Amazon Bedrock MantleからOpenAI GPT-5.6 Lunaを呼び出したところ、モデル一覧には表示されるのに、推論時には次のエラーが返ってきました。
401 openai.gpt-5.6-luna is not available for this account.
You can explore other available models on Amazon Bedrock.
For additional access options, contact AWS Sales.
最初はAPIキー、IAM権限、リージョン、エンドポイントの設定ミス、あるいはMantle全体が利用できない可能性を疑いました。しかし、同じAWS認証情報を使って複数モデルを実際に呼び出した結果、Mantleそのものは正常に利用できることが分かりました。
今回確認できたのは、Mantle全体の障害ではなく、このAWSアカウントに対するOpenAIのフロンティアGPTモデル群のアカウント単位制限と考えるのが最も妥当、という状況です。
この記事は2026年7月24日時点のAWSドキュメントと実測結果に基づきます。
結論
実測結果を先に示します。
| モデル | API | 実行結果 |
|---|---|---|
openai.gpt-5.6-luna |
Responses | 401 not available for this account
|
openai.gpt-5.6-terra |
Responses | 401 not available for this account
|
openai.gpt-5.6-sol |
Responses | 401 not available for this account
|
openai.gpt-5.5 |
Responses | 401 not available for this account
|
openai.gpt-5.4 |
Responses | 401 not available for this account
|
openai.gpt-oss-20b |
Responses | 成功 |
google.gemma-3-4b-it |
Chat Completions | 成功 |
mistral.ministral-3-3b-instruct |
Chat Completions | 成功 |
nvidia.nemotron-nano-9b-v2 |
Chat Completions | 成功 |
zai.glm-4.7-flash |
Chat Completions | 成功 |
この結果から分かることは次の3点です。
- Bedrock Mantleの認証と推論経路は動作している
- OpenAIモデルがすべて禁止されているわけではなく、
gpt-oss-20bは利用できる - GPT-5.4、GPT-5.5、GPT-5.6のフロンティアモデル群がアカウント単位で制限されている
AWSはGPT-5.6 Sol、Terra、Lunaを2026年7月13日に一般提供しています。Lunaは us-east-1、us-east-2、us-west-2 で利用できると案内されています。
したがって「まだ一般公開されていない」「リージョンに存在しない」という問題ではありません。
検証環境
今回の検証条件は次のとおりです。
- OS: Windows
- AWS CLI: v2
- 認証:
aws loginによるブラウザー認証 - AWSリージョン:
us-east-1 - Python: 仮想環境を使用
- SDK: OpenAI Python SDK
- Bedrock認証トークン: AWS認証情報から短期トークンを生成
- Responses APIでは
store=Falseを指定
AWS STSの get-caller-identity は成功しており、AWSアカウントへのログイン状態は正常でした。また、通常のIAMポリシー不足を除外するため、AWSアカウントのroot identityでも検証しています。
それでもGPT-5.4からGPT-5.6だけが同じ401を返したため、一般的なIAM権限エラーとは考えにくい結果です。なお、root identityであってもAWSサービス側のアカウント資格判定を回避できるわけではありません。
Mantleのモデル一覧を取得する
Mantleのモデル一覧は次のエンドポイントから取得できます。
GET https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/v1/models
Pythonで確認する場合の最小例です。APIキーはコードへ直接書かず、環境変数から読み込みます。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
api_key=os.environ["BEDROCK_API_KEY"],
base_url="https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/v1",
)
for model in client.models.list().data:
print(model.id)
今回のアカウントでは、この一覧に次のモデルが含まれていました。
openai.gpt-5.6-luna
openai.gpt-5.6-terra
openai.gpt-5.6-sol
openai.gpt-5.5
openai.gpt-5.4
openai.gpt-oss-20b
google.gemma-3-4b-it
mistral.ministral-3-3b-instruct
nvidia.nemotron-nano-9b-v2
zai.glm-4.7-flash
重要なのは、Models APIの一覧に表示され、status: available になっていることと、そのAWSアカウントが実際に推論できることは同義ではない点です。
今回、GPT-5.6 Lunaはモデル一覧に表示されたにもかかわらず、推論時にはアカウント制限の401になりました。モデル探索とアカウント単位の実行資格は別に判定されているようです。
GPT-5.6だけエンドポイントのパスが異なる
GPT-5.6 Sol、Terra、Lunaでは、一般的なMantle Responses APIとベースURLが異なります。
GPT-5.6 Luna:
https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/openai/v1
その他のMantle Responses API対応モデルの例:
https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/v1
AWSのGPT-5.6モデルカードにも、GPT-5.6は /openai/v1/responses を使用し、他モデルの /v1/responses とは異なると記載されています。
パスを間違えると、アカウント制限ではなく次のような400エラーになります。
The model 'openai.gpt-5.6-luna' does not support the '/v1/responses' API
これは401とは別問題です。検証では、必ずモデルに対応したAPIとベースURLを使用する必要があります。
GPT-5.6 Lunaを検証するコード
import os
from openai import APIStatusError, OpenAI
client = OpenAI(
api_key=os.environ["BEDROCK_API_KEY"],
base_url="https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/openai/v1",
)
try:
response = client.responses.create(
model="openai.gpt-5.6-luna",
input="Reply only: OK",
max_output_tokens=32,
store=False,
)
print(response.output_text)
except APIStatusError as exc:
print("status:", exc.status_code)
print("error:", exc)
今回の環境では、正しいモデルID、リージョン、エンドポイントを使用しても401になりました。
openai.gpt-5.6-luna is not available for this account
同じ方法でSol、Terra、GPT-5.5、GPT-5.4を確認しましたが、すべて同種の401でした。
Mantle全体が使えるか確認する
Mantle自体の動作確認には、GPT-5.6とは別のモデルを呼び出します。Responses APIを使い続けたい場合は openai.gpt-oss-20b が切り分けに便利です。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
api_key=os.environ["BEDROCK_API_KEY"],
base_url="https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/v1",
)
response = client.responses.create(
model="openai.gpt-oss-20b",
input="Reply only: OK",
max_output_tokens=128,
store=False,
)
print(response.output_text)
print(response.usage)
今回、このリクエストは成功し、usageも返りました。最初に max_output_tokens=16 で試した際は、16トークン中14トークンがreasoningに使われ、output_text が空になりました。しかしHTTPリクエスト自体は成功し、usageも返っているため、Mantle推論が利用可能であることは確認できました。
実用時には、reasoningモデルへ極端に小さな出力上限を設定しない方が安全です。
Chat Completions対応モデルも確認する
モデルによって対応APIが異なります。MantleはResponses APIだけでなく、Chat Completions APIやAnthropic Messages APIも提供しています。
Chat Completions対応モデルは次のように呼び出せます。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
api_key=os.environ["BEDROCK_API_KEY"],
base_url="https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/v1",
)
response = client.chat.completions.create(
model="google.gemma-3-4b-it",
messages=[
{"role": "user", "content": "Reply only: OK"},
],
max_tokens=16,
temperature=0,
)
print(response.choices[0].message.content)
この方法でGemma、Ministral、Nemotron、GLM Flashの推論に成功しました。
AWSはモデルごとの対応APIを一覧化しています。モデルを変えて400が出た場合は、権限エラーと決めつける前にAPI互換性を確認すべきです。
エラーコードで原因を切り分ける
今回の検証で遭遇したエラーは、大きく2種類に分けられました。
400 validation_error
The model does not support the '/v1/responses' API
これはモデルとAPI経路の組み合わせが間違っている状態です。
確認項目:
- Responses API対応モデルか
- Chat Completions対応モデルか
- GPT-5.6専用の
/openai/v1が必要か - 通常のMantle
/v1を使用するモデルか
401 access_denied
MODEL_ID is not available for this account
正しいエンドポイントまで到達した後、モデルのアカウント利用資格で拒否されています。認証そのものが完全に失敗している場合とは異なり、今回のように他モデルが同じトークンで成功するなら、モデル単位またはモデル群単位の制限を疑えます。
なぜ一部アカウントだけ利用できないのか
公開情報だけでは、AWSがGPT-5.6の利用可否を決める正確な条件は確認できませんでした。
AWSのLunaモデルカードには、アカウントへ割り当てられるデフォルトクォータが、リージョン要因、支払い履歴、不正利用対策、クォータ増加申請の承認状況などに応じて更新される可能性があると記載されています。ただし、今回の401がどの条件によって発生したかまでは示されていません。
また、AWS re:Postには、正しいリージョン、root identity、正しいモデルIDでも not available for this account になる類似報告があります。AWS Expertからは、利用者側で解除できないAWSアカウント側のモデル制限として、AWS Supportへの問い合わせが案内されています。
以上から、アカウント単位の利用資格、リスク判定、または段階的なバックエンド許可が関係している可能性は高いと推測できます。ただし、AWSが判定基準を公開していないため、「新規アカウントだから」「利用履歴が少ないから」と断定することはできません。
Marketplace購読やEULAが原因なのか
OpenAIモデルにはAWS MarketplaceのProduct IDが設定されていません。そのため、今回のGPT-5.6エラーを、Marketplace購読やMarketplace上のEULA承認漏れだけで説明することはできません。
モデルアクセス画面に「承認」ボタンが見つからない場合でも、必ずしも操作漏れとは限りません。
store=False とデータ保持
Responses APIでは、デフォルトの store=true の場合、入力と出力を含むレスポンスがリクエスト元AWSリージョンに30日間保存されます。保存されたレスポンスは previous_response_id による会話継続に利用できます。
response = client.responses.create(
model="openai.gpt-oss-20b",
input="Hello",
store=False,
)
store=False を指定すると、Bedrockはそのリクエストとレスポンスを保持せず、previous_response_id でサーバー側の会話を継続できません。Codexのようなクライアントでは、必要な会話履歴を毎回再送する構成が必要です。
AWSの説明では、store=true の保存データは呼び出し元AWSアカウントのProjectにスコープされ、保存目的以外には使用されないとされています。
機密性を優先する場合は store=False を明示し、アプリケーション側で履歴を管理する設計が分かりやすいでしょう。
AWS Supportへ送る問い合わせ例
ユーザー側で確認できる項目をすべて通過している場合は、AWS Supportへアカウント資格の確認を依頼します。Account and billingカテゴリから問い合わせる場合の例です。
Subject:
Bedrock Mantle GPT-5.6 account entitlement request
Body:
Amazon Bedrock Mantle in us-east-1 lists openai.gpt-5.6-luna
in the Models API, but invoking /openai/v1/responses returns:
401 openai.gpt-5.6-luna is not available for this account.
Authentication succeeds, and other Mantle models such as
openai.gpt-oss-20b and google.gemma-3-4b-it can be invoked
successfully using the same AWS account.
The same result occurs for GPT-5.6 Sol, GPT-5.6 Terra,
GPT-5.5, and GPT-5.4.
Please verify whether this AWS account has the required
account-level entitlement for OpenAI frontier models on
Amazon Bedrock Mantle, and advise how access can be enabled.
シークレットアクセスキー、Bedrock APIキー、短期トークンは問い合わせ本文やスクリーンショットへ掲載しないでください。
最終的な切り分けフロー
同様の問題が発生した場合は、次の順番で確認すると効率的です。
-
aws sts get-caller-identityでAWS認証を確認する - 対象モデルの対応リージョンをモデルカードで確認する
- Models APIでモデルIDを確認する
- モデルに対応するResponses、Chat Completions、Messagesのいずれかを選ぶ
- GPT-5.6では
/openai/v1、対応する他モデルでは/v1など、モデルカード記載のURLを使う - 別プロバイダーまたは
gpt-oss-20bを最小リクエストで呼ぶ - 別モデルが成功し、対象モデルだけ401ならアカウント単位制限を疑う
- AWS Supportへモデル資格の確認を依頼する
まとめ
今回のポイントは、モデル一覧へ表示されること、Mantleへ認証できること、対象モデルを実行できることが、それぞれ別の確認項目だという点です。
openai.gpt-5.6-luna が一覧に表示されても、アカウント資格によって推論時に401になる場合があります。一方、同じ認証情報で openai.gpt-oss-20b、Gemma、Ministral、Nemotron、GLM Flashが成功したため、Mantle全体が利用不能なわけではありませんでした。
実測から得られた最も妥当な結論は、次のとおりです。
Bedrock Mantleは正常に利用できる。ただし、このAWSアカウントではOpenAI GPT-5.4、GPT-5.5、GPT-5.6のフロンティアモデル群がアカウント単位で制限されている。
GPT-5.6の許可を待つ間にResponses API互換性を優先するなら openai.gpt-oss-20b、低コストの一般的なChat Completions用途ならGemmaやGLM Flashなどを代替候補として検証できます。