はじめに
今回の記事では、Power構築の初心者である私が実際にNIMからVIOCへのAIXインストールに失敗した経験をもとに、対処法をお伝えし、最終的にはAIXインストールを完了させることを目標としています。この記事でAIXインストールの失敗で困っている方の一助となれば幸いです。
対象者
・Power構築が初心者の方
・NIMからVIOCにAIXをインストールする際に、失敗してしまった方
今回のエラー過程について
今回のエラーは、リモート接続(自宅から社内)をしながら、仮想端末に入り、AIXのインストールを95%まで実行していたところ、リモート接続(自宅から社内)が切れてしまい、中途半端なインストールになってしまいました。再度インストールしようとすると、「NO Operating Systems Installed」 の状態になったため、NIMマスターのインストールイメージが利用できなくなったと考えられます。そのため、リソースを一度リセットし、再割り当てすることで、改めてインストールすることができました。
エラー① 再度インストールしようとすると、インストールされたOSがないという表示になりました
エラー② Install 95% complete の状態で停止しています
エラー前のAIXインストール手順
簡単にエラー前のAIXインストールの手順について説明します。
・NIMサーバー/クライアントのアダプターの設定
・プロトコルバージョン設定
・ネットワークサービス設定
・IPアドレスとVLAN設定
・ping確認
・Bootデバイス設定
・インストールデバイス設定
・ネットワーク設定
・ブートモード設定
・言語設定
・インストールディスク設定
・セキュリティーモデル設定
・インストール設定確認
・インストール開始
大まかに、AIXインストール前の手順は上記の通りです。
今回使用した環境
・Windows11
・Tera Term5
・HMC 9
・NIM 7.3.2.0
導入するソフトウェア
・AIX7.3
目次
- 対象のVIOCをシャットダウンする
- VIOCへのリソース割り当てをリセットする
- VIOCにリソースを再度割り当てる
- 割り当てできたことを確認し、AIXをインストールする
①HMCで対象のマシン(今回はVIOC)をシャットダウンします。
②マシンへのリソース割り当てをリセットします
a. Tera Termで対象VIOCのNIMもしくはNIMマスターに入り # smit nim コマンドを入力します
# smit nim
b.「NIM管理タスクの実行(Perform NIM Administration Tasks)」を選択します
c.「マシン管理(Manage Machines)」を選択します
d.「マシン上での操作の実行(Perform Operations on Machines)」を選択します
e. ターゲット名で対象のVIOCを選択します ※今回はマシンp8170aを例として使用します
f. 操作の実行(Operation to Perform)で「リセット(reset = reset an object’s NIM state)」を選択します ※コマンド実行がOKになれば、F10キーでsmitを抜けます
➂ 再度、マシンにリソースを割り当てます
a. #smit nim コマンドを入力します
# smit nim
b. NIM ソフトウェア・インストールおよび保守タスクの実行(Perform NIM Software Installation and Maintenance Tasks)を選択します
c. ソフトウェアのインストールおよび更新(Install and Update Software)を選択します
d. スタンドアロン・クライアント上に基本オペレーティング・システムをインストール(Install the Base Operating System on Standalone Clients)を選択します
e. 操作に対してのターゲットの選択で、AIXをインストールする対象VIOCを選択します
f. インストールタイプの選択で、インストールイメージからインストール(rte - Install from installation images)を選択します
g. インストールで使用するLPP_SOURCEの選択で、対象のlpp_source(インストールイメージ)を選択します
※lpp_sourceとはソフトウェアをインストールまたはアップデートするためのパッケージやファイルセットを集めたインストールイメージです。lpp_sourceはNIMサーバーで定義され、クライアントシステムがlpp_sourceを参照してAIXのインストールやアップデートを行います。
h. インストールで使用するSPOTの選択で、対象のSPOTを選択します
※SPOTとはOSインストールやAIXカーネル、実行可能コマンドなどの重要なファイルやディレクトリーが格納されているリソースです。SPOTはlpp_sourceをもとインストール作業に必要なファイルを提供しています。
i. 次の画面では以下のフィールドに間違いがないかを確認します
1.「インストールターゲット (Installation Target)」をAIXインストールしたいVIOCであることを確認
2. インストールしたいSPOTと LPP_SOURCEも間違いがないかを確認
3.「新規使用条件に同意する (ACCEPT new license agreements?)」を”YES”に変更
4.「リブートおよびインストールを即時開始する (Initiate reboot and installation now?)」を”NO”に変更
5. Enterで実行します
6. OKと表示されたら、Esc+0を押下してsmitを抜けます
④ 割り当てできたことを確認し、AIXをインストールします
a. 以下のコマンドを実行し、インストール対象のVIOCに対して、lpp_sourceとspotが正しく割り当てられていることを確認します
# lsnim -l <マシン名> ※今回はp8170aの結果を表示しています
p8170a:
class = machines
type = standalone
connect = nimsh
platform = chrp
netboot_kernel = 64
if1 = network1 p8170a 0
cable_type1 = bnc
Cstate = BOS インストールが有効
prev_state = NIM 操作が作動可能
Mstate = 実行していません
boot = boot
lpp_source = AIX730_02_01_2346_lppsource
nim_script = nim_script
spot = AIX730_02_01_2346_spot
cpuid = 00F98DB54C00
control = master
b. 以下のコマンドを実行し、インストール対象のVIOCに対して、lpp_souceとspotがNFSエクスポートされていることを確認します
# exportfs ※今回はp8170aの結果を表示しています
exportfs
/export/spot/AIX730_02_01_2346_spot/usr -vers=3,ro,root=p8170a,access=p8170a
/export/lpp_source/AIX730_02_01_2346_lppsource -vers=3,ro,root=p8170a,access=p8170a
/export/nim/scripts/p8170a.script -vers=3,ro,root=p8170a,access=p8170a
c. 最後にAIXのインストール手順に従って、対象のVIOCを起動し、インストールを開始します
まとめ
今回の記事では、NIMからVIOCへのAIXインストールに失敗してしまった方向けに、対処法をまとめました。マシンへのリソース割り当てを再設定することで、再度AIXのインストールを実行することが可能となります。今回の記事が参考になれば幸いです。