前置き
どうにかこうにか保活の荒波を乗り越え、今度は入園準備に追われています。我が家も名入れの洗礼を受けているところです。そんな中出会ったのが、『刺繍ミシン』。近くのファブラボに置いてあり、試しに使ってみたらその魅力にハマってしまいました。多分、洗濯機が水しぶきをあげながら動いているところや、3Dプリンタが地道に積層しているところを眺めて楽しめる人は、刺繍ミシンにもハマる素質があると思います。笑。
結局ファブラボでの作業では名入れは完了できず、今度は刺繍できるミシンをレンタルすることに。別に油性ペンでいいじゃない!とも思いましたがいったん胸にしまって… ただ、刺繍する画像データを編集するソフトは何万円もする高級品。たった数日のレンタルのためにホイホイと購入できる代物ではありません。ソフトのレンタルもないか調べたのですが、そのようなサービスは見当たりませんでした。(利用規約に抵触してしまうのかしら?)そこで、レンタル中にチョロッと画像編集したものを刺繍できるかも、と思った方法をここにメモとして残しておきます。
やってみたいこと
そんなわけで、ここではなるべくお高いソフトを使わずに刺繍ミシンを楽しむことができるのかを検討してみたいと思います。
使用するミシンはBrother社のFE1000。このミシンには予めアルファベットや仮名文字、ある程度の漢字が刺繍できるようになっているので、最悪でも仮名文字での記名は十分に可能です。ただ、漢字は漢数字と『幼稚園』や『○年○組』といった、記名に最低限必要なものに限られるため、漢字での記名は難しそう。。。
試したい方法
Brother社のFE1000で使えそうな方法を検討しました。その方法がこちら。
- 体験版ソフトを使ってみる
- フリーウェアを使ってみる
体験版ソフトを使う場合
Brother社の刺繍ミシンは『刺しゅうPro』というソフトを使って、刺繍するイラストや文字を編集・転送することができます。2018年3月時点では、刺しゅうPro10が最新版の様です。ただこのソフト、お値段が7万円ほどします(参考@アマゾン)。やっぱりチョロッと使う向きじゃない…でも使い心地は買う前に確かめておきたいですよね。そこでちょっとバージョンは違いますが、刺しゅうPro Nextの体験版が用意されています。
ただ、体験版なので機能の制限も当然ながらあります。一番大きな制限は、作成したデータの保存ができないことです。なので、メモリカードやUSBメモリを使ったミシンへのデータ転送ができません。しかし、よく見るとPCから直接ミシンへの転送ができないとは書かれていません。今回、USBケーブルでPCとミシンを繋いで、PCからミシンへのデータ転送ができないかを試してみます。検証結果は後日(3月下旬~4月中目標)追記します。
ちなみに、動作するOSはWindowsのみ対応です。
フリーウェアを使う場合
お高いソフトには大抵何某かそれっぽいフリーウェアがあります。それは刺繍ソフトも例外ではないようです。
今回調べた中でできそうだと思ったのが下記の手順です。
- inkscapeで画像を作成
- inkscapeのプラグイン『embroider』で刺繍データに変換できる形式で保存
- TrueSizerウェブで刺繍データへ変換・保存
ただこの方法、いくつかのブログで試されている様なのですが、inkscapeの導入、もしくはembroideryを追加したところまでは掲載されているのに、最終的に刺繍できたところまで書かれた記事がなかなか見付かりません。探した限り、作者のものと思しきページと、日本語での紹介サイトの2箇所くらいです。これはどういうことでしょう…。これはひとまず試してみる価値はありそうです。
導入してみる
inkscapeはLinux・Mac・WindowsのどのOSでも動作できる画像編集ソフトです。今回はUbuntu16.04上で動作を確認します。
TrueSizerは無料で利用できるサービスが2種類あり、ブラウザ上で動作するものと無料でダウンロードできるソフトがあります。今回、Ubuntu上で利用できるのはブラウザ上で動作するものしかないので、TrueSizerウェブを使用することとします。なお、有料版も含めた各種ソフトの機能比較は紹介サイトをご覧ください。
TrueSizerウェブの登録
このページで必要な情報を登録します。住所等細かいところまで聞かれます。一通り登録作業を済ませると、ブラウザ上でTrueSizerウェブを利用することができました。
inkscapeのインストール
下記のコマンドを入力すればインストールすることができます。
sudo apt-get install inkscape
inkscapeのプラグインを入れる
作者のものと思しきページではshapelyというPythonのライブラリをインストールするように書かれているので、下記のコマンドでインストール。
sudo apt-get install python-shapely
その後プラグインを入れるのですが、ネット上に転がっているものは主に3つあるようです。今回は一番更新された日が新しいものを採用します。
それぞれのプラグインが気になる方はこちら
上のものほど公開日が古いです。 1. [作者が公開したものと思しきページ](http://www.jonh.net/~jonh/inkscape-embroidery/)のInstallationのリンクから入手できるもの 2. [日本語の紹介サイト]()から入手できるもの 3. [GitHubに公開されているもの](https://github.com/stesie/inkscape-embroidery)動かしてみる
今回は漢字での名入れが目標。そこで、Gimpで好きなフォントのパスを作ってエクスポートしてからinkscapeで刺繍データに変換できる形式にして、最終的にTrueSizerで刺繍ミシンに転送できる形式にできるかを試してみる。
動かしてみるが…?
パラメタを適当にいじりながら動かしてみるも、うまくいく場合とそうでない場合がありました。いじってみた感触からすると、アルファベット程度の複雑さではそれっぽく仕上がるけれど、漢字・仮名になると、角の一分や上半分しか刺繍データを生成できず、上手くいかないことが多かったです。作者のページでも、ドーナツのような、閉じたループが外側と内側にあるうちの内側は塗り潰さないような図形はパスの調整が必要かもね、と書いてある。
むーん…無料ソフトではこんなものかしら。このプラグインでの試行はいったんこの位で切り上げて、別のプラグインも探してみることに。
せっかくなのでinkscapeのプラグインの仕組みをざっくり調べる
このプラグインを使ったところ、いくつかのエラーメッセージが発生しました。それを調べているうちに、inkscapeのプラグインの拡張スクリプトについてまとめられた記事が出てきた。これを見たら、プラグインの導入でどんなファイルをコピーしたのか、雰囲気をつかむことができた。
もうひとつのフリーウェアを試してみる。
inkscapeでハッチをかけるところまでやってから、Web上で刺繍データに変換できる形式に変換してくれるサービスを発見。こちらはプラグインを追加した方法に比べていい感じ。
最後に
ひとまず、刺繍できる形式にまで持っていくことはできました。
最終的にはレンタルしたミシンを使ってみて、どんな感じに仕上がるのか、改めてご報告できればと思います。
追記:実際に試した感触をこちらの記事にまとめました。ぜひご覧ください。
追記