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New Relic Errors Inbox 超入門:エラーを「見つける・直す」を爆速に!(基礎編)

Last updated at Posted at 2025-06-20

 アプリを使っているとき、突然「エラーが発生しました」と表示されたら、ちょっと残念な気持ちになりますよね。アプリやサービスを作る私たち開発者・運用者にとって、エラーは避けられない問題です。

 でも、エラーが起きたときに「どこで?」「何回?」「誰に影響してる?」とすぐに分かれば、もっと早く直せて、ユーザーもハッピーになります。

 この記事では、New Relicの便利な機能 「Errors Inbox(エラーズ・インボックス)」 を使って、アプリのエラーを効率よく見つけ、解決する方法を、難しい話は抜きにしてご紹介します。

1. なぜ今、Errors Inbox があなたの助けになるのか?

 「リリースしたばかりのサービスで、ユーザーから『エラーで動かない』と問い合わせが来た…」「夜中にアラートが鳴り、大量のログを漁る羽目になった…」。開発者なら一度は経験があるでしょう。

 アプリのエラーは、どんなに注意深く作ってもゼロにはできません。しかし、エラーを「いかに早く見つけ、適切に直すか」 は、サービスの信頼性やユーザー体験、ひいてはビジネスの成功を左右する極めて重要な要素です。

エラー監視の課題と限界

 これまでのエラー監視には、こんな課題がありました。

ログ監視は大変: ログがたくさんあると、手動でチェックするのは無理。大事なエラーを見逃しがちです。
アラート疲れ: 何でもかんでもアラートを出すと、通知が多すぎて本当に大事なアラートを見落とし、対応が遅れることがあります。
複雑なシステムのエラー特定は手間: 細かく分かれたシステム(マイクロサービス)では、どこでエラーが始まり、どう広がったのかを見つけるのが大変です。

 これらの課題を放っておくと、ユーザーからの不満が増えたり、アプリが動かなくなったりして、サービスの信用が大きく下がってしまうかもしれません。

ゴールデンシグナル「Errors」の重要性

アプリの健康状態を知る上で、GoogleのSREチームが提唱する 「ゴールデンシグナル(Golden Signals)」 という考え方があります。これは、監視すべき特に重要な4つの指標です^1。

ゴールデンシグナルは次の4つです。

  • Latency (レイテンシ): アプリの応答速度。ユーザーがどれくらい待つか
  • Traffic (トラフィック): アプリへのアクセスの量。どれくらいの負荷がかかっているか
  • Errors (エラー): 失敗した処理の割合や数。ユーザーが困っているかどうか
  • Saturation (飽和): アプリがどれくらい忙しいか。CPUやメモリなどの使用状況で、将来の問題を予測します

 この中でも、ユーザーが直接不満を感じやすいのが、まさに 「Errors(エラー)」 です。エラーは、ユーザーがアプリを使えないことを意味し、ブランドイメージの低下やユーザー離れに直結します。

 だから、「エラーを効率よく見つけ、その影響度を正しく把握し、優先順位をつけて素早く直すこと」 が、今のサービス運用では最も大切な課題なんです。

今回のポイント

 そこで今回ご紹介するのが、オブザーバビリティプラットフォームNew Relicが提供する強力な機能 「Errors Inbox」 です。

 Errors Inboxは、このゴールデンシグナルの一つ 「Errors」に特化 し、開発者や運用者がエラーを効率的に監視、整理(トリアージ)、分析、解決するためのツールです。

 この記事を読み終えることで、あなたは以下のことを学び、明日からのエラー監視を劇的に改善できるようになるでしょう。

  • Errors Inbox の基本的な使い方とそのすごさ
  • エラーを効率よく見つけ、整理し、分析する方法
  • チームでエラー対応を進めるヒント
  • New Relicの他の機能と連携して、もっと全体的にエラーを監視する方法

 「え?まだログからエラーを見つけてるんですか…?」そんな時代はもう終わり。Errors Inbox を活用して、大事なエラーを見逃さず、素早い問題解決でアプリの信頼性を高めましょう!

2. Errors Inbox とは?「エラーの受信箱」ってどういうこと?

 さて、いよいよ Errors Inbox について詳しく見ていきましょう。New Relic を使っている方なら、アプリ(APM)やブラウザ(Browser)の監視データは見たことがあるかもしれませんね。Errors Inbox は、これらのデータから 「エラー」だけを集めて管理する、「エラー専用の受信箱」 のような機能です。

Errors Inbox のコンセプト:あらゆるエラーを一箇所で管理
 想像してみてください。あなたは複数のアプリを動かしていて、それぞれ違うプログラミング言語で書かれ、違う場所で動いています。ある日、ユーザーから「アプリが動かない」という連絡が来ました。

この時、あなたはどうしますか?

  • それぞれのアプリのログを一つずつ見る?
  • バラバラに届くアラート通知を探す?

これでは時間がかかりすぎますし、どこが原因か探すだけでも大変です。

Errors Inboxは、この悩みを解決するために作られました。

Errors Inbox が行うこと

  • 自動で見つけて集める:
     New Relicの監視システムがアプリのエラーを自動で見つけ、Errors Inboxに一箇所に集めます。まるでメールが受信箱に届くように。
  • ムダをなくす:
     たくさん出る似たようなエラーや、よくある小さなエラーが一つずつ表示されると大変ですよね。Errors Inbox は、同じエラー(フィンガープリント)を持つものを「グループ」にまとめてくれます。 これにより、本当に注目すべき問題に集中できます。
  • 状況を素早く把握:
     グループ化されたエラーは、その影響の大きさや、どれくらいの頻度で起きているか、最新の状況がひと目でわかります。だから、「今、一番大事なエラーはどれ?」「どこのアプリで問題が起きている?」と直感的に把握し、すぐに対応を始められます。

 Errors Inbox は、単にエラーログを見るツールではありません。エラーを見つけるところから、整理して、詳しく分析するまで、エラー対応の全ての流れをスムーズにする「司令塔」 のような機能なんです。

Errors Inbox の主要機能:エラーを「見える化」し「すぐ行動できる」ようにする

Errors Inbox が、エラーを「見える化」し、対応を「すぐ行動できる」ようにする主な機能を見ていきましょう。

自動グループ化とムダをなくす

 New Relicは、エラーの種類、メッセージ、エラーが起きた場所(スタックトレース)などから、同じエラーかどうかを自動で判断し、一つのグループにまとめます。

 例えば、アプリの同じ場所で「データが見つかりません」というエラーが100回起きても、Errors Inboxでは1つのエラーグループとして表示され、発生回数が「100」とカウントされます。

 メリット: たくさんのエラーの中に埋もれることなく、影響が大きい、本当に対応が必要な問題に集中できます。

group.png

影響度(User Impact)による優先順位付け

 Errors Inbox は、特定のエラーがユーザーにどれくらい影響を与えているかを自動で計算し、「User Impact」として表示します。このUser Impactは、エラーが起きた回数だけでなく、影響を受けているユーザーの数を元にしています。

メリット: 「どれから直すべきか?」と迷うことなく、ユーザーに最も影響を与えているエラーから優先して対応できます。

UserImpact.png

トリアージステータス:エラーの状態をきちんと管理

 Errors Inboxには、各エラーグループの状態を示す5つのステータスがあります。これを使えば、チーム全体でエラーの対応状況をはっきりさせることができます。

  • Unresolved (未解決): まだ解決していない、または解決予定のないエラーです
  • Resolve in next version (次のバージョンで解決予定): 次のリリースで直す予定のエラー
  • Resolve in specific version (特定のバージョンで解決予定): あるバージョンで既に直した、または直すことが決まっているエラー
  • Resolved (解決済み): エラーの原因を直して、もう起きなくなったエラー。もし再発したら「Unresolved」に戻ります
  • Ignored (無視): 今すぐ対応しなくていい、一時的なエラーなど。不要なエラーを非表示にできます

ステータス.png

チームの中で誰が担当しているのかというステータスも管理できます。

  • Acknowledged (確認済み): これは特別なステータスで、チームの誰かがエラーを見て、対応を始めたことを示します。「このエラーは私が担当中」という意思表示になります

acknowledged.png

メリット: 「誰かがもう見てるかな?」「これはもう直したっけ?」といった混乱を防ぎ、チーム全体でエラー対応をスムーズに進められます。

詳しい情報を見て、他の機能と連携

 Errors Inbox でエラーをクリックすると、そのエラーの詳しい情報が見られます。ここが、エラーの原因を深く調べるための場所です。

スタックトレース: エラーがアプリのコードのどこで、どのように起きたかを示してくれます。直すべき場所を見つけるための地図です。

StackTrace.png

関連するリンク: 「Distributed Trace(アプリの処理の流れを見る)」や「Logs(関連するログを見る)」などのボタンがあります。これらをクリックすると、エラーが起きたときのアプリの動き全体や、その前後の詳しいログが見られ、原因探しがとても速くなります。

related.png

属性 (Attributes): エラーが起きたときの「状況」に関する情報です。例えば、使っていたブラウザやアクセスしたページ、ログインしていたユーザーなど、原因を探るヒントになります。

attributes.png

 これらの機能で、Errors Inbox は単に「エラーの一覧」を見せるだけでなく、「エラーを見つけて、原因を突き止め、解決するまで」の全ての作業を強力にサポートする、開発者・運用者にとって頼りになるツールなんです。

まとめ

 New Relic Errors Inbox は、アプリのエラーを見つけ、管理し、解決するまでの流れをグッと楽にしてくれる便利なツールです。特に、アプリの健康状態を表す大事な指標である「Errors(エラー)」に特化しているので、

  • エラーを見逃さない
  • 素早く原因を見つける
  • チームで効率よく対応する

といったことが可能になります。

エラー対応の実践編も計画しています。楽しみにしていてください。

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