はじめに
AIで動画を生成できるサービスは増えましたが、実際の制作では次の問題が残ります。
- 字幕のタイミングだけ直したい
- 一文のナレーションだけ差し替えたい
- 製品の見せ場をもう少し長くしたい
- ズームや強調表示の位置を調整したい
完成したMP4だけが出力される仕組みでは、小さな修正でも動画全体を作り直すことになります。
そこでTimeline Studioを大型アップデートし、AIが自動編集した完成動画に加えて、再編集可能な .timeline プロジェクトも同時に出力できるようにしました。
- GitHub: https://github.com/MartinDelophy/ai-video-editor
- Web版: https://video-editor.ai-creator.top
- Release: https://github.com/MartinDelophy/ai-video-editor/releases/tag/v0.9.1
今回目指したもの
目標は、単なる「素材の自動連結」ではありません。
ユーザーがURL、画像、動画、音声などを渡すと、Skillが内容と目的を分析し、編集方針を決めます。その後、ナレーション、字幕、画面、BGM、強調演出を組み立て、次の2つを納品します。
- そのまま公開できる動画ファイル
- 後から調整できる
.timeline工程ファイル
つまり、AIに時間のかかる初稿を任せつつ、人間が最終的な編集権を失わない設計です。
Skillのインストール
Skills CLIからインストールできます。
npx skills add MartinDelophy/ai-video-editor@v0.9.1
インストール後は、例えば次のように依頼します。
このWebサイトを分析して、約60秒の紹介動画を作成してください。
英語の女性ナレーションで、プロフェッショナルかつ活気のある印象にしてください。
16:9で制作し、完成動画と編集可能な.timelineプロジェクトを出力してください。
ログインが必要な場合は、先に確認してください。
1. 素材を先に理解してから編集する
同じ編集ルールをすべての素材に適用しても、良い動画にはなりません。
今回のSkillでは、タスクを大きく次のように分類します。
- 話者中心の動画
- Webサイト/SaaS紹介
- 商品・ブランド紹介
- 静止画から作る動画
- 長尺動画の要約
- チュートリアル
- ハイライト/ショート動画
例えばWebサイト紹介では、公開ページを実際に確認し、情報構造と重要な機能を把握します。ログインしなければ主要機能を確認できない場合は、勝手に推測せずユーザーに確認します。
商品・ブランド紹介では、手元の素材だけで十分か、画像生成・動画生成モデルの利用可否を確認します。元動画がある場合は、フレーム抽出や動きの解析を使って見せ場を探します。
2. ナレーションを基準に映像を組み立てる
以前の実装では「60秒に収めること」を優先しすぎると、ナレーションが速く、不自然になる問題がありました。
現在は先に自然な速度で音声を生成し、実際の発話時間から以下を決定します。
- 字幕の開始・終了
- ページやシーンの切り替え
- ズーム開始位置
- 強調表示の表示時間
- BGMの音量変化
- エンディングの余白
60秒という指定は目安です。53秒や66秒になっても、聞き取りやすさと表現品質を優先します。
3. 強調演出を「ズーム・線・枠」で使い分ける
Webサイト紹介で何でも枠で囲むと、画面が騒がしくなり、かえって重要な場所が分かりません。
そこで演出を次のように整理しました。
- ズーム: 中心機能、グラフ、重要な結果
- 線による誘導: ボタン、文字、視線の移動
- 枠選択: 境界が明確で、本当に注目させたい領域
多くの場面では、キーフレームを使って「滑らかに拡大 → 短く停止 → 自然に戻る」動きを選びます。手ぶれのような細かい移動や、精度の低い枠を大量に表示することは避けます。
静止画には2.5D、被写界深度、輪郭、レイヤーアニメーションなどを利用できます。動画では光学フローを利用して、動きのある区間や追跡対象を補助的に分析できます。
4. .timeline v3で音声と字幕を対応付ける
今回の重要な変更がプロジェクト形式の改善です。
以前はナレーションが1本の長い音声として配置されることがあり、字幕を一文変更しても音声側を細かく調整できませんでした。
v3では、ナレーションを文単位の独立した音声クリップとして保持し、対応する字幕とIDで関連付けます。
概念的には次のような構造です。
{
"caption": {
"text": "Career planning should not depend on headlines alone.",
"audioClipId": "voice-001"
},
"audioClip": {
"id": "voice-001",
"start": 0.8,
"duration": 4.2
}
}
これにより、一文だけ書き換える、ナレーションだけ生成し直す、字幕の表示時間を微調整するといった作業が容易になります。
5. 再生が特定クリップでループする問題への対応
編集画面の再生中に、クリップ境界付近で同じ区間が繰り返される問題も修正しました。
再生位置を個々のメディア要素だけに依存させると、デコード待ちや丸め誤差によって時間が後退することがあります。
現在はタイムラインのwall clockを単調増加するマスター時計として扱い、各メディアをその時刻へ同期します。またクリップの有効区間を半開区間 [start, end) として判定し、境界上で前後2つのクリップが同時に選択されることを防ぎます。
成果物を「生成結果」から「編集可能な資産」へ
このアップデートで最も重要なのは、AIが動画を作れること自体ではありません。
重要なのは、生成結果を後から安全に修正できることです。
- AIが内容を分析する
- AIが初稿を編集する
- 人間が必要な部分だけ調整する
- プロジェクトを再利用して次の版を作る
この流れが成立すれば、自動編集は一度きりのデモではなく、実際の制作ワークフローになります。
一杯のコーヒーを飲む間に初稿を作り、完成動画と工程ファイルを受け取る。その後は字幕一文、ナレーション一箇所、ズーム一回から自由に直せる。Timeline Studioでは、そのようなAI動画編集を目指しています。
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