はじめに
当記事は、2年前に書いた拙記事の続編という形で書いていきたいと思う。
前記事では、メインフレームをメインプラットフォームとしてシステム開発と運用を行う部署に配属されて、JCLやCOBOLをどのように学んでいったかの経験を記載した。
書籍等やWebサイトが少ない中で習得するためには、製品マニュアルを読み解いて実践で試していくことが大事だという気づきを記載した。
加えて、DXが叫ばれる中で脱メインフレームが進まない中でメインフレームが扱えてそのプラットフォーム上でアプリケーションを開発ができるエンジニアは貴重であり、ブルーオーシャンなのではないかという意見を述べた。
続編の今回は、モダナイやマイグレが流行る中で、汎用機も触れるエンジニアが脱メインフレームというビッグウェーブに乗ってブルーオーシャンを目指すエッセイになります。
メインフレームを使用してシステムを運用している会社に激震が走ったニュースに、2030年度末に富士通がメインフレーム事業から撤退し、2035年度に保守を終了するという記事がある。
これにより、富士通メインフレームを上でシステムを運用している企業は、IBMメインフレームもしくはオープン系サーバへ移行することが求められている。
そのニーズを受けて各システム会社がモダナイゼーションやマイグレーションと呼ばれるサービスを展開している。
世はまさに脱メインフレーム時代の到来です。
この潮流の中で技術スタックにメインフレーム、JCL、COBOLを持つエンジニアは、この脱メインフレーム時代のブルーオーシャンにいるかを考察してみたいと思う。
流行りの言葉を整理
まずは流行りの言葉(用語)を整理します。
モダナイゼーション
構築されて長い間稼働し続けているシステム(いわゆるレガシーシステム)を最新技術を活用できる現代的なシステムへ移行することを指す用語。
マイグレーション
システムやデータなどを新しい環境に移行すること指す用語。
例えば、メインフレームで稼働しているシステムをオープン系環境に移したりすること。
一般的に3つのマイグレーション方法がある。
No. | 種類 | 概要 |
---|---|---|
1 | リホスト | アプリケーションを変更せずに、プラットフォームを変更する手法。 メインフレームからオープン系に移行する場合は特殊な実行環境(ランタイム)を必要とする場合が多い。 例)日本ティーマックソフト製 OpenFrame7、Rocket® COBOL Server |
2 | リライト | アプリケーション機能は変更せず、別の新しい言語でプログラムを書き換える手法。 COBOLで書かれたプログラムをJavaに機械的に書き換えるサービスを提供する企業が登場している。 TIS社 Xenlon、富士通社 Fujitsu PROGRESSION、アクセンチュア社 MAJALIS |
3 | リビルド | システムを再構築する手法。 既存システムの要件を整理し、スクラッチ開発にて最適なシステムを一から構築するため開発工数が大きくなり初期投資が大きくなる。 |
小さいシステムや中小企業は、リビルド手法を取ることが多いように思う。
大規模システムを抱える大企業は、コスト面からリホストやリライト手法を取る傾向にあると思う。
脱メインフレームのビッグウェーブに乗る
富士通メインフレームの終売を皮切りに脱メインフレームが加速して、脱メインフレームのビッグウェーブが着ている。
脱メインフレームする手法としては、前述した3点となる。
脱メインフレーム(マイグレーション)手法
- リホスト
- リライト
- リビルド
どんな手法を採用してもレガシー言語(アセンブラ、COBOLやJCL等)、メインフレームシステムの知識や運用で使われている技術は必要となってくる。
リホストするには、現行のメインフレーム基盤で稼働している仕組みを分析して整理して、移行(リホスト)先にその仕組を構築もしくは代替する仕組みを構築する必要ある。
分析して整理できなければ、システムを置き換えても意図した通りに動かないという事態も起こり得るだろう
リライトするには、現行のプログラムの内容を読み書きできる必要がある。
ベンダーに依頼して機械変換する場合も全てまるっと機械的に変換できれば良いが、一部機械的に変換できないプログラムが出てくることがある。その際に、プログラムの内容を読んで機械的に変換できる形に修正する必要が出てくることがある。
リホストと同様に現行のシステム稼働環境を移行先の稼働環境に再現できないと、リライトしたプログラムは動かない。
つまり、現行稼働環境(メインフレームシステムの知識や運用技術)を分析できるスキルが必要となる。
リビルドは言わずもですが、現行プログラムの内容を理解できなければ作り変えることができない。
またまた同様に現行稼働環境(メインフレームシステムの知識や運用技術)を分析できるスキルがないと、移行先の稼働環境をどのようにリビルドするか設計ができない。
レガシー言語(アセンブラ、COBOLやJCL等)、メインフレームシステムの知識と運用で使われている技術を取得している人財は、脱メインフレームのビッグウェーブに乗れる訳です!!!
加えて、オープン系の言語やインフラ知識及びクラウドネイティブ技術を取得して、『レガシー』と『モダン』の両刀遣いになれば、無敵なのではないでしょうか?
マイグレーション業界は穴場?
レガシー言語(アセンブラ、COBOLやJCL等)、メインフレームシステムの知識と運用で使われている技術を取得している人財は、メインフレーム最盛期で活躍した方が大半でしょう。
時が流れて、メインフレーム最盛期で活躍した方々は、大ベテランで定年退職が近くなっていることが多いでしょう。
2025年の崖を眼の前にして、マイグレーション人財は減少傾向にある。
マイグレーション人財はリタイアしていく中で、世の中に残存されたレガシーシステムは山程ある訳です!
つまり、マイグレーション業界はブルーオーシャンなのではと思うわけです。
2年前より、一層ブルーオーシャン感が増していると感じています。
当記事も2年とほぼ同様の言葉で締めくくります。