はじめに
Gemini CLIは、ターミナルで使う「AI」です。
チャットでやり取りするだけでなく、実際にコードを書いたり、
ファイルを作成したり、プログラムを実行したりできる「AI」というイメージです。
非常に便利ですが、システムを変更する権限も持っているため、
セキュリティや効率的な使い方を学んで安全に活用することが大切です。
でも、ここで多くの人がこう思います。
「Gemini CLIって便利だけど、プログラミング初学者でも安全に使えるの?
どうやって始めればいいの?」
この記事では、プログラミング初学者の方が安心してGemini CLIを使い始められるよう、
基本的な使い方から注意点まで丁寧に解説します。
Gemini CLIとは?
基本的な概念
Gemini CLIは、Googleが2025年6月25日に発表したコマンドライン版のAIエージェントツールです。
普通のAIチャットとの違い
- 普通のAI:質問に答えるだけです。
- Gemini CLI:実際にコードを書いて、ファイルを作って、プログラムを実行してくれます。
主な特徴
1. 無料で使える
- 1分あたり最大60件、1日あたり最大1000件のリクエストが無料です。
- 個人のGoogleアカウントがあれば利用可能です。
2. 高性能なAIモデル
- Gemini 2.5 Proという最新モデルを使用です。
- 100ミリオントークンという巨大なコンテキストウィンドウです。
- 大規模なプロジェクトのソースコードも理解可能です。
3. Google検索機能付き
- 最新の情報を検索して回答します。
- より信頼性の高い情報を提供します。
4. ターミナル(CLI)に慣れる
- 日本語で自然に会話可能です。
- 専門用語も日本語で説明してくれます。
事前準備
必要な環境
1. Node.jsのインストール
- バージョン20以上が必要です。
- 公式サイトからダウンロードします。
- インスール済の場合は確認コマンドのみ実行します。
確認方法
node -v
v20.0.0以上が表示されればOKです。
2. Googleアカウント
- 個人のGoogleアカウントが必要します。
- 会社のアカウントでも可能ですが、データの取り扱いに注意して下さい。
推奨環境
テキストエディタ
- VS Code推奨です。
- ファイル編集や確認が便利です。
ターミナル
- Mac:標準のターミナルを使用します。
- Windows:PowerShellまたはコマンドプロンプトを使用します。
インストールと初期設定
Step 1: Gemini CLIの起動
最も簡単な方法は、npxコマンドを使うことです:
npx @google/gemini-cli
初回実行時は、パッケージのインストールが始まります。
「y」+「enter」押下で、Gemini CLIの画面が立ち上がります。

Step 2: 初期設定
1. テーマ選択
- 矢印キーでテーマを選択します。
- 「Default Dark」がおすすめです。
2. 認証設定
- 「Login with Google」を選択します。
- 無料で使いたい場合は個人アカウントでログインします。
3. ブラウザでの認証
- 自動でブラウザが開きます。
Step 3: プロジェクトの設定
設定ファイルの作成
VS Codeで新しいプロジェクトフォルダを作成し、gemini.md ファイルを作成し設定内容を記載します:
(設定した内容を踏まえて回答してくれます)
# Gemini CLI設定
## 回答の言語設定
- すべての応答は日本語で書いてください。
- ユーザーが英語や多言語で質問した場合でも、可能な限り自然な日本語で回答してください。
- 専門用語がある場合もなるべく日本語訳を添えてください。
## 開発方針
- 設計から実装、テストまでを一貫して実施します。
- 初学者にも分かりやすいコードを心がけてください。
- エラーが発生した場合は、詳しい説明と解決策を提示してください。
基本的な使い方
事前準備:プロジェクトフォルダへの移動
まず、作成したgemini-cli-testフォルダに移動し、設定ファイルがあることを確認します:
ターミナルでフォルダに移動:
cd ~/Desktop/gemini-cli-test
gemini.mdファイルの確認:
ls -la
gemini.mdファイルが表示されることを確認してください。
Gemini CLIの起動:
※補足:gemini-cliを閉じてしまった場合のみ実行して下さい。
npx @google/gemini-cli
1. 自然言語でのプロンプト入力
最も基本的な使い方です:
あなたは誰ですか?
プロンプトのコツ
- 具体的に指示します。
- やりたいことを明確に書きます。
- 出力形式も指定します。
- アプリ作って、などの曖昧なプロンプトは出来る限り避けましょう。
2. ファイル参照(@マーク)
特定のファイルの中身を読み取って説明してくれます:
@gemini.md explain
-
@を入力すると、現在のディレクトリのファイル一覧が表示されます。 - 矢印キーで選択してエンター押下します。
- 続けてコマンドを入力します。
3. シェルコマンド実行(!マーク)
ターミナルコマンドを直接実行:
※補足:catコマンドはファイルの中身を表示します。
!cat gemini.md
4. 設定メニュー(/マーク)
「/」(スラッシュ)を押下します。
(テーマの変更、履歴の削除などが出来ます)
/version # バージョン確認
/theme # テーマ変更
/clear # 履歴消去
/exit # 終了
実践例:簡単なプログラムを作ってみる
まず、何を作りたいかを明確にします:
# 簡単なテスト
Hello, World!を出力するRubyファイルを作成してください
Gemini CLIの応答を確認
Gemini CLIは以下のような流れで作業します:
- ファイルの作成
- 実行手順の説明
許可の確認
ファイル作成時に許可を求められます:
-
Yes (allow once): 1回のみ許可 -
Yes (allow always): 今後すべて許可 -
Edit: 内容を編集してから許可 -
No: 拒否
初学者におすすめ:最初は Yes (allow once) を選んで、内容を確認する習慣をつけましょう。
実行
作成されたファイルを確認して実行:
open index.html
安全な使い方とセキュリティ
データの取り扱いについて
重要な注意点
無料版のGemini CLIでは:
- あなたのプロンプトと回答が収集される可能性があります。
- 収集されたデータはモデルの訓練に使用される場合があります。
- オプトアウト(データ収集の拒否)はできません。
安全な使い方
✅ OK な使い方
- 学習目的でのサンプルコード作成をします。
- 公開されている技術情報の調査をします。
- 一般的なプログラミングの質問をします。
❌ 避けるべき使い方
- 機密情報を含むコードの処理をする。
- 個人情報の入力をする。
- 会社の秘密情報の相談をする。
- パスワードやAPIキーの処理をする。
ファイル操作の確認
必ず確認すること
- 作成されるファイル名
- ファイルの内容
- 実行される処理
確認方法
# ファイルの存在確認
ls -la
# ファイル内容の確認
cat filename.py
# 権限の確認
ls -l filename.py
よくある質問とトラブルシューティング
Q1: 日本語入力がうまくいかない
症状: 日本語が正しく入力できない
解決策:
- テキストエディタに一度入力します。
- コピー&ペーストで貼り付けします。
- ターミナルの設定を確認します。
Q2: エラーが出て動かない
症状: プログラムにエラーがある
対処法:
- エラーメッセージをそのままGemini CLIに貼り付けます。
- 「このエラーを修正してください」と依頼します。
- 修正されたコードで再実行します。
例:
次のエラーが出ました。修正してください:
Traceback (most recent call last):
File "calculator.py", line 15, in
result = divide(10, 0)
ZeroDivisionError: division by zero
Q3: 生成されたコードが動かない
確認ポイント:
- Python/Node.jsのバージョン
- 必要なライブラリのインストール
- ファイルの保存場所
対処例:
作成されたPythonコードが動きません。
Python 3.9を使用しています。
エラーメッセージは以下の通りです:
[エラーメッセージを貼り付け]
動作するように修正してください。
Q4: レスポンスが遅い
原因:
- 複雑な処理を依頼している可能性が有ります。
- ネットワークの問題かもしれません。
- リクエスト制限に近づいている可能性が有ります。
対策:
- シンプルな依頼に分割します。
- 時間をおいて再実行します。
- ネットワーク環境を確認します。
まとめ
Gemini CLIは、プログラミング初学者にとって非常に強力な学習ツールです。
メリット:
- 自然言語で開発ができます。
- 設計からテストまで一貫した開発体験ができます。
- 最新情報へのアクセス可能です。
- 実質無料で高機能なAIが使えます。
注意点:
- データの取り扱いに注意して下さい。
- セキュリティを意識した使い方が重要です。
- 生成されたコードの検証は必須です。
学習のポイント:
- 小さなプロジェクトから始めます。
- 生成されたコードを理解する努力をする事。
- エラーを恐れず、解決方法を学びます。
- セキュリティを常に意識します。
プログラミング学習の強力な相棒として、Gemini CLIを活用して、効率的にスキルアップしていきましょう!












