み分けるのかを見ていきたいと思います。
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1. AWS Certified AI Business Strategist の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | AWS Certified AI Business Strategist |
| 試験コード | AIB-C01 |
| レベル区分 | ビジネス(Business) |
| ステータス | ベータ試験実施中 |
| 受験料 | 50 USD(ベータ価格 / 正式版は100 USD) |
| 試験時間 | 170分(ベータ)※試験ガイド上は130分 |
| 問題数 | 85問(ベータ) |
| 合格スコア | 700 / 1000(補償的採点。ドメイン別の足切りなし) |
| 言語 | 英語、日本語 |
| 受験形式 | ピアソンVUEテストセンター / オンライン監督 |
まず着目すべき点は レベル区分が「ビジネス」 という点です。Foundational / Associate / Professional / Specialtyのいずれでもなく、新しい枠となります。
※ベータ期間中(2027年2月15日まで)に合格すると Early Adopterバッジ がもらえます。
:::note info
ベータ試験には検証用問題が含まれるのが通例なので、正式版は130分に落ち着くと想定します。
試験ドメインと比重
| ドメイン | 比重 |
|---|---|
| 1. AI Fundamentals and Literacy | 24% |
| 2. AI Strategy and Business Value Creation | 28% |
| 3. AI Governance and Responsible AI Leadership | 24% |
| 4. Business Readiness, Leadership, and AI Transformation | 24% |
最大比重はドメイン2の「AI戦略とビジネス価値創出」です。KPI設計、ROIフレームワーク、ベースラインメトリクスといったキーワードが並びます。
対象範囲となるAWSサービス
対象(In Scope)
| カテゴリ | サービス・要素 |
|---|---|
| AI / ML(基本的な適用のみ) | Amazon Bedrock、Amazon SageMaker AI |
| BI(基本的な適用のみ) | Amazon Quick |
| クラウド戦略・ガバナンス | AWS CAF(Cloud Adoption Framework)、責任共有モデル |
| 料金・コスト管理 | AWSのAIサービス料金体系(消費ベース / インスタンスベース / シートベース)、AWS Cost Explorer、AWS Marketplace、AWS Pricing Calculator |
対象外(Out of Scope)
| カテゴリ | 例 |
|---|---|
| インフラ・コンピューティング | Amazon EC2、AWS Lambda |
| ネットワーク・配信 | Amazon VPC、Amazon CloudFront |
| データベース・ストレージ | Amazon RDS、Amazon S3 |
| コンテナ・オーケストレーション | Amazon ECS、Amazon EKS |
| 開発者ツール・DevOps | AWS CodePipeline、AWS CloudFormation |
| セキュリティの実装・設定 | IAMポリシーの記述、AWS KMS |
| IoT、メディア等の特化型サービス | - |
対象サービスは実質4カテゴリのみで、AI/MLとBIには「basic application only(基本的な適用のみ)」という但し書きが付きます。残りは料金とフレームワークです。
「出題されないもの」(職務タスク)
サービスとは別に、職務タスクのスコープ外も明示されています。
- AIおよびMLのモデル・アルゴリズムの開発、コーディング
- データエンジニアリング、特徴量エンジニアリングの実施
- ハイパーパラメータチューニング、モデル最適化
- AI / MLパイプラインやインフラの構築・デプロイ
- AI / MLモデルの数学的・統計的分析
- AI / MLシステムのセキュリティ・コンプライアンス手順の実装
- AWSサービスやクラウドインフラの構成・デプロイ・管理
- AIソリューション向けのアルゴリズム、フレームワーク、技術アーキテクチャの選定・チューニング
- データの前処理・クレンジング・ラベリング・アノテーションの実作業
- 本番環境のAIシステムの技術運用(インフラ監視、パイプラインのデバッグ、モデル性能のトラブルシューティング等)
認定ページには「AWSのサービスに関する知識を評価するものではありません」と記載されています。上記のとおり、実装・運用・分析はすべてスコープ外です。試験が問うのは、AIサービスを戦略レベルで理解し、事業判断を下せるかどうかです。
前提となる経験は「AIイニシアティブに関わった経験6か月以上」が推奨されているのみで、コーディング経験やAWS実装経験は不要と明記されています。
2. 試験ガイドのキーワード
試験ガイドは4ドメイン・13タスクに分解されています。各タスクの記述からキーワードを抜き出すと、以下のようになります。
| ドメイン | キーワード |
|---|---|
| 1. AI Fundamentals and Literacy | AI / ML / 生成AIの区別、構造化・非構造化データ、データ品質、ISO/IEC 23053・42001、ルールベースとAIの使い分け、AIエージェント(自律性・ツール利用・エージェント間通信・オーケストレーション)、モデルドリフト、シャドーAI、プロンプトエンジニアリング、トークン制限・コンテキストウィンドウ、RAG、ファインチューニング |
| 2. AI Strategy and Business Value Creation | ユースケース特定、Build / Buy / Partner、優先順位付け(拡大・一時停止・中止)、AIが解ではない場合の見極め、KPI(定量・定性)、ベースラインメトリクス、ROI算出、先行指標、コスト最適化、競合環境の評価、ビジネスモデル転換、投資水準の決定 |
| 3. AI Governance and Responsible AI Leadership | 責任あるAIの原則(公平性・説明可能性・プライバシー・安全性・透明性・堅牢性)、原則と事業目標のトレードオフ、ガバナンス・バイ・デザイン、人間の監督、ハルシネーション検知、ガードレール、エスカレーション基準、部門横断のガバナンス体制、規制コンプライアンス、アクセス制御、AIリスク分類フレームワーク、バイアスドリフト、有害コンテンツ、知的財産(IP) |
| 4. Business Readiness, Leadership, and AI Transformation | レディネス評価、AI成熟度モデル、ケイパビリティギャップ、データサイロ、データオーナーシップ、経営層のスポンサーシップ、AIチャンピオン、部門横断チーム、チェンジマネジメント、文化的障壁、PoC・ハッカソン・研修、人の役割の移行、envision / experiment / launch / scale、AI CoE、本番グレードへの移行 |
技術用語も並びますが、問われるのは実装ではなく判断です。RAGやガードレールも、構築方法ではなく「どの場面で必要か」という文脈で登場します。
一方でドメイン3・4に並ぶガバナンス体制、CoE、チェンジマネジメントといった語彙は、これまでのAWS認定にはなかったものです。
3. 本題:AIF / MLA / AIP / AIB の住み分け
既出の3資格と、新試験の関係を整理します。
| 認定 | 主役 | 中心サービス | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| AIF(AI Practitioner) | すべてのAIユーザー | 広く浅く | AIの共通言語を持つ |
| MLA(ML Engineer – Associate) | 機械学習エンジニア | SageMaker | 従来型MLの理解 |
| AIP(Generative AI Developer – Professional) | 生成AI開発者 | Bedrock | 生成AI・AIエージェントの構築 |
| AIB(AI Business Strategist) | 事業サイド | フレームワーク・価格 | AIサービスの選定 |
AIFとAIBの違い
- AIF:生成AIとは何か、ハルシネーションとは何か、BedrockとSageMakerはどう違うか等、AIに関する基本言語を理解し、エンジニアとの会話が成立するようになる。
- AIB:どのAIリソースや施策を選定すべきか、ROIの計測、ガバナンス、本番展開等、意思決定と組織運営が中心。
MLA / AIPとの違い
MLAはSageMakerでのパイプライン構築、特徴量エンジニアリング、モデルのデプロイと監視が範囲です。AIPはBedrockを軸としたRAG、エージェント、評価、ガードレールの実装が範囲です。いずれもAIBのスコープ外リストに含まれる領域であり、重複はほぼありません。
したがって、MLAやAIPの保有がAIBの対策を軽くすることはありません。技術的な最適解と、事業判断としての妥当解は一致しないためです。
まとめ
- AWS Certified AI Business Strategist (AIB-C01) は、AWS認定初の「ビジネス」レベルの認定
- 対象サービスはBedrock、SageMaker AI、Amazon Quick、CAF、コスト管理系のみ。実装・運用・分析はすべてスコープ外
- 出題の中心は、Build / Buy / Partner判断、ROIとベースライン設定、ガバナンス体制、PoCから全社展開へのスケール
- AIF / MLA / AIPが技術の深さを問うのに対し、AIBは選定と意思決定を問う別軸
ベータ期間は2027年2月15日までです。受験のうえ、あらためてレポートを書く予定です。
参考リンク
- AWS Certified AI Business Strategist 認定ページ
- 試験ガイド (AIB-C01)
- AWS Certified Generative AI Developer – Professional (AIP-C01) 試験ガイド
筆者について
Maruchin Tech|情報工学専攻 → 日系自動車メーカー → ITコンサル(製造業・物流領域)→ 独立(EdTech)。AWS認定全12資格を保有。Udemyでクラウド・生成AI講座を展開し、受講者は10万人超。
→ https://www.udemy.com/user/shan-wang-wan-jun-2/
※クーポンは毎月、UdemyのプロモーションメールとYouTubeコミュニティ投稿で配布しています。
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