背景
消耗材など、一定の消費サイクルがある商品を取り扱っている場合、再注文のタイミングを見越して顧客に適切な時期にリマインドを送ることは、営業活動の効率化と機会損失の防止につながる。
本記事では、以下の制約条件を満たしながら、Salesforceの標準機能のみで再注文リマインドFaxを送信する仕組みを構築する方法を紹介する。
尚、Faxでよくやる業務フローというだけでもちろんメールで行ってもよい。
- Salesforceにて商談および商談商品を記録
- 顧客からの注文はFaxで受信している
- 顧客ごとに個別の価格表および価格表エントリを作成している
- PDF生成なし(テキストメール送信のみ)
- 取引先×商品単位でリマインドを行い、多重送信は自然に回避される設計
実現する内容
- スケジュールトリガーフローで、毎日価格表エントリをチェック
- 顧客ごとの価格表エントリを起点に、最新の商談商品の提供日を確認
- 経過日数がアラート日数に達していれば、自動でFax送信(eFax)
使用オブジェクトとカスタム項目
オブジェクト | 項目名 | 型 | 説明 |
---|---|---|---|
PricebookEntry | Alert_Days__c |
数値型 | 提供日からの経過日数でアラートを出す基準 |
OpportunityLineItem |
ServiceDate (提供日) |
日付型 | 標準項目。サービスや納品の実施日として使用 |
Account(取引先) | Fax |
テキスト型 | eFax送信用のFax番号 |
フロー構成(スケジュールトリガーフロー)
トリガー設定
- オブジェクト:PricebookEntry
- 頻度:毎日(任意の時刻)
処理概要
-
最新商談商品の取得(Get Records)
- オブジェクト:OpportunityLineItem
- 条件:
PricebookEntryId = {!$Record.Id}
ServiceDate ≠ null
- 並び順:
ServiceDate
降順 - 取得件数:1件のみ
-
アラート送信条件の判定(Decision)
-
判定式(Formula)例:
DATEVALUE(TODAY()) - {!LatestLineItem.ServiceDate} = {!$Record.Alert_Days__c}
-
真の場合、次のステップへ進む
-
-
eFax送信処理(Send Email)
- 宛先:
{!LatestLineItem.Opportunity.Account.Fax}
- 件名:在庫状況のご確認(商品名)
- 本文:下記テンプレート例参照
※ Flowでテキスト本文に変数を差し込む形式
- 宛先:
eFax送信用のテキストメール本文例
株式会社〇〇 御中
いつもご利用いただきありがとうございます。
前回ご注文いただきました下記商品について、
本日でご提供からちょうど◯◯日が経過いたしました。
■ 商品名:△△△△
■ 最終提供日:YYYY/MM/DD
そろそろ在庫が残り少なくなる頃かと存じます。
ご入用の際は、当Fax番号または担当までご連絡くださいませ。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
実装上の注意点
- 価格表および価格表エントリは取引先ごとに分けて運用している前提で構築されている
- 商談には対象の取引先の価格表を必ず設定する必要がある
- 提供日は標準項目
ServiceDate
を活用する(別途作成不要)
まとめ
Salesforceのスケジュールトリガーフローを活用することで、Apexを使わずに、Faxを用いた消耗材の再注文リマインドを自動化する仕組みを構築できる。取引先ごとに価格表を分けて管理しているケースでは、PricebookEntry単位での処理がもっともシンプルかつ確実であり、Flowの制約内でも十分に実用的なCRMの自動化が可能である。