1. MLワークフローの設計と管理
ユースケース: 一貫性のあるMLライフサイクルの構築
- ベストプラクティス:
- Vertex AI Pipelines により、データ前処理〜学習〜評価〜デプロイまでを自動化。
- Kubeflow Pipelines + Vertex AI SDK を使ってコードベースで構成管理。
- モデルバージョン管理(Model Registry) によって再現性のある実験を実施。
- Google Cloud Storage / BigQuery により、特徴量・モデル・メタデータの永続管理。
2. 特徴量エンジニアリングと前処理
ユースケース: 学習データの品質と再利用性向上
- ベストプラクティス:
- Vertex AI Feature Store を使ってオンライン/オフラインの特徴量を一元管理。
- Dataflow / Apache Beam によるスケーラブルな前処理パイプラインの構築。
- TensorFlow Transform(TFT) を用いた学習・推論の一貫性ある変換。
- 構造化データはBigQuery SQLで処理し、変換ロジックを管理しやすく。
3. モデルの学習と最適化
ユースケース: 汎化性能の高いモデルの構築
- ベストプラクティス:
- AutoML でベースラインモデルを迅速に作成、精度とコストを評価。
- Vertex AI Training(Managed Training) でスケーラブルに学習。
- ハイパーパラメータチューニング(HPT) をVertex AIで自動化。
- TFRecord / XGBoost形式 の入力形式に変換してI/Oを最適化。
4. モデルの評価と説明性
ユースケース: 公平・透明・正確なモデルの確認
- ベストプラクティス:
- 評価指標をユースケースごとに明確化(ROC AUC, Precision/Recall, RMSEなど)。
- Confusion Matrix / Calibration Curve を活用して理解を深める。
- Vertex Explainable AI によってSHAP/Integrated Gradientsで説明性を確保。
- Fairness Indicators / What-If Tool でバイアスを検出。
5. モデルのデプロイとサービス化
ユースケース: スケーラブルで安全な推論APIの提供
- ベストプラクティス:
- Vertex AI Endpoint を用いたモデルのデプロイ。
- トラフィックスプリット による段階的な本番反映。
- オンライン / バッチ推論の使い分け(BigQuery ML やBatch Prediction)。
- Cloud Run / FastAPIなどでカスタム推論サービスを提供することも可能。
6. パイプラインとCI/CDによるML Ops
ユースケース: 継続的なMLシステム運用(MLOps)
- ベストプラクティス:
- CI/CD(Cloud Build + GitHub Actions) によるMLパイプラインの自動検証・再学習。
- モデル検証ステップ(Model Evaluation) をパイプラインに組み込む。
- モデルレジストリに承認制を導入し、品質が担保されたもののみを本番へ。
- 構成管理はIaC(Terraform)で再現性を確保。
7. モデルのモニタリングと品質保証
ユースケース: 本番運用中の精度劣化やデータドリフトの検出
- ベストプラクティス:
- Vertex AI Model Monitoring によるデータドリフト・スキーマ逸脱の検知。
- Cloud Logging / Monitoring による推論エラー・レイテンシの可視化。
- モデル再訓練のトリガー条件を定義し、自動再学習パイプラインへ接続。
- A/B テストやシャドウデプロイを活用し、安全な切り替えを実施。
8. セキュリティとガバナンス
ユースケース: 安全なML基盤の構築と管理
- ベストプラクティス:
- モデルへのアクセス制御はIAM / Endpointsで実施。
- Cloud KMSで学習データ・モデルの暗号化。
- DLPで個人情報をマスキング or 除去。
- モデルの利用ログ(Who/When/How)を監査ログで追跡。
9. ユースケース選定とビジネスインパクトの評価
ユースケース: 適切な問題設定と費用対効果の最大化
- ベストプラクティス:
- 問題設定の整理(分類/回帰/クラスタリング/ランキング)。
- KPIを事前に明確化(ex. LTV増加率 / 離脱率低下)。
- モデル導入による業務改善効果の定量化。
- PoC止まりにしないようMLOps込みの設計が重要。
まとめ:MLエンジニアリングの9領域
観点 | 主な対策例 |
---|---|
ワークフロー設計 | Vertex Pipelines / Model Registry |
特徴量管理 | Feature Store / TFT / Beam |
学習・チューニング | AutoML / Vertex HPT / TFRecord |
評価・説明性 | Explainable AI / Fairness Indicators |
デプロイ | Vertex Endpoint / Split / Cloud Run |
MLOps | CI/CD / Registry承認 / IaC |
モニタリング | Model Monitoring / Drift検知 |
セキュリティ | IAM / DLP / KMS / Logging |
ビジネス適合性 | 問題定義 / KPI / PoC脱却 |